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MLB

二刀流起用の不透明性、DH占有による選手起用の硬直化...大谷翔平獲得の「リスク要因」をあえて考えてみる<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.11.30

 いずれにしても、新契約はイニング数と紐づいた出来高払いのような条項がいくつも盛り込まれた、かなり複雑な内容になるはずで、すべてクリアした時と一つもクリアできなかった時とで数千万ドルの差が出る可能性もある。

 常に中長期的な視野に立ってチームを構築しなければならないGMにとって、大谷獲得は超大型長期契約でありながら不確定性が増すという矛盾に放り込まれることを意味するのだ。

【DH固定などロースターの硬直化】

 これも以前から指摘されていることだが、大谷の加入は投打両面で「縛り」が生じることを意味する。

 中でも大きいのは「DH占有問題」だ。

 近年のMLBではDHをあえて固定せず、ベテラン選手の「半休日」のような扱いにするチームが増えている。事実、今季は全30チーム中24球団は、最もDH出場が多い選手でも100試合未満だった。

 ところが、大谷が加入するチームではこの手法は使えない。他のベテラン選手は「半休」を許されず、あくまでポジション・プレーヤーとして試合に出続けなければならない。このことは、シーズンを通じたチーム全体のコンディション管理に負の作用をもたらす可能性がある。
「投手・大谷」の起用法でも似たような問題が生じかねない。大谷が加入したチームはほぼ自動的に6人ローテーションを採用することになる。近年、故障防止の観点などから6人ローテーションに前向きなチームが増えてきたのは事実だが、サイ・ヤング賞を満票で獲得したコールのような一線級の投手の中には登板機会が減ることを快く思わない者もいるだろう。つまり、大谷獲得球団の将来の補強の選択肢が一つ減ることにつながるかもしれないのだ。

 ここまで、3つのリスク要因を見てきた。言うまでもなく、大谷獲得を目指す球団はこれらのリスクを先刻承知の上で、それでもメリットが大きく上回ると判断しているに違いない。

 同時に、投打二刀流という唯一無二の才能を誇るゆえに、他のどの選手とも違う起用法、調整法が付いて回ることになるのも事実。大谷獲得に成功したチームのGMは喜びに浸る間もなく、“ユニコーン”とチーム全体の運用をバランス良く両立させるというチャレンジに挑むことになる。

構成●SLUGGER編集部

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