「キャンプに入る前に決めていたのは、しっかりプランを持った中で、一日、一日を過ごしていくことでした。トレーニングにしてもそうですし、打席の中でのやりたいことだったりとか、日々の生活という中でしっかり、(このキャンプでは)プラン通りにできたなと思うので、そこは充実していた」
打撃では、バットの出し方を変えてみたり、構えた時のグリップの位置を変えてみたりと、さまざまな工夫を凝らしてきて、2024年型のSeiya Suzukiを構築していった。
「試合に出て、打席の中でやりたいことをやるには、どう準備していけばできるのか。試合に入る前の準備だったり、やることを工夫して日々、変えたりとかしていたんで、いろいろ勉強になった。結果までの過程っていうのを自分で想像して、体調次第でこういうことやった方が良いとかもすごく、分かったところもあったんで、シーズンに向けて、いい準備ができたかなと思います」
今年のオープン戦で目立ったのは、実は大きく弧を描いてフェンスを越えていく打球などではなく、どん詰まりのヒットである。昨年までなら、高く上がってヒットになるチャンスのなかった打球が、程良い角度で上がって、外野手の手前に落ちるのだ。
パワーヒッター独特の軌道と言えば軌道なのだが、ホームランを打っても、「バットを振ったら当たった」と適当に答える彼が、「あっちの方が自分の中では良い打席だった」などと答えるのだから、そこには根拠がある。
今年から指揮を取るクレイグ・カウンセル監督は、昨季までカブスと同じナショナル・リーグ中地区のライバル、ブルワーズの監督として、鈴木を見てきた人である。キャンプ終盤、鈴木のあまりの好調ぶりに、本来は「50打席前後」という主力選手のオープン戦の打席を、鈴木については「今からそんなに頑張らなくていい」とばかりに減らした。 「去年の後半、どの球団もリーグ屈指の危険な打者として彼をマークしていた。今年はもっと警戒してくるだろう。それは強打者の宿命であって、投手と打者がお互いに相手を研究し続けるのが、ベースボールってものだ」
ナ・リーグ中地区は、ポール・ゴールドシュミット一塁手やノーラン。アレナード三塁手、日本でもお馴染みのラーズ・ヌートバー外野手に、先発マイルズ・マイコラス投手といった役者を揃えるカーディナルスが優勝候補で、対抗馬はパワーもスピードも兼ね備えた若い中心選手を揃えたレッズと、カブスが挙げられている。
鈴木はオープン戦で、日本でなら「3番打者」的な役割の打順「2番」に起用されてきたが、それはカブス打線が1番の(相手が右投手なら)イアン・ハップ、(左投手なら)ニコ・ホーナー、そして鈴木の後、3番に2019年のMVPで、昨季スランプから復活を遂げたコディー・ベリンジャー、そして4番クリスチャン・モレルという上位打線の可能性を見極めるためだろう。
上位が安定すれば、昨季は上位を打った5番に入るダンズビー・スワンソンや、ヤン・ゴームズ、マイク・トークマンの下位打線にも厚みが出来る。そうなるとカブス打線は、昨季を上回る爆発力を持つようになる。
そして、やはりそのカギを握るのは、「2番」に入る鈴木なのだと思う。
「自分に求められているものが、打つだけとか、走りだけではないので、全部の分野でしっかりやらないといけないっていうのもある。一番は自分の身体と相談しながら、フィジカル的にもなるべく落ちないように、準備の段階っていうのは凄く大切に、今シーズンはやっていきたい」
もしも、あなたが野球=ベースボールが好きで、大谷や他の日本人選手の活躍に感化されて、メジャーリーグに注目するようになったのなら、今季の鈴木誠也は見逃さない方がいいだろう――。
文●ナガオ勝司
【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO
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打撃では、バットの出し方を変えてみたり、構えた時のグリップの位置を変えてみたりと、さまざまな工夫を凝らしてきて、2024年型のSeiya Suzukiを構築していった。
「試合に出て、打席の中でやりたいことをやるには、どう準備していけばできるのか。試合に入る前の準備だったり、やることを工夫して日々、変えたりとかしていたんで、いろいろ勉強になった。結果までの過程っていうのを自分で想像して、体調次第でこういうことやった方が良いとかもすごく、分かったところもあったんで、シーズンに向けて、いい準備ができたかなと思います」
今年のオープン戦で目立ったのは、実は大きく弧を描いてフェンスを越えていく打球などではなく、どん詰まりのヒットである。昨年までなら、高く上がってヒットになるチャンスのなかった打球が、程良い角度で上がって、外野手の手前に落ちるのだ。
パワーヒッター独特の軌道と言えば軌道なのだが、ホームランを打っても、「バットを振ったら当たった」と適当に答える彼が、「あっちの方が自分の中では良い打席だった」などと答えるのだから、そこには根拠がある。
今年から指揮を取るクレイグ・カウンセル監督は、昨季までカブスと同じナショナル・リーグ中地区のライバル、ブルワーズの監督として、鈴木を見てきた人である。キャンプ終盤、鈴木のあまりの好調ぶりに、本来は「50打席前後」という主力選手のオープン戦の打席を、鈴木については「今からそんなに頑張らなくていい」とばかりに減らした。 「去年の後半、どの球団もリーグ屈指の危険な打者として彼をマークしていた。今年はもっと警戒してくるだろう。それは強打者の宿命であって、投手と打者がお互いに相手を研究し続けるのが、ベースボールってものだ」
ナ・リーグ中地区は、ポール・ゴールドシュミット一塁手やノーラン。アレナード三塁手、日本でもお馴染みのラーズ・ヌートバー外野手に、先発マイルズ・マイコラス投手といった役者を揃えるカーディナルスが優勝候補で、対抗馬はパワーもスピードも兼ね備えた若い中心選手を揃えたレッズと、カブスが挙げられている。
鈴木はオープン戦で、日本でなら「3番打者」的な役割の打順「2番」に起用されてきたが、それはカブス打線が1番の(相手が右投手なら)イアン・ハップ、(左投手なら)ニコ・ホーナー、そして鈴木の後、3番に2019年のMVPで、昨季スランプから復活を遂げたコディー・ベリンジャー、そして4番クリスチャン・モレルという上位打線の可能性を見極めるためだろう。
上位が安定すれば、昨季は上位を打った5番に入るダンズビー・スワンソンや、ヤン・ゴームズ、マイク・トークマンの下位打線にも厚みが出来る。そうなるとカブス打線は、昨季を上回る爆発力を持つようになる。
そして、やはりそのカギを握るのは、「2番」に入る鈴木なのだと思う。
「自分に求められているものが、打つだけとか、走りだけではないので、全部の分野でしっかりやらないといけないっていうのもある。一番は自分の身体と相談しながら、フィジカル的にもなるべく落ちないように、準備の段階っていうのは凄く大切に、今シーズンはやっていきたい」
もしも、あなたが野球=ベースボールが好きで、大谷や他の日本人選手の活躍に感化されて、メジャーリーグに注目するようになったのなら、今季の鈴木誠也は見逃さない方がいいだろう――。
文●ナガオ勝司
【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、
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