パリ五輪

地元開催の五輪を涙で終えたウェンバンヤマへ名手ウェイドがエール「彼はNBAと国際大会の未来を担う男」【パリ五輪】<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2024.08.13

フランスを優勝に導くことはできなかったが、ウェンバンヤマはアメリカとの決勝で26得点、7リバウンドと堂々のパフォーマンスを見せた。(C)Getty Images

 8月10日(日本時間11日)、パリ五輪の男子バスケットボールで地元フランスはアメリカとの決勝戦に87-98で敗れ、2021年東京五輪に続いて2大会連続の銀メダルとなった。

 20歳でオリンピックデビューを飾ったヴィクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)は、この試合で3本の3ポイントを含むゲームハイの26得点に7リバウンド、2アシスト、1スティールをマーク。試合後は悔し涙を流しながら、喜びに沸くアメリカの選手たちやコーチ陣の様子を見届けていた。

 チームを優勝に導くことはできなかったウェンバンヤマだったが、初の大舞台で平均15.8点、9.7リバウンド、3.3アシスト、2.0スティール、1.7ブロックと好成績を残し、オールスター5(大会ベスト5)とライジングスター賞に選出された。

 五輪終了後にウェンバンヤマは「僕は学んでいる最中なんだ。今から数年後、相手のことを思うと心配になるね」とさらなる飛躍を誓った。

 この大会を米放送局『NBC』のアナリストとして現地で彼のプレーを見てきたドゥエイン・ウェイド(元マイアミ・ヒートほか)は次のように語った。

「シュートの仕方やロブパスの捌き方など、我々はこれから長い間、彼をこの舞台でずっと見ていくことになるだろうね。彼はNBAの未来であり、バスケットボールの国際大会においても未来を担う男なんだ」
 
 アメリカはレブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、ケビン・デュラントをはじめとした豪華布陣で大会5連覇を達成。ただ、準決勝のセルビア戦では最大17点ビハインドを背負い、フランスとの決勝でも粘る相手をなかなか突き放せなかっただけに、2028年のロサンゼルス大会ではさらに苦戦を強いられる可能性もある。

 2004年アテネ大会で銅メダル、2008年の北京大会で金メダルを勝ち獲ったウェイドもそのことは肌で感じており、「ゲームは世界中で成長を遂げている。彼ら(フランス)は4年後もまた戻ってくるさ。もう1992年(バルセロナ大会)のようにはいかない。今は違うんだ」と語っていた。

 パリ五輪で代表引退を表明したニコラ・バトゥ―ム(ロサンゼルス・クリッパーズ)も「FIBA(国際大会)は違う。NBAじゃないんだ。アメリカは今でも世界でベストなチームではある。けど僕ら(アメリカ以外のチーム)は着実に近づいている。僕らはプライドを持って、彼らに勝利をくれてたまるかという思いでプレーしている」と口にしていた。

 アメリカの連覇が阻まれる日はそう遠くない未来に訪れるのかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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