専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
高校野球

「高校野球は9人でやる」時代は終わりを迎えた。甲子園の選手起用に見る指導者の意識改革<SLUGGER>

氏原英明

2021.08.27

 一方、昨年のコロナ禍によってマインドを変化させた指導者もいる。

 3回戦で敗退した盛岡大附の関口清治監督だ。1回戦では15人を出場させ、その後もタイミングを見つけて控え選手を起用。3回戦ではエースの疲労を考慮して、県大会ではベンチ外だった選手まで抜擢した。

 関口はこの1年の経験が大きいとこう語る。

「ベンチに入れたからには試合に少しでも出場させたい、という親心が生まれるようになりました。昨年、新型コロナウイルスの影響で甲子園が中止になりました。その代わりに開催された代替大会はルールが今までと違って、3年生全員をベンチに入れることができました。そのときに全員を試合に出場させるということを経験して、その影響が私の心の中に生まれたんです。昨年から心に変化のあった監督が、少なからずいると思います」

 甲子園出場の夢が絶たれた昨年、多くの指導者が選手たちに何を残すべきか葛藤した。
 
 目標を失った彼らに、せめて、その成果を果たす場所を与えてあげたい。かつては「競争の厳しさを知る」を大義名分として、控え選手の思いを感じることはなかったが、選手の成長を肌で感じる機会増え、マインドを変化させた指導者は意外と多いようである。

 勝ちながら全員を出場させるのは簡単なことではない。

 だが、試合に出場できるレベルの控え選手を育てられているかどうかが、指揮官の日頃の指導力のバロメーターともいえる。部員を多く抱えながら全員を出場させられないことは、指導者自身が反省しなければならない点だろう。

 選手をふるいにかけるだけの時代はもう終わりを告げた。令和の時代を迎え、甲子園は確実に変わってきている。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

【毎日更新!夏の甲子園PHOTO】2年ぶりに開催された夏の甲子園のベストショットを一挙公開!
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号