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侍ジャパン

【WBC1次ラウンド総括】4戦目の豪州戦は完璧に近い戦いぶり!一発勝負を勝ち抜くための準備は整ったか

氏原英明

2023.03.13

 一方の投手陣は開幕から好調と言っていい。

 唯一、実戦を踏めなかったダルビッシュ有はこれからいい状態になっていくが、そのほかの選手はいい方に部類するくらいにエンジンの回転数を上げている。

 先発は第1戦目から順に大谷、ダルビッシュ、佐々木朗希、山本由伸が務めた。どの投手もしっかりゲームメークして第2先発につなげている。第2戦の今永昇太、第4戦目の高橋奎二は圧巻の投球を見せ、第2先発の役割を完璧に全う、リリーバー陣も危なげない投球だった。

  第1戦の中国戦のようになかなか思うように得点を挙げられない試合は投手陣が踏ん張り、一方、韓国戦では3点を先行されたが、打撃陣が奮起して試合をひっくり返す。強いチームの理想とする戦いぶりで4戦目の開始を待たずして、準々決勝進出を決めた。
 

 第4戦目は1回から打線が爆発。ヌートバーの出塁から近藤が繋いで、大谷の豪快な3点本塁打で先制。2イニングで5点を奪って試合を優位に進めると、先発の山本は4回を1安打無失点8奪三振の好投で、試合の主導権をグッと握り寄せた。リリーバー陣もほぼ完璧だった。

 4戦目に完璧に近いほどの戦いができたことは体制が整ったと言える。
 これからは覚悟を持って臨む試合ばかりになる。

「この4試合は一つやられるっていう覚悟をしながらバタバタしないように自分たちの野球をやっていこうと思っていた。ただそうは言っても1試合でもやられたらこれで終わるんだという思いで自分の中でやっていたので、なんとなく選手を使っているように見えるかもしれないけど、こっちは相当に考えて一つ一つ覚悟してやってたつもり。自分としては(今までも)絶対負けないというふうにやってきたんで、これからも同じようにやって行きたい」

 栗山英樹監督は悲壮感を漂わせた戦いだったと振り返ったが、けが人が出ているとはいえ、最高の形でノックアウトステージを迎えることができるのではないだろうか

もちろん、それはこれからの戦いで楽に勝てるという意味ではない。不安や余計なことに振り回されることなく、これからを1戦必勝で戦っていける準備が整ったという意味である。

 中村はいう。

「一発勝負になって1球の重みは増してくるとは思いますよ。ただ、そればっかり意識してしまうと投手の良さは出ないと思うし、バッテリーが窮屈になるのもよくないので、状況次第ですけど、攻めるところは攻める。引くところは引くとメリハリをしっかりつけた中でやっていきたいと思います」

 WBCは初めての出場になるが、野手最年長でもある中村の言葉には安心感がある。

 今大会は一味違う。最後まで勝ち抜ける準備は整ったのではないか。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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