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MLB

公務員の安定を捨て新球団くふうハヤテからドラフト指名! 遅咲きの右腕が念願のNPB行きを実現するまでの紆余曲折

THE DIGEST編集部

2024.11.15

夏場までは先発で、秋にはリリーフで結果を残し、ドラフト指名に繋げた。写真:岩国誠

夏場までは先発で、秋にはリリーフで結果を残し、ドラフト指名に繋げた。写真:岩国誠

 デビュー2戦目となった3月22日の阪神戦は、その悔しさをぶつけた試合になった。梅野隆太郎(33)や渡邉諒(29)、島田海吏(28)など一軍経験者が並んだ打線を相手に、前回とはうって変わって、ストライク先行の攻めるピッチングで7回を無失点。被安打3、与四球1の好投で自身とチームに初勝利をもたらした。
 
 翌週の広島戦ではチーム初の完投勝利を挙げるなど、前半戦は先発ローテーションの軸として、NPBファームで戦える力を示し続けた。チームの代表として選ばれた7月のフレッシュオールスターでは、予定の1イニングを無失点に抑え、姫路ウイング球場に詰めかけた1万人を超えるファンを大いに沸かせている。

 ドラフト指名へ向けて、先発として存分にアピールはできていた。しかし、この時期の投球内容にもの足りなさを感じていたのが、チームの投手陣を預かる中村勝投手コーチ(32)だった。

「先発をする中で、ピッチングはうまいけれども変化球で交わすような投球もあったんです。夏場を迎えて疲れなどもあったと思いますが、それだとドラフトを考えた時にはプラスにはならない。それなら1イニングで出力をしっかり出せるようになって、最終的にまた先発に戻るほうがいい経験になると考えていました」

 NPBのファームリーグは独立リーグを含めた他のカテゴリーと比べても圧倒的に試合数が多い。誰もが初めて経験する連戦の中での疲労も手伝って、早川のストレートは平均球速が142、3キロまで落ちてしまっていた。

 試合を作れるだけではドラフト指名には届かない。NPBでの起用法の幅を広げる意図もあったが、武器であるストレートの強さを取り戻す必要があると考え、後半戦からリリーフに挑戦することになった。

「元々、先発とリリーフどちらでも構わないとチームには話していました。開幕時に比べて、先発をやる投手陣が増えてきたこともあって、コーチとも話してリリーフもやってみようということになりました」

 早川自身も納得した上でのことだった。正式に転向が決まってから、初のリリーフ登板は8月10日のオリックス戦、3点リードの9回裏と抑えればセーブがつく場面だった。

「技術的に変えたことはなかったんです。ただ、先発とは違ってリリーフの場合は初球からしっかり抑えにいかないといけないので、気持ちの作り方が全然違いました」

 先頭打者にフォアボールを与えると、そこから4本のヒットを打たれて4失点。自らの投球で勝ちゲームを落としたことが、以降のリリーフ登板を苦しいものにしていった。

「先発のときには制球で困ったことはなかったんですけど、簡単に先頭打者にフォアボールを出してしまったりしていました。うまくいかなかったことで、徐々に不安な気持ちが大きくなって、それでまたうまくいかないという悪循環になっていました。すごく苦しかったですし、なかなか切り替えることができませんでした」
 
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