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プロ野球

ドラ1投手3人がプロ1年目でトミー・ジョン手術...各球団は球界の“現代病”トミー・ジョン手術とどう向き合うべきか<SLUGGER>

氏原英明

2024.10.24

 では、この問題にどう対峙するべきなのだろうか。

 一つは渡辺久信元GMが言うように、徹底的に調査することだ。完璧に見抜くことはできないとはいえ、どこかに情報が転がっているということもある。ある時期から球速が落ちている、投げ方が変わっているといった点は判断材料になるだろう。

 もう一つの対処法は、時代の流れとしてトミー・ジョン手術のリスクを受け入れることだ。

 トミー・ジョン手術は1年以上のリハビリを必要とされる大手術だが、1度目であれば以前と同じパフォーマンスを取り戻せる確率は高いと言われている。メジャーではダルビッシュ有(パドレス)が手術後に球速が伸びてハイブリッドな投手に成長している。国内でも阪神の才木浩人やDeNAの東克樹がトミー・ジョン手術を経験した。巨人の山﨑伊織は東海大時代の20年6月にトミー・ジョン手術を受け、その年のドラフトでは2位指名で入団するも見事に復活。今季は2ケタ勝利を挙げている。
 トミー・ジョン手術が安全だとまでは言わないが、今や投手の高速化は当たり前になってきていて、それだけ故障のリスクと隣り合わせで戦っている。1年を棒に振ってしまうことを嘆くことよりも、そこからどうサポートするかまで考えておく必要があるのかもしれない。

 昨年の歓喜のドラフトから3人の投手が1軍で1球も投げることもないままに手術に踏み切ったというニュースを聞いた時は、ドラフトの怖さを感じたものだ。ただ、球団も対処の方法はある。

 果たして、各球団は球界の“現代病”とも言えるトミー・ジョン手術とどう向き合っていくのだろうか。昨年の1位指名投手3人が手術に至るという異常事態を経て迎えた2024年のドラフトで各球団の姿勢がどのように変化してきたのか。これも、今年の隠れた注目ポイントかもしれない。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

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