それでも、その後の1年間で15cmも身長が伸びると、シニアチームに招集。16歳でプロ契約を結ぶなど順風満帆のキャリアを送っていたが、人生を賭け、報酬という対価を得てプロとしてプレーすることは、これまでのジュニアチームとは別世界だった。バスケットボールが好きで上手いというだけではやっていけない、「プロ選手」の世界に馴染むのに最初は苦しんだという。
先輩選手たちの中には、あえて厳しく接する者もいたが、その厳しさに立ち向かうことでアブディヤは加速的に成長していった。クラブでのトレーニングのほかに、セルビア人のパーソナルコーチをつけ、技術面だけでなく、いかにゲームにインパクトを与えられるかといったプレー上の「コツ」、さらにはメンタル面など、本人いわく「24時間体制」でバスケットボールと向き合った。
彼の存在を一躍世界中に知らしめたのは、2018年にドイツで行なわれたU20欧州選手権。当時17歳ながら年長者をさしおいて主力として出場すると、平均12.7点、6.4リバウンドという成績でチームの優勝に貢献し、大会ベストチームに選出された。
翌19年も同じくU20欧州選手権に出場し、平均18.4点、8.3リバウンド、5.3アシストと大暴れ。イスラエルを初の大会連覇に導き、自身は大会MVPに輝いた。特に準決勝のフランス戦で26得点、11リバウンド、5スティール、スペインとの決勝では23得点、5リバウンド、7アシストと八面六臂の働きを披露。今後はフル代表でもチームの中心として黄金時代を築いていくことが期待されている。
所属するマッカビも好調で、欧州最高峰の舞台ユーロリーグでは現在17試合を終えて11勝6敗の4位につけている。アブディヤは15試合に出場し、平均12.4分のプレータイムで2.8点、2.5リバウンド、 1.2アシストと目立った数字を残しているわけではないが、チームのイオニス・スフェロプロスHCは「マッカビのように上位を狙うようなクラブで、ティーンエイジャーがユーロリーグの試合に出ること自体、普通ではない」と、いかに彼が傑出した存在かを力説している。
サイズやプレースタイルなど共通点が多いことから、ヨーロッパではNBAで旋風を巻き起こしているルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)と比較する声も多い。ただ、「彼はもっと若くしていろいろなことを達成した。19歳でユーロリーグのMVPにもなった、20年に1人の逸材だ。自分は彼よりも歩みのスピードは遅い。それぞれ自分のペースがある」と本人はあくまで自分の道を歩むことを強調している。
ほかにもNBAで一時代を築いたマヌ・ジノビリ(元サンアントニオ・スパーズ/アルゼンチン出身)やダニーロ・ガリナーリ(オクラホマシティ・サンダー/イタリア出身)に近いという声もあるが、そうしたトッププレーヤーと比較されるのも注目度の高さゆえ。有名選手を父にもつサラブレッドでありながら、ハードワークを欠かさず、『明日は今日よりも一歩でもうまくなること』を目標に掲げる謙虚さこそが彼の最大の強みだ。イスラエルが生んだ稀代のバスケットボーラーの歩む道は、バスケ大国アメリカへと続いている。
文●小川由紀子
【PHOTO】美女揃い!妖艶ダンスで人々を魅了するNBAのチアリーダー特集!
先輩選手たちの中には、あえて厳しく接する者もいたが、その厳しさに立ち向かうことでアブディヤは加速的に成長していった。クラブでのトレーニングのほかに、セルビア人のパーソナルコーチをつけ、技術面だけでなく、いかにゲームにインパクトを与えられるかといったプレー上の「コツ」、さらにはメンタル面など、本人いわく「24時間体制」でバスケットボールと向き合った。
彼の存在を一躍世界中に知らしめたのは、2018年にドイツで行なわれたU20欧州選手権。当時17歳ながら年長者をさしおいて主力として出場すると、平均12.7点、6.4リバウンドという成績でチームの優勝に貢献し、大会ベストチームに選出された。
翌19年も同じくU20欧州選手権に出場し、平均18.4点、8.3リバウンド、5.3アシストと大暴れ。イスラエルを初の大会連覇に導き、自身は大会MVPに輝いた。特に準決勝のフランス戦で26得点、11リバウンド、5スティール、スペインとの決勝では23得点、5リバウンド、7アシストと八面六臂の働きを披露。今後はフル代表でもチームの中心として黄金時代を築いていくことが期待されている。
所属するマッカビも好調で、欧州最高峰の舞台ユーロリーグでは現在17試合を終えて11勝6敗の4位につけている。アブディヤは15試合に出場し、平均12.4分のプレータイムで2.8点、2.5リバウンド、 1.2アシストと目立った数字を残しているわけではないが、チームのイオニス・スフェロプロスHCは「マッカビのように上位を狙うようなクラブで、ティーンエイジャーがユーロリーグの試合に出ること自体、普通ではない」と、いかに彼が傑出した存在かを力説している。
サイズやプレースタイルなど共通点が多いことから、ヨーロッパではNBAで旋風を巻き起こしているルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)と比較する声も多い。ただ、「彼はもっと若くしていろいろなことを達成した。19歳でユーロリーグのMVPにもなった、20年に1人の逸材だ。自分は彼よりも歩みのスピードは遅い。それぞれ自分のペースがある」と本人はあくまで自分の道を歩むことを強調している。
ほかにもNBAで一時代を築いたマヌ・ジノビリ(元サンアントニオ・スパーズ/アルゼンチン出身)やダニーロ・ガリナーリ(オクラホマシティ・サンダー/イタリア出身)に近いという声もあるが、そうしたトッププレーヤーと比較されるのも注目度の高さゆえ。有名選手を父にもつサラブレッドでありながら、ハードワークを欠かさず、『明日は今日よりも一歩でもうまくなること』を目標に掲げる謙虚さこそが彼の最大の強みだ。イスラエルが生んだ稀代のバスケットボーラーの歩む道は、バスケ大国アメリカへと続いている。
文●小川由紀子
【PHOTO】美女揃い!妖艶ダンスで人々を魅了するNBAのチアリーダー特集!
関連記事
- NBAが注目する欧州の逸材!16歳でプロデビューを飾ったキリアン・ヘイズの興味深いキャリア
- 2020年最初の週間MVPは東西首位チームのエースが受賞!アデトクンボは今季3度目、レブロンは初のアシスト王に向けて視界良好|NBA第11週
- 【NBAスター悲話】“ピストル・ピート”・マラビッチーー40歳の若さでこの世を去ったNBA史上最高のショーマン【前編】
- <2019ベストヒット!>スーパースターが揃った“奇跡の年”。コビー獲得のためレイカーズが取った奇策とは?【NBAドラフト史|1996年】
- <2019ベストヒット!>NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を発表