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NBA

【NBAスター悲話】わずか4シーズンでリーグを去った名ダンカー、ハロルド・マイナーの現在【後編】

大井成義

2020.02.04

重圧をプラスに変えるだけのメンタルの強さやタフさ、図太さがあったなら、マイナーのキャリアがこれほど短く潰えることにはならかっただろう。(C)Getty Images

重圧をプラスに変えるだけのメンタルの強さやタフさ、図太さがあったなら、マイナーのキャリアがこれほど短く潰えることにはならかっただろう。(C)Getty Images

 マイナーがNBAから姿を消して暫くの間、彼の名前やニックネームは「期待外れに終わった選手」の代名詞になっていた。レブロン・ジェームズがデビューする前、その実力を疑問視する表現として、マイナーの名前がしばしばメディアに登場している。いわく、「レブロンは“第2のベビー・ジョーダン”か?」。そう言われることを、マイナーはどんな気持ちで受け止めていたのだろうか。

 先日ヒートのデリック・ジョーンズJr.が、2020年スラムダンク・コンテストの招待を受け入れ、参加を表明したことがニュースになっていた。2017年に続き2度目のチャレンジであり、ヒートの選手としてはビリー・トンプソン、マイナーに続き3人目のコンテスト参加者とのこと。

 久しぶりに見たマイナーの名前に、現在彼がどんな生活を送っているのか気になり、さっそくネットで調べてみた。知っていたのは、ネバダ州ラスベガスに住み、現役時代に得た収入を地道に不動産売買などで運用し、メディアや友人と完全に距離を起き、バスケットボールとは無縁の生活を送っているということぐらい。
 
 検索してみたところ、ケイミー・マイナーという人物の情報が数多くヒットした。カリフォルニア州レドンドビーチの高校に通う16歳のバレーボール部員。身長183㎝のセッターは、昨年9月にエジプトで行なわれたU18の世界選手権にアメリカ代表として出場し、金メダルを獲得している。ハロルド・マイナーの娘さんだ。彼女の高校入学にあたり、家族4人は父の地元カリフォルニアに引っ越してきたそうだ。

『ロサンゼルス・タイムズ』の記事によると、娘は父からバスケットボールを強要されたことは一度もなく、父は娘が正しい方向に進むよう、特にメンタル面において良いことも悪いことも、若い頃に学んだ様々なことを教え伝えているという。身を持って、それも世界中の誰よりも深いレベルで体験した父からのアドバイスは、きっとどんな言葉よりも説得力があることだろう。

 ケイミーはバレーボールならダンクすることができ、48歳の父はまだバスケットボールでダンクできるそうだ。だが、ジャンプ力は娘のほうがあるとのこと。娘のケイミーが、近い将来アメリカ代表としてオリンピックにでも出場したら、父ハロルドは現役時代と違った意味で味わう期待感や緊張感を、今度はきっと楽しむに違いない。

文●大井成義

※『ダンクシュート』2004年3月号掲載原稿に加筆・修正。
 
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