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NBA

「NBA選手は孤独な生活。誰かが側にいてくれるのはとても大切」。ともに支え合い、好調マジックを牽引するドイツ代表ヴァグナー兄弟の絆<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2024.12.22

現在は離脱中だが、マジックを牽引する23歳のフランツ(左)と、それを支える27歳の兄モリッツ(右)。(C)Getty Images

現在は離脱中だが、マジックを牽引する23歳のフランツ(左)と、それを支える27歳の兄モリッツ(右)。(C)Getty Images

 昨季4年ぶりのプレーオフ進出を果たしたオーランド・マジックが、今季も健闘を見せている。

 チームは現在(現地12月21日時点)、17勝12敗でイースタン・カンファレンス4位。この成績を2人の得点源を欠いた状態でキープしているのだ。

 12月15日のニューヨーク・ニックス戦では、ドイツ人センターのモリッツ・ヴァグナーがキャリアハイの32得点を記録。試合は91-100で敗れたが、3ポイントを7本中4本沈めたほか、6バウンドに2スティールと、ベンチスタートからチームを盛り立てるビッグプレーを披露した。

 今季のマジックは、開幕4戦目のインディアナ・ペイサーズ戦でキャリアハイの50得点を叩き出した主砲のパオロ・バンケロが、右腹斜筋の負傷で長期離脱。その穴を埋めるかのように好プレーを連発してチームを牽引したフランツ・ヴァグナーも、12月6日のフィラデルフィア・76ers戦でバンケロと同じ右腹斜筋を負傷という悪夢に見舞われた。

 2021年のドラフトで全体8位指名を受けてマジックに入団したフランツにとっては、4年目にして得点、リバウンド、アシストと、すべてにおいて自己ベストを更新し、初のオールスターも見えていた矢先の戦線離脱となってしまった。
 
 そんな状況での兄モリッツの奮戦からは、「弟の分まで!」というような気迫が感じられた。試合後の会見でも「チームのベストプレーヤー2人が不在の今こそ、全員がさらにエネルギーレベルを上げて、チーム全体をより成熟させる機会だ。そのありがたいチャンスが来たと思うべきなんだ」と仲間たちを鼓舞する発言をしている。

「(バスケットボールは)数字で分析されるゲームではあるけれど、大事なのはエネルギーだ。正しい場所にエネルギーを注げば、良いことが起こるんだ」

 力を込めてそう語るモリッツの言葉には説得力があるが、彼は子どもの頃からエネルギー全開なキャラクターだったようだ。

 以前ドイツのバスケットボール連盟のYouTubeチャンネルで公開されたヴァグナー兄弟のドキュメンタリーでも、「部屋の中にモリッツが一歩入ってくるだけで、みんなが彼の存在に気づく、そんなオーラが彼にはあった」と弟のフランツが証言している。

 モリッツ自身は「音楽の才がなくて断念したが、ロックバンドのフロントマンになりたかった」と言っており、元来、人前に出るのが好きなタイプだったようだ。

 一方のフランツはシャイな性格だったようで、感情型で思ったことを口にするタイプの兄に対し、「頭で考えてから言葉を導き出す理論派」だという。

 そんな兄がバスケットボールに熱中するのを見て、フランツも競技を始め、地元のアルバ・ベルリンでプレーした後、アメリカNCAAのミシガン大に進学。そこで実力をつけ、NBA入りと兄と同じキャリアを辿ってきた。
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