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NBA

「こちらでは“スーパーハード”にプレーする必要がある」フランス在住ケンバ・ウォーカーが語るNBAと欧州の違い<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.12.24

「アメリカでは連戦続きで移動も多い。こちらでは週に1、2試合だ。でもだからこそ、コートに立つ時には、“スーパーハード”にプレーして、持てる力を出し尽くす必要がある。NBAでも別に力を抜くわけじゃないけど、毎試合、全力を出し尽くすことは体力的に無理がある。この部分の違いが一番大きいと感じるよ」

 プレースタイルについては、一般的に組織的なディフェンスが徹底されているヨーロッパでは、NBAほど高得点が稼ぎにくいと言われている。ゾーンディフェンスが頻繁に使われ、シューターが自由に動き回れるスペースもNBAより限られるのがその一因だ。

 そうしたスタイルの違いについてウォーカーは、「プレーしている時の間隔の違いは感じる。ディフェンスの3秒ルールもないし、ペイント内に人が多くて、印象としてはカレッジバスケに近い感じだ」と述べた。

「新しい経験がしたかった」というウォーカーにとって、生まれて初めて異国での生活となっているが、ここまでは順調そのものだという。

「アメリカから初めて来る者にとって、一番に望むのは歓迎してもらえることだと思うけれど、それについてはチームメイトにとても感謝している。彼らは、僕がこれまで出会った中でも最高のチームメイトだよ。本当にみんな素晴らしい仲間たちで、一緒にいるのが楽しい。毎朝、彼らと一緒に練習できることを嬉しいと思えるのは、本当にありがたいことだと感じている」
 
 モナコのバックコート陣は、エースのマイク・ジェームズを筆頭に、エリー・オコボ、ジョーダン・ロイドと、NBA経験のあるアメリカ人選手が集結している。CSKAモスクワ時代にチームを批判して謹慎処分になったこともあるジェームズに対しては、好印象を持たないファンやメディアも多いが、実際には非常に勉強家で頭も良く、ウォーカーの入団後も親身になって助けてくれているらしい。

 以前、ブルックリン・ネッツで短期間ながら共闘したケビン・デュラントがジェームズを応援しにモナコの試合を見に来ていたというのも、「球界で彼のことを悪く言う人はいない」というジェームズの好人物さを象徴している。

 ウォーカーは、「ヨーロッパはNBAよりもチームメイト同士の関係が濃い」とも感じているそうだ。

「試合以外でもよく食事に行ったり、一緒に行動することが多い。なんだかカレッジ時代に戻ったみたいだ」

 そうした雰囲気も気に入って、33歳の熟練ガードはモナコでキャリアの新章を満喫している。現在モナコは、9勝7敗で7チームが同成績で並ぶなか、プレーオフ圏内の5位につけている。国内リーグには登録せずに、ユーロリーグに専念しているウォーカーにとっては、プレーオフ進出を実現することに大きなやりがいと責任を感じていることだろう。

 本領を発揮し始めたNBAスターの新天地での躍動に注目したい。

文●小川由紀子
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