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プロ野球

疲労の大きい二遊間のスターであるからこそ――山田哲人や源田壮亮の復調のカギはマネジメントでの負担軽減にあり?<SLUGGER>

氏原英明

2024.04.28

 そして、日本における二塁手は出ずっぱりなことが多い。

 山田は2014年にレギュラーを獲得してから、ほぼ毎年のように130試合以上に出場してきた。大卒や社会人出身の違いはあるにせよ、外崎や源田、中村も定位置を得てからは出ずっぱりだ。

 チームで主力を張って毎試合出場するだけでも相当な疲労があるというのに、さらに二塁手というのは負荷が高い。山田哲人は侍ジャパンの常連でもあったから、その疲労度は計り知れない。30代でパフォーマンスが落ちていくのも無理のない話と言えるかもしれない。

 かつてロッテの黄金期を作ったボビー・バレンタイン監督は、よく野手を休ませていたというのは有名な話だ。ロッテの元リリーバー、荻野忠寛がこんな話をしている。

「たとえば西岡剛がある試合で3安打するとするじゃないですか。すると次の日はスタメンじゃなかったりということがありました、なんで出さないんだとか批判されていましたけど、3安打したということは走者に出ていて走っているので疲労がある。マリンは人工芝ですし、すごく気を遣っていた」

 アメリカ人ならではの発想だ。メジャーの試合を見ていても、主力選手をDHでローテーション起用して休養を取らせるなど、きめ細かい配慮が見られる。日本でもそのマネジメントが必要なのかもしれない。

 昨年、西武の源田がDHで出場した試合があった。「守備の名手・源田がDH?」とネットでは話題になったが、松井稼頭央監督は疲労などを考慮して決断した。その日、源田は無安打だった。
 
 翌日の練習でグラウンドにいた辻発彦前監督が、源田に「げん、DHだとリズムがつかめんだろ」と声をかけていたのをたまたま見たが、チームの狙いを感じていた源田は苦笑いするしかなかった。

 山田哲人が開幕直後に離脱し、これまで西武の鉄壁のレギュラーとして支えてきた源田、外崎も同じ時期にスタメンから外れるという事態は、NPBの二遊間の現状に何かを投げかけている気がしてならない。

 ヤクルトも西武もロッテも、彼らに休んでもらう余裕はない。そのチーム事情は理解するが、カギになるのはいかに選手の疲労をとりながら、パフォーマンスを維持する起用法を考えるかだろう。

 西武は開幕3カード目の日本ハム戦で、点差の開いた試合が2試合続いた際に、外崎、源田を交互に試合終盤にベンチに下げていた。西武首脳陣も二遊間の疲労を感じいてるのだろう。

 彼らがチームの顔であるからこそ、いかに休ませるか。長年の功労者の復調のカギは、マネジメントにあるのかもしれない。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

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