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抜群の結束力でユーロバスケの頂点に立ったドイツ。群馬所属のティーマンは「チームメイトを心から誇りに思う」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.09.17

群馬所属のティーマンは2023年のW杯に続き、自身2個目の金メダルを手にした。写真:小川由紀子

 ユーロバスケットは9月14日についに決勝戦を迎え、2023年のワールドカップ王者ドイツがトルコを下して優勝。金メダルを手に入れた。

 いずれも決勝まで無敗で勝ち上がってきた両者の対決は、アルペレン・シェングン(ヒューストン・ロケッツ)率いるトルコが試合開始から13-2の好スタートを切る。

 ここまでニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)擁するセルビアや、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)率いるギリシャら、猛者たちを次々と撃破した勢いそのままに、リードを奪ったトルコ。しかし、W杯を勝ち抜いたドイツの経験と自信は一段上だった。

 第1クォーターでイーブンに持ち込むと、そこから最後まで僅差を争う熱戦が続く。選手として最も真価が問われるクラッチタイムで輝きを放ったのは、ドイツのデニス・シュルーダー(サクラメント・キングス)だった。

 それまで10得点、12アシストを記録していたエースガードは、ラスト1分半で一挙6得点を奪取。82-83と1点を追う場面で、得意の鋭いドライブからレイアップを決めて逆転に導くと、続けてジャンプショットも沈めてリードを3点に。

 残り10秒、トルコの最後のポゼッションでボールを託されたシェングンは、起死回生の3ポイントを放ったが、これがエアボールとなると、ボールを手にしたシュルーダーがフリースローをゲット。これを2本確実に決め、88-83でドイツが熱戦をモノにした。

 見事な活躍を披露したシュルーダーは大会MVPに選出されたが、試合後の会見では、仲間たちの名前を挙げながら、全員の総力戦だったことを強調。
 
 アラン・イブラヒマジッチ代理HC(ヘッドコーチ)をして、万能なことから"スイスアーミーナイフ"と言わしめたイザック・ボンガも、3ポイント4本をノーミスで決め、チームハイの20得点、5リバウンド、4アシストと躍動。NBAでのプレー経験もある25歳は、この試合のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。

 ドイツはアレックス・ムンブルーHCが急病で離脱し、アシスタントコーチが采配を執る不測の事態に見舞われたが、これまで培ってきた結束力を改めて見せつけた。

 この日も、絶妙な場面で3ポイントを沈めるなど、18分のプレータイムで7得点、3リバウンドと効果的な働きを見せたヨハネス・ティーマンは、こうした接戦を勝ち切れる自軍の底力にについてこう描写した。

「こういう(競った)試合の状況なら、トルコより自分たちの方が多くの経験があった。だから常に自分たちを信じて、自分たちのプレーをすることができた。最後まで信じて戦えたこと、それがカギだったと思う。

 信じられない気分だよ。このチームがここ数年でどれだけ成長したか、ドイツのバスケットボールがどれだけ進歩したかの証明だ。これは自分たちにとって本当に大きな意味があること。チームメイトを心から誇りに思う」

 今季もBリーグの群馬クレインサンダーズでプレーする31歳は、胸に金メダルを輝かせ、満面の笑みを見せた。

 ラトビア、ポーランド、フィンランド、キプロスを会場に19日間にわたって行なわれたユーロバスケットは、世界、欧州のダブルチャンピオン誕生を見届けて、幕を閉じた。

文●小川由紀子

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