NBA

5年目のJ・ジョンソン台頭で好調を維持するホークス。一方で加速する“ポスト・ヤング”構想<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.11.30

開幕直後にヤング(左)をケガで失ったホークスだが、ジョンソン(右)を中心に立て直し、現在イースト5位タイにつけている。(C)Getty Images

 ケガ人が相次いでいる今シーズンのNBA序盤戦で、アトランタ・ホークスもエースのトレイ・ヤングをヒザの負傷で失った。

 現地時間10月29日に行なわれたブルックリン・ネッツ戦の第1クォーターで退いたヤングは、診断の結果、幸い前十字靭帯の損傷は免れたが、数週間の離脱と発表された。

 試合後の会見の席でクイン・スナイダーHC(ヘッドコーチ)は、「トレイのような有能な選手、とりわけボールを保持してオフェンスの指揮を執る選手を欠くことになれば、当然、修正は避けられない」と苦しい胸の内を吐露。

 リーグ屈指のアシスト力と打開力を持つヤングが、相手ディフェンスを引きつけてシュートチャンスを作り出すのがホークスのオフェンススタイルであるだけに、その切り込み隊長が不在となることで、指揮官は周囲の選手にステップアップを求めていた。

「ルーク(ケナード)、ニキール(アレキサンダー・ウォーカー)、ダイソン(ダニエルズ)、JJ(ジェイレン・ジョンソン)ら、彼らの誰であっても、全員がパスを回してプレーする意識を持つことが重要なポイントになる。その点について強化していく必要がある」

 ところが、このヤング不在時のスタイルは見事にはまり、エース欠場後は5連勝を含む10勝5敗と健闘している。
 
 勝ち星を挙げたのはインディアナ・ペイサーズやニューオリンズ・ペリカンズといった下位勢が多かったとはいえ、そうした相手に取りこぼさないことこそが勝率を下げないためには重要だ。

 そしてこの間、傑出したパフォーマンスを披露しているのがフォワードのジョンソンだ。

 2021年のドラフト1巡目20位でホークスに指名された203cm・99kgのフォワードは、ヤングとは真逆の、パスを散らしてボールをチーム全体でシェアするスタイルで、高いディフェンス力も備えている。

 そうした活躍は数字にも表れており、ヤング離脱後は平均8.1アシストをマーク。11月13日のユタ・ジャズ戦では、31得点、18リバウンド、14アシスト、7スティールと、いずれもキャリアハイのハイパフォーマンスで、キャリア初の週間MVPにも選出された。

 デューク大出身の23歳は、初の受賞について次のように語っている。

「努力の積み重ねが、自分を想像を超える場所まで導き、思いもよらない機会を与えてくれることを、改めて実感している。この賞をとても誇りに思うよ。でも、まだまだやるべきことは山積みだ」
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ホークスはヤングを放出すべきなのか?