バルセロナの背番号10、ラミネ・ヤマルがいよいよ本領を発揮してきた。直近4試合で4得点・1アシスト。オビエド戦(〇3-0)でのアクロバティックな一撃を皮切りに、コペンハーゲン戦(〇4-1)ではロベルト・レバンドフスキへの完璧なお膳立てと、相手DFのリフレクションを誘発してネットを揺らした強烈なシュートを披露。エルチェ戦(〇3-1)ではダニ・オルモのスルーパスに反応し、巧みな抜け出しからネットを揺らしてみせた。そしてアルバセテ戦(〇2-1)で放った左足のコントロールショット。その一連の輝きは、彼の真価を示すには十分なものだった。
今シーズンのヤマルには常に厳しい声が付きまとっていた。「球離れの遅さ」「タッチライン際への固執」「好不調の激しさ」などなど。だが、こうした批判が議論になること自体、彼に課されたハードルがもはや「18歳の若手」ではなく「近未来のバロンドール」を基準にされている証左だ。
あまりに高い要求に対し、ロッカールームで特に仲の良いアレハンドロ・バルデは釘を刺す。「ラミネへの期待は高すぎる。みんな彼がまだ18歳だということを忘れている」
天才にのしかかる不当なプレッシャーに対し、戦術アナリストのアルベル・ブラジャ氏も知的な皮肉を込めてこう提言する。「最近はヤマルが本来のレベルにないと言うのが流行りのようだが、『左利きのテクニシャン』という色眼鏡を一度捨ててみてはどうだろう。彼を特別視する先入観を排するため、もし彼が『右利き』の選手だったと仮定して、今のプレーを眺めてみるんだ。そうすれば、彼が見せているパフォーマンスが実際にはどれほど凄まじい領域にあるのか、ようやく理解できるのではないだろうか」
事実、スペイン紙『SPORT』のダビド・ベルナベウ氏は、宿敵マドリー陣営のみならず、身内であるはずのバルサ陣営からさえも漏れ聞こえる「支配力の低下」という言説に真っ向から反論する。「ヤマルに関して『以前ほど仕掛けていない』といった事実に反する言説が囁かれているが、そんな主張は、彼の足をすくおうとする意図以外の何物でもない。ペドリと共に、彼は今のバルサにおいて最高のフットボーラーだ。ペドリがいなければチームは舵を失い、ヤマルがいなければ攻撃は変質し、数えきれない『目に見えない貢献』が失われるのだ」
ベルナベウ氏が強調するのは、ヤマルが右サイドに君臨することで、敵陣に強いる「守備ブロックの構造的な歪み」だ。「2人がかり、3人がかりの警戒が必要でなければ、敵の監視の目はダニ・オルモやフェルミンといった飛び出しを得意とする選手たちへ厳しく向けられることになる。ヤマルは、単に最終ラインに圧力をかけるだけではない。ピッチを俯瞰し、状況に応じてスイッチを入れるかタメを作るかを使い分けながら、世界最高のラストパスを供給するのだ。驚異的なスコアではないにせよ、今シーズンすでに14ゴール・13アシストの『ダブル・ダブル』を記録している。これこそが揺るぎない事実であり、ヤマルの正体だ」
こうした喧騒のさらに先を見据えているのがフリージャーナリストのリカルド・トルケマダ氏だ。同氏は現在のヤマルを「最高の自分を取り戻す途上」と定義し、さらなる高みを示唆する。「変化の過程にある今でさえ、これほど決定的な仕事をする彼が、成熟を迎えた時、どれほど恐ろしい存在になるのか予測不可能だ。頂点に到達することより、そこへ向かう道中で受ける刺激こそが彼を育む糧となる」
若きエースにエンジンがかかったバルサ。批判の声さえも成長のエネルギーに変え、真価を証明し始めた背番号10が、シーズンの主役をさらいに行く。
文●下村正幸
【動画】ヤマル大活躍のアルバセーテ戦ハイライト
今シーズンのヤマルには常に厳しい声が付きまとっていた。「球離れの遅さ」「タッチライン際への固執」「好不調の激しさ」などなど。だが、こうした批判が議論になること自体、彼に課されたハードルがもはや「18歳の若手」ではなく「近未来のバロンドール」を基準にされている証左だ。
あまりに高い要求に対し、ロッカールームで特に仲の良いアレハンドロ・バルデは釘を刺す。「ラミネへの期待は高すぎる。みんな彼がまだ18歳だということを忘れている」
天才にのしかかる不当なプレッシャーに対し、戦術アナリストのアルベル・ブラジャ氏も知的な皮肉を込めてこう提言する。「最近はヤマルが本来のレベルにないと言うのが流行りのようだが、『左利きのテクニシャン』という色眼鏡を一度捨ててみてはどうだろう。彼を特別視する先入観を排するため、もし彼が『右利き』の選手だったと仮定して、今のプレーを眺めてみるんだ。そうすれば、彼が見せているパフォーマンスが実際にはどれほど凄まじい領域にあるのか、ようやく理解できるのではないだろうか」
事実、スペイン紙『SPORT』のダビド・ベルナベウ氏は、宿敵マドリー陣営のみならず、身内であるはずのバルサ陣営からさえも漏れ聞こえる「支配力の低下」という言説に真っ向から反論する。「ヤマルに関して『以前ほど仕掛けていない』といった事実に反する言説が囁かれているが、そんな主張は、彼の足をすくおうとする意図以外の何物でもない。ペドリと共に、彼は今のバルサにおいて最高のフットボーラーだ。ペドリがいなければチームは舵を失い、ヤマルがいなければ攻撃は変質し、数えきれない『目に見えない貢献』が失われるのだ」
ベルナベウ氏が強調するのは、ヤマルが右サイドに君臨することで、敵陣に強いる「守備ブロックの構造的な歪み」だ。「2人がかり、3人がかりの警戒が必要でなければ、敵の監視の目はダニ・オルモやフェルミンといった飛び出しを得意とする選手たちへ厳しく向けられることになる。ヤマルは、単に最終ラインに圧力をかけるだけではない。ピッチを俯瞰し、状況に応じてスイッチを入れるかタメを作るかを使い分けながら、世界最高のラストパスを供給するのだ。驚異的なスコアではないにせよ、今シーズンすでに14ゴール・13アシストの『ダブル・ダブル』を記録している。これこそが揺るぎない事実であり、ヤマルの正体だ」
こうした喧騒のさらに先を見据えているのがフリージャーナリストのリカルド・トルケマダ氏だ。同氏は現在のヤマルを「最高の自分を取り戻す途上」と定義し、さらなる高みを示唆する。「変化の過程にある今でさえ、これほど決定的な仕事をする彼が、成熟を迎えた時、どれほど恐ろしい存在になるのか予測不可能だ。頂点に到達することより、そこへ向かう道中で受ける刺激こそが彼を育む糧となる」
若きエースにエンジンがかかったバルサ。批判の声さえも成長のエネルギーに変え、真価を証明し始めた背番号10が、シーズンの主役をさらいに行く。
文●下村正幸
【動画】ヤマル大活躍のアルバセーテ戦ハイライト




