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MLB

筒香嘉智が提示した「日米の野球の違い」。その根底にある“スポーツマンシップ“を日本球界はどう考えるべきか〈SLUGGER〉

中島大輔

2021.02.01

筒香は

筒香は"子どもたちの未来"を真剣に考え、情報発信を続けている。写真:プロスペクト株式会社提供

 スポーツマンシップが大事な理由は「尊重」「勇気」「覚悟」の3つに凝縮されるなか、筒香は自らの言葉で指導者や保護者、報道陣にこう語りかけた。

「自発的に、自分で夢中になってやるのが本来のスポーツだと思います。子どもたちが指導者や保護者に無理やりやらされている時点で、スポーツではなくなっていると思う。勝利だけが目的になるのもスポーツではないですし、相手に敬意がないのもスポーツではない。試合に勝つのも負けるのも、相手がいるからどちらかの結果が出るわけです。プレーしているとき、相手に敬意があるかないかで(自身の振る舞い方が)全然違ってくると思います」

 毎年オフ、筒香はスポーツに取り組む子どもたちの環境を少しでも良くできればと、自ら発信してきた。勝利至上主義からの脱却、投球過多の見直しや球数制限を含めたルールづくり、飛びすぎる金属バットの弊害と低反発バットの導入などだ。筒香自身はプロ入り後、木製バットに慣れるのに数年要したという。

 アマチュア野球では、大人の私欲や指導者の勉強不足により、子どもたちの未来に弊害が出ているケースが少なくない。その根底にはスポーツマンシップの欠如があるとした上で、筒香はこう訴えた。

「スポーツマンシップはどの年代でも、どの立場でもずっと大事にしてほしいです。勝利至上主義に陥りやすいトーナメントではなく、リーグ戦を取り入れるべきだと思います。子どもたちのことを考えたら、球数制限、低反発の金属バットの導入は本気になって考える必要があると思っています」
 
 日本の野球界の課題として、「変化するスピードが遅い」ことを挙げた筒香は、イベントの最後にこう結んだ。

「何事も大きく変えることはすぐにできないと思いますけど、一人ひとりの思い、認識が集まって、少しずつ積み重なっていくことが子どもたちを守ることになりますし、より良いスポーツ界になると思います」

 メジャーリーグで活躍する選手たちの“強い心”は、どうやって養われているのか。筒香が渡米1年目に肌で感じたことは、今後日本球界やスポーツ界が発展していく上で、極めて重要な観点でもある。

文●中島大輔

【PHOTO】ダルビッシュ、大谷、マエケンに筒香!メジャーリーグで活躍する日本人選手を一挙紹介!

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