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高校野球

今年初の公式戦マウンドで161球を投げた天理・達――高野連は球数制限だけでなく複数投手を育成する環境を整えるべき<SLUGGER>

氏原英明

2021.03.22

 神奈川県のように、秋季大会にリーグ戦を採用している地区や加盟校数が多い都道府県などでは試合経験が積めるかもしれない。しかし、それはあくまで少数派に過ぎない。早い段階で負けられない戦いとなれば、投手の起用が偏るのは至極当然だろう。

 9月に入れば、試合は土日に行われるため、エースは十分な休養が与えられ、毎週の試合は相手との力量差が大きくない限りほとんどエースの登板になる。

 天理は昨秋、県大会と近畿大会で7試合を戦っているが、達以外の投手が登板したケースは2.1イニングしかない。すべての試合で達が先発。県大会の準々決勝は唯一、完投しなかったが、その試合では控え投手が4人も登板するほどあたふたした展開になった。
 
 公式戦で試した経験が少ないから、センバツなどの大舞台では控え投手の起用に二の足を踏む。中村監督は「それはどこも条件は一緒」とこの日の起用には関係ないと語ったが、選手の出場機会を多くするシステムがない限りは、これからもエース依存のチームはなくならないだろう。

 今大会から「1週間500球」の球数制限が採用されている。

 以前は制限なしの野放し状態だったことを考えれば大きな進歩だが、その一方で、このルール制限は1試合の球数制限規定ではないから、この日のように今年初めての公式戦で150球以上を投げるという事態が起きてしまう。

 日本高野連が、もし本当に高校球児の健康問題に関心があるのなら、ルールの設定と同時に複数投手を育成する環境を作ることも考えるべきだろう。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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