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高校野球

【センバツ】最後のノーヒッター男、“大谷&藤浪超え”の現広島右腕…アマ野球ライターが「衝撃を受けた投手」5人とは

西尾典文

2021.03.16

 過去10年の選抜で見ると、2012年の藤浪晋太郎(大阪桐蔭・現阪神)と大谷翔平(花巻東・現エンジェルス)の投げ合いが語られることが多い。しかし、この大会で球界に名をとどろかせた2人以上に強く印象に残っているのが、当時2年生だった中村祐太(関東一・現広島)だ。

 初戦の別府青山戦では被安打2、四死球0、13奪三振で完封。その後も智弁学園、横浜と強豪を相手に完投勝利を収め、チームをベスト4進出に導いた。驚かされたのがそのストレートだ。スピードは140キロ前後だったものの、打者がことごとく差し込まれており、投球の割合も大半がこの“平凡”な速球だったのだ。現代野球でここまで変化球に頼らずに抑え込める投手はなかなかいない。プロではここまで実働4年で通算11勝12敗と目立つ成績を残していないが、この時のようにストレートで圧倒する投球を見せてくれることを期待したい。
 
 2013年以降では安楽智大(済美・現楽天)、一昨年の奥川恭伸(星稜・現ヤクルト)なども素晴らしかったが、個人的にそれ以上の衝撃だったのは2015年に登場した高橋純平(県岐阜商・現ソフトバンク)だ。下級生の頃から評判の投手で2年春、秋の東海大会でもその投球を見ていたが、当時は力任せに速いボールを投げている印象だった。

 それがこの選抜ではガラッと変わり、楽に腕を振って150キロ近いボールを連発するようになっていたのだ。初戦の松商学園戦は2安打11奪三振、続く近江戦は3安打10奪三振で連続完封をマークしたが、まだまだ余力が感じられた。夏には太腿を故障して登板が少なく、プロでも19年にセットアップとしてブレイクしたものの、全体を通して怪我に苦しんでいる。ただ、その資質はソフトバンク投手陣の中でも指折りであることは間違いないだろう。

 今年の大会はすでに最速150キロを超えている小園健太(市和歌山)、畔柳亨丞(中京大中京)、松浦慶斗(大阪桐蔭)、関戸康介(大阪桐蔭)をはじめ、過去の大会と比べても前評判の高い投手が多い。それだけに今回紹介した5人を上回るようなインパクトのあるピッチングを見せてくれる投手が現れることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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