野手ではレギュラー候補の捕手、脚力のある選手がテーマだったが、３位で高校生捕手の内山、５位で大学球界を代表するスピードスター・並木を指名した。ただ、内山は、昨年まで１学年上に山瀬慎之助（現・巨人）がいたため遊撃を守っており、捕手としては未知数。大学ナンバーワン捕手である古川裕大（上武大）を先に３位で日本ハムに指名されたのは痛恨だった。育成３位の松井は順位こそ低いものの攻守に高いレベルを誇り、25歳という年齢を考えれば早めの抜擢を検討したい。
  　ただ、野手では４位で元山を指名できたのは幸運だった。フットワークの良さと強肩を兼ね備えた大型ショートで、スケールの大きさもあって上位指名の可能性もあった選手だ。今シーズンはエスコバーを補強したがショートのレギュラーは固まっておらず、国内ＦＡ権を取得した山田哲人の去就も微妙なだけに、二遊間の補強という意味では最適な選手だったと言える。

　冒頭でも触れたが、１位の抽選を２度外した割には、全体的に悪くない指名に落ち着いた……というのが率直な感想だ。特に木澤、山野、元山、並木の大学生４人はそれぞれ特徴があるだけに、故障さえなければ早くから戦力として期待できるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所（PABBlab）」を2019年８月にリリースして多くの選手やデータを発信している。