マイケル・ジョーダンは、1984年のドラフト全体３位でシカゴ・ブルズに指名されると、抜群の身体能力とスコアリング能力を武器に、87年からは７年連続、計10回得点王のタイトルを獲得。さらに88年には最優秀守備選手賞に輝いたほか、オールディフェンシブ１stチーム選出９回、スティール王３回と、守備力も折り紙つきだった。

　デビュー当初、ブルズはジョーダンのワンマンチームで、ボストン・セルティックスやデトロイト・ピストンズの壁を越えることができなかった。しかし、87年に入団したスコッティ・ピッペンやホーレス・グラントら後輩たちを鍛え上げ、1990年代にブルズは２度の３連覇（91～93、96～98）を達成し、ジョーダンはすべての年でファイナルMVPに選ばれた。

“バスケットボールの神様”と称されるジョーダンは、生来の負けず嫌いで、勝利のために一切の妥協を許さなかった。その姿勢ゆえにチームメイトにも高い基準を求め、時に衝突することもあったという。

　控えガードとして後期の３連覇を経験し、現在はブルズのアンバサダーを務めるランディ・ブラウンは、『ESportsBets』のインタビューでジョーダンとの思い出をこう語っている。

「マイケルがあれほど毎日練習していたとは知らなかった。世界最高の選手が、毎日テーピングをして、いつでも試合に臨めるように準備していたんだ。本当に驚いたよ」
  　すでに実績十分のスーパースターが誰よりも練習に励む姿は、ブラウンに強い印象を残したという。そして、彼から受けた叱咤激励にも感謝している。

「私がブルズに来た頃はポイントガードで、オフェンスはすぐ覚えられるタイプだったけど、トライアングル・オフェンスには苦労した。ローテーションから外れて出場機会もなく、マイケルは１日たりとも私をチームメイトとして扱わなかった。

『トライアングルをマスターするまでは試合に出させない』と、責任を与えてくれた。でも、同時に温かく見守ってくれたよ。毎朝１対１の練習に付き合ってくれた。元々ディフェンスは得意だったけど、マイケルと練習したことでさらに上達できた」

　ブラウンは95年にブルズに入団。１年目は平均9.9分の出場にとどまったが、持ち前の守備力を武器に翌96－97シーズンは平均14.7分までプレータイムを伸ばし、97－98シーズンには平均16.2分、６試合で先発を任されるまでに成長した。

　ジョーダンはストイックな性格からかチームメイトに対する厳しい姿勢がクローズアップされがちだが、一方で面倒見のよい兄貴分の一面もあったようだ。

構成●ダンクシュート編集部

ジョーダンとピッペンの関係修復を「絶対に諦めない」元ブルズ戦士が語った願望「最後に全員で集まりたい」＜DUNKSHOOT＞

ジョーダン伝説のラストショットから27年――ジャズ本拠地のWi-Fiに刻まれる“神様”への恨み節＜DUNKSHOOT＞

“神様”ジョーダンが語るロード・マネジメントの本質「バスケは１日２時間半～３時間。残りの21時間で何をするか」＜DUNKSHOOT＞