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海外サッカー

“合わない”のは選手か、それとも戦術か――堂安律、今夏移籍が現実味を帯びる理由

下村正幸

2026.05.06

今夏の移籍が噂されるフランクフルトの堂安。(C)Getty Images

今夏の移籍が噂されるフランクフルトの堂安。(C)Getty Images

 フットボールの世界では、監督交代が序列を揺るがす契機となる。出場機会に恵まれなかった選手にとっては巻き返しの好機だが、新指揮官の志向が自身の特性と噛み合わなければ、立場は一転して危うくなる。いま、その難局に直面しているのがフランクフルトの堂安律だ。

 昨夏、約2100万ユーロ(約38億円)という高額移籍金で加入。ドイツメディア『Fussballdaten』によればクラブ史上4番目の投資額だった。期待を背負った堂安は、開幕直後の公式戦7試合で8得点に関与し、華々しい滑り出しを見せる。しかし右サイドには固定されず、ウイングバックや左サイドなど複数ポジションを転々とする起用が続き、チームの低迷も重なって勢いは失速。適正配置を模索する中で、獲得を主導したディノ・トップメラー監督が1月に解任された。

 暫定体制を経て2月に就任したのは、スペイン人のアルベルト・リエラ。SDのマルクス・クレシェは「インテンシティーの高いモダンな攻撃サッカーを実現できる指導者」と評価し、招聘理由を次のように語った。「戦術的知見とコミュニケーション能力に感銘を受けた」。リエラ監督が志向するのは、友人でもあるジョゼップ・グアルディオラに通じる緻密なポゼッションスタイルだ。

 ただし、その戦術設計の中で堂安の強みは生かし切れていない。右サイドからのカットインやゴールへ直線的に向かう推進力が持ち味だが、『Fussballtransfers』は、「サイドに求められる上下動とスプリント能力の面で適合度に疑問符が付く」と指摘する。第28節ケルン戦(2-2)でも、評価の焦点は別の選手へ向けられた。スペイン紙『AS』はナタニエル・ブラウンとアンスガー・クナウフの両翼を称賛。「絶え間ない上下動で敵陣深くへ進入し、守備を混乱させた」と報じ、新監督の狙いを体現した存在として取り上げた。
 
 一方で堂安は、中央寄りのポジションで起用されるなど、試行錯誤が続く。ドイツのスポーツ誌『Sport Bild』は、リエラが堂安を「どう扱えばいいのか分からずにいる」と報じている。元ドイツ代表のウーベ・バインも「攻撃面で自由を与えるべきタイプだが、現状では能力を発揮しにくい場所へと追いやられている」と指摘した。

 こうした状況を背景に、去就問題も浮上している。現地報道では指揮官との確執から退団を検討していると伝えられているFWジャン・ウズンに続き、堂安にも移籍志向があると伝えられた。『Sky Sport』は「選手の意思は明確で、移籍を望んでいる」と報道。「今夏に離別が成立するかは、具体的なオファーの内容とクラブの姿勢に懸かっている」と踏み込んだ。

 リエラ体制の軋みは、もはや隠し通せるレベルを超えつつある。ウズンと堂安に加え、他の主力選手との衝突も報じられ、内部対立の露呈に激昂したリエラ監督が、記者会見でメディアを批判する事態にまで発展した。

 リエラ監督就任後の成績は4勝4分け4敗。期待された改革は決定打に欠け、周囲では指揮官の進退を巡る声も出始めている。飛躍を期して臨んだ堂安のフランクフルト1年目は、自身もチームも荒波の中で終わろうとしている。

文●下村正幸

【動画】堂安が同点ゴール!(5:15~) 31節アウクスブルク戦ハイライト
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