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海外サッカー

「W杯ボイコット」の議論が、米国への対抗策として世界各地で巻き起こる! 英紙は米大統領と“蜜月”のFIFA会長が果たすべき役割の大きさを指摘

THE DIGEST編集部

2026.01.23

今後の動きが注目されているFIFAのインファンティーノ会長。(C)Getty Images

今後の動きが注目されているFIFAのインファンティーノ会長。(C)Getty Images

 欧州サッカー界が、アメリカのグリーンランド政策をめぐる外交危機に神経を尖らせている。ドナルド・トランプ大統領がデンマーク自治領グリーンランドの領有を主張し、軍事的手段も排除しない姿勢を見せる中、今夏に米国が大会の大部分を開催するワールドカップへの影響が現実味を帯び、欧州側では「ボイコット」まで視野に入れた議論が始まっているようだ。

 英国の日刊紙『The Guardian』は、ハンガリーのブダペストで催された同国サッカー連盟の記念行事の場で、約20の各国連盟のトップが集まる中、非公式に意見交換がなされたと報道。彼らは、UEFA(欧州サッカー連盟)の加盟国であるデンマークの領土が脅かされる事態に、スポーツ界が沈黙を続ける状況への圧力が強まると見ており、トランプ大統領が事態をエスカレートさせた場合には、「統一した欧州の対応が必要になる」との認識が共有されたという。

 欧州側の一部には、「軍事的侵攻が現実となれば、それが転換点になる」との見方もあり、トランプ大統領が軍事行動を否定しない姿勢を示したのを受け、UEFA主導のボイコットや、より大きな抗議措置を検討すべきだと考える幹部もいるようだ。実際、すでにドイツの政治家ユルゲン・ハルト氏は「最後の手段」としてボイコットに言及し、オランダではボイコットを求める請願が9万人規模に迫っている。

 もっとも、欧州の足並みは必ずしも揃っておらず、同メディアによれば、フランス政府は現時点でW杯ボイコットには否定的のようで、同国のスポーツ相マリナ・フェラーリ氏は「現時点では、省としてこの偉大な大会をボイコットしたいという考えはない」との声明を発し、「スポーツは政治から切り離すべき。W杯はスポーツを愛する人々にとって、極めて重要な瞬間だ」との立場を示したという。

 しかしフランスの国内においても、対米姿勢をめぐる温度差は大きく、左派の有力政治家エリック・コケレル氏は、米国がグリーンランドを脅かす以上、開催国には相応しくないとして「開催権を剥奪すべきだ」と主張。同氏は「隣国を攻撃し、グリーンランド侵攻で他国を脅すなど、国際法を踏みにじるような国へ、W杯を戦いに行けるのだろうか」と語っている。
 
 議論は欧州外の地域にも波及していると『The Guardian』紙は伝えており、アフリカ各国の代表監督を歴任してきたフランス人名将のクロード・ルロワは、アフリカ勢によるW杯ボイコットを提案。同メディアは、「政府の判断に追随するのか、それとも競技側が主体的に線引きをするのかという難題が、各国の連盟には突きつけられている」と指摘した。

 一方、英国の日刊紙『INDEPENDENT』は、サッカーの統括機関であるFIFA(国際サッカー連盟)が今回の件に対していかなる動きを見せるのかに注目。問題を複雑にしているのは、ジャンニ・インファンティーノFIFA会長とトランプ大統領の関係であるとし、「昨年12月のW杯組み合わせ抽選で『FIFA平和賞』を創設してトランプ大統領に授与した動きが、今では単なる『蜜月演出』ではなく、W杯存続を左右する政治的レバレッジとして試される局面に入ったとの見方もある」。

 FIFAと開催国が強く結びつき、「ダブルスタンダード」を押し通す中、人権団体「Fair Square」のニック・マギーハン氏は「W杯は欧州連盟にとって明白な圧力手段であり、欧州の指導者たちがボイコットを選択肢として真剣に議論していないなら、それこそ驚くべきだ」と訴えたというが、事実、欧州側がボイコットを示唆するだけでも、開催都市、スポンサー、放映権者を巻き込む巨大な衝撃となっており、今後の彼らの動きが注目される。

 そんな欧州には、「もうひとつの対抗カード」があるという。『The Guardian』紙によれば、それはグリーンランドをUEFAに加盟させること。実際にグリーンランドは長年加盟を望んできたが、2013年の規約改定で「独立地域でない地域の加盟」を認めない方針となり、昨年にはCONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)への加盟申請も拒否されている。ただし、「現時点で、UEFAが規約を再改定してまで“劇的な加盟”に踏み切る可能性はまだ低い」。

 対して『INDEPENDENT』紙は、やはりFIFA、とりわけインファンティーノ会長の姿勢が大きな影響を与えると指摘。「現時点では、世界の多くと同じく、サッカー界は待っている。そして願っている……。なかでも最もそうなのは、大会を米国へ持ち込んだインファンティーノ本人だろう。“政治”の時間は、実は今なのである」と綴って記事を締めている。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】荒れに荒れたアフリカ選手権決勝ダイジェスト
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