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NBA

NBAで未完に終わった元大学スターの挑戦。3人制バスケ「3x3」でパリ五輪出場へ<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.12.24

 大学時代から証明してきたように、フレデッテは純正なシューターだ。その分ディフェンス力は決して高くなく、パスセンスも今ひとつなのでポイントカードには向かないが、188cmとサイズ的にシューティングガードとしては小柄というスペックは、NBAでのブレイクを妨げる要因となっていた。

 当時を振り返り、フレデッテはこう語っている。

「時に物事は上手くいかないことがあるし、その理由を説明できないものだ。もっと自信を持って、自分のプレーをすればよかったと思う。でもあの頃は、適応しなくちゃという思いが強すぎた。ミスをしないように、そうしたらフロアにい続けられる、と思っていた。でもそれは間違ったプレーの仕方だった。キャリアを重ねるにつれて、『よし、もう一度自分らしくやろう』という気持ちになれて、それが海外でのキャリアを成功させたのだと思う」

 パリ五輪の3x3の出場枠は、男女とも8チームずつと、なかなかに狭き門だ。5人制では常に優勝候補のアメリカも、3人制では圧倒的な存在ではない。現に東京五輪では女子は優勝したが、男子は出場権を逃している。

 男子の強豪国は、東京五輪で金メダルのラトビアや、銅メダルのセルビア、ベルギーやオランダ、フランスなどもランキング上位につけている。さらにオーストリアやサウジアラビアといった、5人制では馴染みのない国とアメリカが順位を競っているというのがここ最近の勢力図だ。
 
 パリ五輪への出場資格を得るには、国際バスケットボール連盟(FIBA)主催の大会に出場してポイントを稼ぎ、ランキング上位につけることが重要だ。ランキング上位のチームは自動的に出場権を得られるほか、2024年に行なわれる最終予選に参戦するチャンスを得ることもできる。

 大会に参戦して間もないフレデッテは累積ポイントが少ないため、個人では世界ランキング441位とかなり後方にいるが、チームごとのランキングは、5人のメンバーのうち上位3人の合計ポイントで決まるため、チームとして出場権を獲得すれば問題はない。

 11月に行なわれたアメリカ大陸選手権「3x3アメリカップ」では、フレデッテの活躍もあって5戦全勝でアメリカが金メダルを手に入れた。さっそく会場には“ジマー・マニア”が詰めかけたように、「BYU(ブリガムヤング大)のジャスティン・ビーバー」と呼ばれた人気は健在らしい。チームUSAとしても、フレデッテの参戦で3x3バスケットボールへの注目度が上がれば万々歳だろう。

「このチャンスに飛び込んで、ベストを尽くしたい。僕のライフスタイルにも合っていて、信じられないくらい興奮しているんだ。バスケットボールの面でも若返ったような気がしている。とにかく、楽しくて仕方ないよ!」

 カレッジバスケ界のスーパースターがたどり着いた新たなキャリア。五輪の舞台で彼の姿が見られることを期待したい。

文●小川由紀子
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