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NBA

NBAのケガ人多発は異常なペースアップが原因?ヒートがリーグ最速チームになった陰には新コンサルタントの存在が<DUNKSHOOT>

ダンクシュート編集部

2025.11.24

今季No.1の得点力を誇るヒート(右)やブレイザーズ(左)など、リーグ全体でペースが上がっている。(C)Getty Images

今季No.1の得点力を誇るヒート(右)やブレイザーズ(左)など、リーグ全体でペースが上がっている。(C)Getty Images

 2025-26シーズンの開幕から約1か月が経過したNBAだが、この短い期間にもケガ人が続出している。

 この事態に、ゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)は、今季の各チームの戦い方において、ペースが加速していることを要因のひとつに挙げていた。さらにフランスの『レキップ』紙は、統計解析サイト『Inpredictable』のデータをもとに、興味深い考察をしている。

 同紙によると、1ポゼッションあたりにかける時間が“平均14秒未満”というハイペースで試合を進めるチームの数が、昨季の7チームから、今季はなんと全30チームに急増。リーグ全体で大幅にペースアップしているのだ。

 昨季は全チームのレギュラーシーズンでの平均が14.5秒だったのに対し、今季の11月18日時点では、平均11.5秒と3秒も短縮している。

 ここ数年を見ても、21-22シーズンは4チーム、22-23シーズンは6チーム、23-24シーズンは4チームと、一部のチームだけが14秒未満というハイペース重視のゲームを展開していたのが、今季は最も時間をかけているロサンゼルス・クリッパーズでも13.1秒と、リーグ全体がスピーディーな戦い方を選択していることがわかる。
 
 このトレンドを作った一因として挙げられるのは、昨季ファイナルを戦った東西の両雄、インディアナ・ペイサーズとオクラホマシティ・サンダーだ。

 両チームとも速攻を得意とし、相手の陣形が整う前に仕掛けるスピーディーなオフェンスを定番スタイルとしていた。

 今季、最も顕著な変化を遂げているのはマイアミ・ヒートで、昨季は14.9秒とリーグで23番目に遅い部類に入っていたが、現時点では平均10.2秒と最速を記録している。

 ヒートは今オフ、オフェンス・コンサルタントとしてノア・ラロッシュを迎え入れた。

 昨季はメンフィス・グリズリーズでアシスタントコーチを務めていたラロッシュは、3月に当時ヘッドコーチのテイラー・ジェンキンスが解雇されたのに伴ってフランチャイズを去っていた。

 彼がメンフィスに導入したのは、一般的なオフェンス戦術に比べてスクリーンやハンドオフを多用しない、より流動的でムーブメントを重視した攻撃システムだった。

 それにより、昨季は1ポゼッションあたり13.3秒というリーグ3番目に速い攻撃を仕掛け、平均得点はリーグ全体でクリーブランド・キャバリアーズ(121.9点)に次いで2位、ウエスタン・カンファレンスでは、王者サンダーをもしのいでトップの平均121.7点をあげていた。

 ラロッシュは似たようなシステムをヒートに導入し、リーグ最速ペースで攻撃を展開しながら、リーグNo.1の得点力を誇るチームに押し上げている。下から7番目だった昨季からは大きな飛躍だ。
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