楽天は浅村栄斗の復調が大きい。3、4月は打率が1割台に低迷して、チームの中心が機能せず、混乱していた印象だった。浅村が調子を取り戻したため、打線に一本の軸が出てきた。その中で、小郷裕哉、村林一輝といった若い世代がようやく台頭してきた。
もともと、小深田大翔や辰己涼介ら職人タイプの選手はいた。小郷のような豪快な打者が打線に入り、待望の右打者である村林が1番に固定できたのも、チームの状態の良さにつながっている。今季不調だった島内宏明もこのほど復帰した。前半戦は5連敗もあったが、7月に8連勝をマークするなど、上位戦線に食い込むと見ている。
課題は投手陣だ。後半戦に入って投手コーチを配置転換。無茶な起用が多かった前任者に比べて、どうチームをマネジメントしていくか鍵になる。クローザーの松井裕樹が好調。ルーキーの渡辺翔太もセットアップの役割を果たしている。
先発陣も、則本昂大を中心に、岸孝之の状態も上がっている。辛島航らの中堅に加え、早川隆久、荘司康誠ら若手もいて年齢のバランスは良くなっている。投手陣が高いパフォーマンスを維持できれば、まだまだ追いかけることができるはずだ。
ソフトバンクは7月に12連敗を喫するなど急降下している。一時期の最悪な状態は脱したとはいえ、かといって昇り調子になるわけではないのが気がかりな状況だ。
打線は近藤健介、柳田悠岐などが好調を維持している。数字的にも悪くないが、接戦で勝ちきれない印象だ。チーム力の厚みを感じないのがやや不安だ。
投手陣は有原航平がエース級のピッチングをしているが、移籍1年目とあってまだまだ遠慮しがちだ。エース格になるべきはずの石川柊太が3勝止まりと、先発陣の不安定さが気になるところ。リリーフもモイネロが故障で離脱。再整備を進めている段階で、どう改善していくか。このままでは楽天の勢いに屈してしまうのではないか。
西武はソフトバンクより不気味な存在だ。これまで思い通りにいかないことが続いてばかり。開幕からWBC出場の源田壮亮が間に合わず、山川穂高の離脱など、ベストメンバーを組めない状況が続いている。だが、7月末からペイトンや中村剛也が復帰し、投手陣の疲労度も少なく追いかける体勢が整ってきた。
ベストが組めれば、力はある。投手陣は高橋光成がチームを引っ張り、平良海馬、今井達也、與座海人らも安定していて、防御率はリーグトップの位置にいる。投手力を全面に押し出して、打線は若手の台頭を待ちつつ巻き返しを図っているところだ。
エースの帰還とベストを組んでどこまで追い詰めることができるか。楽天、ソフトバンクとの対戦成績がいいだけに、パ・リーグのシーズンを占う意味ではキーになる存在かもしれない。
日本ハムは新庄剛志監督の続投が濃厚とのことだ。若手の成長ぶりは期待感がある。リーグトップクラスの打者に成長しつつある万波中正、清宮幸太郎、野村佑希で組む主軸は夢を抱かせている。松本剛ら中堅世代、マルティネスらも融合し、最下位にいることすらおかしい。
投手陣は加藤貴之、上沢直之、伊藤大海の3本柱はリーグトップの18試合以上先発。当たり方によっては、他チームの脅威になる存在だ。来季以降へ見据えて、爪痕を残したい。CS争いは厳しい状況である。
そういうわけで、ペナントレースの行方は1位オリックス、2位ロッテ、3位楽天と予想する。
文●氏原英明
【著者プロフィール】うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。
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もともと、小深田大翔や辰己涼介ら職人タイプの選手はいた。小郷のような豪快な打者が打線に入り、待望の右打者である村林が1番に固定できたのも、チームの状態の良さにつながっている。今季不調だった島内宏明もこのほど復帰した。前半戦は5連敗もあったが、7月に8連勝をマークするなど、上位戦線に食い込むと見ている。
課題は投手陣だ。後半戦に入って投手コーチを配置転換。無茶な起用が多かった前任者に比べて、どうチームをマネジメントしていくか鍵になる。クローザーの松井裕樹が好調。ルーキーの渡辺翔太もセットアップの役割を果たしている。
先発陣も、則本昂大を中心に、岸孝之の状態も上がっている。辛島航らの中堅に加え、早川隆久、荘司康誠ら若手もいて年齢のバランスは良くなっている。投手陣が高いパフォーマンスを維持できれば、まだまだ追いかけることができるはずだ。
ソフトバンクは7月に12連敗を喫するなど急降下している。一時期の最悪な状態は脱したとはいえ、かといって昇り調子になるわけではないのが気がかりな状況だ。
打線は近藤健介、柳田悠岐などが好調を維持している。数字的にも悪くないが、接戦で勝ちきれない印象だ。チーム力の厚みを感じないのがやや不安だ。
投手陣は有原航平がエース級のピッチングをしているが、移籍1年目とあってまだまだ遠慮しがちだ。エース格になるべきはずの石川柊太が3勝止まりと、先発陣の不安定さが気になるところ。リリーフもモイネロが故障で離脱。再整備を進めている段階で、どう改善していくか。このままでは楽天の勢いに屈してしまうのではないか。
西武はソフトバンクより不気味な存在だ。これまで思い通りにいかないことが続いてばかり。開幕からWBC出場の源田壮亮が間に合わず、山川穂高の離脱など、ベストメンバーを組めない状況が続いている。だが、7月末からペイトンや中村剛也が復帰し、投手陣の疲労度も少なく追いかける体勢が整ってきた。
ベストが組めれば、力はある。投手陣は高橋光成がチームを引っ張り、平良海馬、今井達也、與座海人らも安定していて、防御率はリーグトップの位置にいる。投手力を全面に押し出して、打線は若手の台頭を待ちつつ巻き返しを図っているところだ。
エースの帰還とベストを組んでどこまで追い詰めることができるか。楽天、ソフトバンクとの対戦成績がいいだけに、パ・リーグのシーズンを占う意味ではキーになる存在かもしれない。
日本ハムは新庄剛志監督の続投が濃厚とのことだ。若手の成長ぶりは期待感がある。リーグトップクラスの打者に成長しつつある万波中正、清宮幸太郎、野村佑希で組む主軸は夢を抱かせている。松本剛ら中堅世代、マルティネスらも融合し、最下位にいることすらおかしい。
投手陣は加藤貴之、上沢直之、伊藤大海の3本柱はリーグトップの18試合以上先発。当たり方によっては、他チームの脅威になる存在だ。来季以降へ見据えて、爪痕を残したい。CS争いは厳しい状況である。
そういうわけで、ペナントレースの行方は1位オリックス、2位ロッテ、3位楽天と予想する。
文●氏原英明
【著者プロフィール】うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。
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