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NBA

“デンマーク史上最高の選手”ルンドベリ。ロシアチームとの契約を自ら買い取り、サンズと契約した男のキャリア<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.03.18

 それが今度は、リーグ一番乗りでプレーオフ進出を決めた、NBAチャンピオン候補のサンズと契約に至ったのだから、この展開に、本人が一番驚いているかもしれない。

 もっともデンマーク時代のコーチは、ルンドベリがCSKAに入団した際、彼の成長についてこう描写している。

「彼は常に、所属するリーグで求められるレベルに応えてきた。5年前、彼がユーロリーグのスターになるとは、彼以外は誰も思っていなかった。しかし彼は常に明確なビジョンを持ち、毎年自分のレベルを上げることで、そこに向かって進んできた。だから、彼のキャリアの天井がどこにあるのかは誰にもわからない。NBAから声がかかれば、彼はその挑戦にもきっと応えてみせるだろう」

 ナイジェリア人とデンマーク人の両親のもとに生まれたルンドベリは、これまでプレーした欧州のクラブでは、高いフィジカル能力と、シューティング力を評価されてきた。

 兄の影響でバスケットボールを始めた彼が、目標としてきたのはレブロン・ジェームズだという。

「なぜなら彼はすべてをやってのけるから。自分が彼と似たプレーヤーだなんておこがましいことを言ってるわけじゃなく、彼みたいなオールラウンダーを自分も目指しているんだ」
 
 身長は193cmもウィングスパンは206cm。1stポジションはポイントガードだが、シューティングガードとスモールフォワードもこなすバーサタイルなタイプというのは、ポジションレス化が進む現代のバスケに適している。そして彼自身、NBAではそうしたプレーヤーが求められると心に刻んで、意識的に努力を続けてきた。

 彼は「自分のピークは30、31歳ごろだと思う」と、自分の成長具合を算出しているが、27歳の今、ルーキーとしてNBAに挑戦するのは、ちょうどいいタイミングかもしれない。クリス・ポール、デビン・ブッカー、ミカル・ブリッジズら、サンズには彼にとって刺激となる素晴らしい先輩プレーヤーも揃っている。

 ルンドベリは「自身の夢は?」と聞かれるたびに、「デンマークで最初のNBA選手になりたい」と答えていた。

 70年代に、デンマーク生まれでカナダ国籍のラース・ハンセンがシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)でプレーしたことはあった。また2004年のドラフトで、ニュージャージー(現ブルックリン)・ネッツから2巡目51位で指名されたクリスチャン・ドレヤルは、翌夏のサマーリーグでプレーしている。

 しかしデンマークで生まれ育って同国の国籍を有した選手で契約に至ったのは、ルンドベリが初めてで、彼は現在、同国史上最高の選手と言われている。
 
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