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“史上最高のディフェンダー”“究極の勝利者”“人種差別と戦った闘士”。永遠に語り継がれるラッセルの伝説【NBAレジェンド列伝・後編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2022.08.15

 以来ラッセルは、ずっと人目を遠ざけた暮らしを送っていた。しかし1990年代末頃からは、家族や友人の勧めもあって公の場に顔を出し始めた。依然としてサインには応じなくとも、ファンと握手をして言葉を交わすようにはなった。

「彼も丸くなったね。もともと仲間内では、ユーモアのセンスがあって結構魅力的な男だったんだ」 (クージー)。 長らく彼を覆っていた高慢で謎めいた人物とのイメージは、少しずつ取り払われていった。
 
 1999年にはチェンバレンやジャバー、ラリー・バード(元セルティックス)らが見守るなか、再度の永久欠番セレモニーに出席し、大勢の観客の拍手を耳にして涙を流した。決して愉快な経験だけではなかった現役時代。彼の心の中で固まっていたそうした負の感情も、長い年月を経て氷解したのだった。

 シャキール・オニールとコビー・ブライアント(ともに元レイカーズ)に忠告して不和を解消させたように、現代のスーパースターたちも彼の存在には一目も二目も置いていた。“史上最高のディフェンダー”“究極の勝利者”“人種差別と戦った闘士”として、ラッセルの名は永遠に語り継がれていくだろう。

文●出野哲也
※『ダンクシュート』2009年7月号原稿に加筆・修正

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