佐藤は2クールの4日目にはBPをこなした。昨季から持ち味となっている右バッターのアウトコースへ強いストレートを投げ込み、打者を差し込んでいた。ブルペンに入らずともうまく状態を上げている印象だ。
佐藤は話す。 「ほとんどゾーンに投げられていたのは良かったと思います。今日も上はリラックスしてそれなりに投げられていたので、昨日やったように、下から上へという体の動きはしっかりできていたのかなと思います。シーズン中は野手が練習していてできないので、感覚を失わないようにしておきたい」
佐藤の取り組みが面白いと思ったのはBPをやるからといって前日にブルペンに入っていないところだ。投げ込んで調整するより体の動きを再確認する練習を取り入れる。シーズン中にできる練習ではないから、この時期だからこその確認作業であろう。佐藤の考える力が表れていると言えるだろう。
一方でキャンプインからブルペン入り4連投をこなした増田達至のような選手もいるわけで、選手それぞれ調整方法が異なる。選手全員では同じではないからこそ特別な花が咲く。日本は往々にして促成栽培でみな同じようなものを求めたがるが、それぞれが異なっていい。
「僕が現役の頃とは全く変わりましたね。投げる量も減ってきました。でも、だからと言って練習をしていないわけではなく、その分、今の選手たちはいろんなことをやるようになってきていると思います。それ以外の練習が多いというか」
そう語ったのは十亀スカウトだ。スカウトさえも練習に駆り出されてしまう面白い光景ではあったが、チームスタッフはそうして選手の調整のお手伝いをしている。それぞれに肩書は異なるが、チームは一つの方向の元へ向かっている印象だ。効率的な練習の雰囲気にはみんなが一体となる空気感さえ見える。
平石コーチはいう。
「効率的な練習をしているように見えるといっていただけるのは嬉しいですね、僕たちは常に、これでいいかなと思って効率的にやろうとは思っていますけど、常に、これでええんかなというのは考えています。キャンプインの開催時期は僕らも不安なところがなかったわけではないです。監督とも話していて、今年は選手たちは調整してきてくれるかな、どんな感じになるのかなと思ったんですけど、ほんと、いつ実戦しても良いくらいに選手は調整してきてくれて安心しました」。
プロは結果の世界だから、これが正解と決めつけることはできない。ここから如何に結果に結びつけていくかは球団が努力していくところだ。今季は西武の他にオリックスが1日遅れてキャンプをスタートさせている。つまり、続いている球団があるのだ。
西武の改革は進んでいるのか。それは今シーズン以降の結果で証明してくれることだろう。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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佐藤は話す。 「ほとんどゾーンに投げられていたのは良かったと思います。今日も上はリラックスしてそれなりに投げられていたので、昨日やったように、下から上へという体の動きはしっかりできていたのかなと思います。シーズン中は野手が練習していてできないので、感覚を失わないようにしておきたい」
佐藤の取り組みが面白いと思ったのはBPをやるからといって前日にブルペンに入っていないところだ。投げ込んで調整するより体の動きを再確認する練習を取り入れる。シーズン中にできる練習ではないから、この時期だからこその確認作業であろう。佐藤の考える力が表れていると言えるだろう。
一方でキャンプインからブルペン入り4連投をこなした増田達至のような選手もいるわけで、選手それぞれ調整方法が異なる。選手全員では同じではないからこそ特別な花が咲く。日本は往々にして促成栽培でみな同じようなものを求めたがるが、それぞれが異なっていい。
「僕が現役の頃とは全く変わりましたね。投げる量も減ってきました。でも、だからと言って練習をしていないわけではなく、その分、今の選手たちはいろんなことをやるようになってきていると思います。それ以外の練習が多いというか」
そう語ったのは十亀スカウトだ。スカウトさえも練習に駆り出されてしまう面白い光景ではあったが、チームスタッフはそうして選手の調整のお手伝いをしている。それぞれに肩書は異なるが、チームは一つの方向の元へ向かっている印象だ。効率的な練習の雰囲気にはみんなが一体となる空気感さえ見える。
平石コーチはいう。
「効率的な練習をしているように見えるといっていただけるのは嬉しいですね、僕たちは常に、これでいいかなと思って効率的にやろうとは思っていますけど、常に、これでええんかなというのは考えています。キャンプインの開催時期は僕らも不安なところがなかったわけではないです。監督とも話していて、今年は選手たちは調整してきてくれるかな、どんな感じになるのかなと思ったんですけど、ほんと、いつ実戦しても良いくらいに選手は調整してきてくれて安心しました」。
プロは結果の世界だから、これが正解と決めつけることはできない。ここから如何に結果に結びつけていくかは球団が努力していくところだ。今季は西武の他にオリックスが1日遅れてキャンプをスタートさせている。つまり、続いている球団があるのだ。
西武の改革は進んでいるのか。それは今シーズン以降の結果で証明してくれることだろう。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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