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プロ野球

元・大リーガーの薫陶を受けた西武“オールドルーキー”が見据える即戦力としての立ち位置「プロの中継ぎがどれだけ過酷か分かりませんが…」

氏原英明

2024.02.24

 中継ぎという仕事は野球人生を賭けるような命懸けのポジションだ。

 ほぼ毎日、登板の準備をする。昨今では2連投までと決めているチームもあるが、どんな日でも球場には必ずくる。ナイターの翌日にデーゲームの場合もあり、回復時間が少ない中でも準備をしなければいけない。過酷な労働条件だ。
 
 チームには増田達至、平井克典といったベテラン選手がいるが、彼らは常にチームの中心となって腕を振り続けて勝利に貢献してきた。増田は昨季、安定感を欠いたが、長年の勤続疲労はあって当然で、それだけリリーフ業というのは過酷なのだ。

「田澤さんからは本当に投げすぎないこと、投げる以外のところで体動かしたりして体を作っていった方がいいよと細かいアドバイスをしていただきました。なので、すぐに投げられる体を作るようにやってきました。田澤さんの練習はすごかったですね。朝も早いですし。みんなが朝ごはんを食べる前から自転車を漕いでいたり、世界一を取る人ってすごいんだなと思いました」

 新人合同自主トレの時から、状態の良さは際立っていた。当時の練習はキャッチボール程度だったが、ふわっとしたボールから入るのではなく、最初から強めの球を投げていた。ドラフト1位のルーキー武内夏暉とはスケール感で見劣りする部分もあるが、考え方では成熟しているところもあり、そうした安心感は首脳陣に早期からの戦力として期待するはずである。

 1軍キャンプ入り。仕上がりが順調そうだ。やらされているというより自分から計画を立ててこなしている。本人は段階ごとに上げていくことをイメージしていて、ピークはまだ先にあるというが、いつでも試合で投げられそうな状態をうまく作っていた。第2クール中にはブルペンの連投をこなした。その理由について聞いてみると、殊勝に話した。

「とにかく球数は少なめでしたけど、精度にこだわりました。連投でボールは行かないだろうと分かっていたので、その中でどう勝負するかということをちゃんと頭に置いて投げました。悪いなりにコースにしっかり投げるとか、そういうピッチングを心がけることはできたかなと思います。プロの中継ぎで投げることがどれだけ過酷かは分からないですが、自分のいいところをどんどん出していくしかないと思っています。任されたところで、とにかく目の前のことに集中して先を見すぎないようにしていたいですね。その後に結果がついてくるというイメージで目の前のことに集中していきたいです」

 最大の持ち味はシンカー。同じタイプでいうと編成ディレクターの潮崎哲也氏はルーキイヤーからWストッパーを務めて優勝に貢献。胴上げ投手に2度なるなどの活躍を見せた。同じ四国出身で、社会人出でもある。ルーキーイヤーからの活躍に期待できそうな右腕だ。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

【動画】こだわりと熱のこもったルーキー糸川のブルペン投球!
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