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プロ野球

【2010年代通信簿:西武】投打の主力が毎年のように流出しながらもリーグ優勝2回と奮闘

出野哲也

2020.06.01

 14年は中村と同数の34本でメヒアもタイトルを獲得した。入団したのは5月で、シーズン途中入団の本塁打王は史上初だった。翌15年には秋山がプロ野球新記録となる216安打。その後17年から3年連続最多安打、17年には首位打者もに手にするなど、史上屈指の安打製造機に成長した。

 浅村は2度の打点王を獲得し、18年には山川穂高が急成長して47本塁打。19年も43本で2年連続でタイトルを手にし、10年代だけで西武からのべ7人本塁打王が生まれた。19年は森友哉がパ・リーグの捕手では野村克也以来の首位打者に輝いた。“山賊打線”と恐れられた超強力打線のおかげで、18・19年は2年続けて防御率がリーグ最下位でもリーグ優勝と、球界の常識を覆した。特に19年はエースの菊池がメジャーへ、浅村もFAで流出して苦戦が予想されながらの栄冠だった。
 と言っても、打線の力だけで勝ったわけではない。17年に監督に就任した、かつての守備の名手・辻発彦は、正遊撃手としてルーキーの源田壮亮を抜擢。その並外れた好守は内野全体を引き締めて、三振奪取能力が低い投手陣を大いに助けた。

 15年から5年連続で観客動員の球団記録を更新し、18年には180億円もの巨額を投じて本拠地メットライフドームや周辺の選手寮を含めた周辺施設の改修に着手。こうした環境の改善が選手の引き留めにつながるかどうかはともかく、球団がチーム強化に本腰を入れて取り組んでいることは確かだ。自慢の育成力を維持し、20年代こそ日本一を成し遂げたい。

【PHOTO】今しか見れない!? 西武ナインの捕手練習風景!

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
 
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