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ラッシュフォードは救世主か、孤高の外様か。模索を続けるフリック・バルサが抱える“前線の歪み”

THE DIGEST編集部

2025.11.10

ラッシュフォードはバルサの真の救世主となれるのか。(C)Getty Images

 今シーズンのバルセロナは、怪我人が多く、序盤戦から好調とは言い難い戦いを強いられている。昨季、ロベルト・レバンドフスキ、ラフィーニャ、ラミネ・ヤマルが形成したトリデンテは全コンペティションで94得点を記録したが、今季ここまで3人が揃ってプレーしたのはラ・リーガ第2節レバンテ戦のわずか14分間のみ。ハンジ・フリック監督がやり繰りに頭を悩ませている様子が窺える。

 クラシコでレアル・マドリーに1-2で敗れた際、様々な要因が指摘された。その中で、戦術アナリストのアルベル・ブラジャ氏はこう語った。
 
「フリック・バルサは、ボールを持った時の自信と、持たない時のアグレッシブさの2本柱で機能している。クラシコでは前者が欠け、結果として後者も形にならなかった。そして最大の問題は前線だ。昨季の10月、ラフィーニャ、レバンドフスキ、ヤマルはすべての攻撃をチャンスにつなげるほど絶好調だったが、今季のクラシコではヤマルが負傷を抱え、ラフィーニャとレバンドフスキは不在。フェラン・トーレスも故障明けでキレを欠いていた。マドリーの守備には付け入る隙があったが、ラフィーニャの鋭いスペースへの進入も、レバンドフスキと好調時のフェランがもたらすゴール前での迫力もなく、戦術面で選択肢が限られていた」

 その中で救いとなっているのが新加入のマーカス・ラッシュフォードだ。ここまで全コンペティションで6得点・9アシストを記録し、彼の活躍がなければさらに厳しい状況に陥っていたのは間違いない。今夏、彼の獲得を強く望んだフリック監督は見る目の確かさを証明した。しかし同時に、改善点も浮かび上がっている。
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