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プロ野球

「今までの自分に戻るというより、全然違う自分になりたい」完全開花を目指す中日・梅津晃大がやっとつかんだ“手応え”<SLUGGER>

岩国誠

2024.04.04

「1年半くらい毎日、いいフォームをめちゃくちゃ意識して投げて、動画を撮っては見返してを繰り返しました。最初は意識しないとできなかったのですが、今ではある程度は無意識に投げたいフォームで投げられるようになってきましたし、(フォームの)修正力もついたかなと思っています。毎日の反復練習は時間がないとできないことですが、(リハビリの)長期間をうまく使うことができたと思います」

 怪我という不本意な形ではあったが、立ち止まって考える時間を得たことで、自分自身の内面と投球フォームを見直すことができた。自分の芯をしっかり持った新しい「投手・梅津晃大」は、長いリハビリ期間でゆっくり熟成されていったのだ。

 本格復帰となる今シーズン、2月のキャンプでは実戦形式初登板でいきなり154キロを計測して首脳陣を驚かせると、3月に登板したオープン戦2試合はいずれも4イニングを投げ、順調な仕上がりぶりを見せている。

 キャンプ前から梅津への期待の声は大きかったが、その声は本人にも、もちろん届いていた。

「今年、期待している選手として、僕の名前を挙げてくださる方が多いので、すごく嬉しいんですが、自分はまだ何も結果を残していない選手。高校時代は補欠でしたし、大学でも1勝しかしていない。自分の実力より皆さんの期待の方が先に行っていて、あとから自分が追いかけているような感覚なので、何か不思議な人生だなと思っています。でもその期待に応えたいですし、皆さんの期待しているところまで行きたいと思って、毎日取り組んでいます」
 
 今までなら、プレッシャーになっていたかもしれない。しかし、困難を乗り越えた今の梅津には、周囲の期待が大きな支えになっているようにも感じられた。

 仙台育英高の1学年先輩でもある上林誠知(28)の入団も、大きな刺激となっている。

「自分は補欠でしたが、(上林は)高卒でプロに行って結果を残した方ですし、挨拶しかできないくらい憧れの先輩。その方とプロで一緒にプレーできるのはすごく嬉しく思っています。自分も手術をして、底からの浮上を目指していますが、誠知さんもゼロからのスタート。ただ(上林は)一軍で活躍されていますが、僕はまだチームに貢献できていないので、まずはひと花咲かせたいですね」

 周囲の期待を受け、尊敬する先輩とともに歩む今シーズン、梅津はどんな目標を抱いているのか。

「『2ケタ勝利を』と毎年言っていましたが、まずは投げないことには自分の目標は進んでいかないので、1年間通して投げたいですね。中6日で回らない可能性もありますが、20試合とか、100イニング以上とか、一軍に長い期間いられたというところを自分で評価していきたい。『今日は7イニング投げられたから、次回も同じかそれ以上に』というところを目指して行けたらと思っています」

 プロ6年目を迎えた梅津晃大。真価が問われる1年が間もなく始まる。

取材・文●岩国誠

【著者プロフィール】
岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。

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