5大リーグはもちろん、欧州主要リーグの中で最も平均年齢が高く、若手よりもベテランを重用する保守的なメンタリティーで知られてきたセリエAだが、先週末の開幕節では、その傾向に明らかな変化が見られた。ほとんどのクラブが、20歳そこそこの若手選手を積極的にピッチに送り出したのだ。
10試合に先発した220人中、21歳以下は34人(15.5%)にも上っている。1チーム平均1.7人。スタメンに21歳以下が1人もいなかったのは、マッシミリアーノ・アッレーグリ監督率いるナポリ(平均年齢29.6歳でリーグ最年長)、アタランタ、ラツィオの3チームだけだ。
3月のワールドカップ欧州予選プレーオフでボスニア・ヘルツェゴビナに敗れ、3大会連続で出場を逃す事態に直面して以降、イタリア国内では代表を強化するためには若手を積極的にピッチに送り出してプレー時間と成長の機会を与えるべき、という議論が繰り返しなされてきた。多くのクラブが財政的な制約から補強予算が限られており、即戦力の外国人選手に資金を投じるよりも、自前で育てた若手を登用し価値を高めて売却するサイクルを確立する必要に迫られているという事情もある。
それに加えて、積極的に若手を獲得し登用してきた数少ないクラブであるコモ、パルマが昨シーズンに明確な成功を収めた事実に背中を押されて、今夏は多くのクラブがその方向に舵を切った格好だ。もちろんまだ開幕節が終わっただけであり、W杯に出場した主力選手の調整が遅れているチームも少なくないなど、若手の積極登用がセリエAのトレンドとして定着した、と言い切るにはまだまだ早い。
しかしそれでも、U-21世代の若手にこれまで以上に出場機会が与えられ、彼らの多くがポジティブな評価に値するパフォーマンスを見せたことは、大いに喜ぶべきだろう。そこで今回は、この開幕節で活躍した「U-21世代のイタリア人」を5人選んで取り上げてみたい。
セリエAには、19歳のフランコ・マスタントゥオーノ(フィオレンティーナ/アルゼンチン代表FW)、19歳のロドリゴ・モラ(ローマ/ポルトガル代表MF)といった今シーズンの新戦力から、21歳のケナン・ユルドゥズ(ユベントス/トルコ代表FW)、21歳のニコ・パス(コモ/アルゼンチン代表MF)といった実績十分な選手まで、傑出したU-21世代の外国人タレントも目白押しだが、それはまた別の機会に取り上げたい。
以下が、開幕節で活躍した「U-21世代のイタリア人」5選手だ。
●アルファジョ・シセ(ミラン/イタリアU-21代表MF/19歳)
ミランのルベン・アモリム監督が、2-1で勝利したトリノとの開幕戦で3-4-2-1の左シャドーに抜擢。その期待に応えて64分に先制ゴールを決め、大きな注目を集めた右利きの攻撃的MFだ。単独での突破力よりも、スペースを持ち上がる縦の推進力、ゴール前や裏のスペースへの飛び出し、正確なファーストタッチからのワンツーなど、周囲との連携によってファイナルサード攻略に絡んでいくプレーが持ち味。トリノ戦でも先制ゴールはもちろん、前半から左ハーフスペースでボールを引き出し前を向いて4度のファウルを受け、効果的なスペースアタックで再三ゴール前に入り込んで攻撃に厚みをもたらした。
ギニア人の両親の下ヴェネト州で生まれた移民二世で、ヴェローナのアカデミーで育ち、23-24シーズンにはプリマベーラ(U-19)で16得点を挙げて頭角を現わすと、同シーズン末には17歳でセリエAデビュー。続く昨シーズンはセリエBのカタンザーロにレンタル移籍し、主にトップ下でレギュラーに定着すると、1月までの20試合で6得点・1アシストの活躍。それに目をつけたミランが冬のメルカートで800万ユーロ(約15億円)を投じて保有権を買い上げた。イタリア代表でもU-16から各年代代表の常連で、19歳ですでにU-21代表に選ばれている。
今夏はミランから改めてレンタルに出される可能性もあったが、プレシーズンキャンプでアモリム監督に評価されてスカッドに定着。同じポジションのラファエウ・レオンが移籍志願で戦力外、クリスチャン・プリシックが故障とあってスタメンに抜擢され、一気に評価を高めた。そのプリシックと比べると、攻撃の絶対的なクオリティーでは及ばないものの、プレッシングや守備を含めたプレー強度では明らかに上回るだけに、重要な戦力として指揮官に重宝される可能性は高い。
●アレッシオ・カッチャマーニ(トリノ/イタリア代表MF/19歳)
ミラン戦でイニャツィオ・アバーテ新監督率いるトリノの左WBとしてスタメン出場し、80分間左サイドを上下動して存在感を発揮。シセと同じく19歳でイタリアU-21代表に選出され、若手主体で臨んだ6月のギリシャ戦でイタリア代表に招集された。元々ウイングとして育ち、WBとしては明らかに攻撃型。右利きながら左足も十分に使いこなし、逆足側の左サイドを主戦場とするモダンなプレースタイルが持ち味だ。
持ち前のスピードと持久力を活かして大外レーンを縦に上下動するだけでなく、一列中に入って中盤でビルドアップに絡み、ファイナルサードでも縦への抜け出しとゴールに向かって斜めに仕掛ける動きの双方を自在にこなす。ミラン戦では得意の攻撃で存在感を示した反面、守備ではマッチアップしたサミュエル・チュクウェゼへの対応に手こずるなど、やや課題を残した。
生まれ故郷に近いファーノ、アンコーナ(いずれも当時セリエC)のアカデミーで育ち、16歳でトリノに引き抜かれるとすぐに頭角を現わし、翌24-25シーズンには17歳でセリエAデビュー。昨シーズンはセリエBのユーベ・スタビアにレンタルされて、36試合2601分出場と、大きな実戦経験を積む。そこで指導を受けたアバーテが今夏トリノの監督となり、レンタル先から復帰したカッチャマーニもその信頼を受ける形で開幕戦にスタメン出場を果たした。
今シーズンのトリノはカッチャマーニに加えて、同じ右利きのWB/SBながらより守備的な20歳のDFニッコロ・フォルティーニ、同じく今夏フィオレンティーナから移籍した21歳のCBピエトロ・コムッツォ、昨季の正GKアルベルト・パレアーリをベンチに追いやって開幕戦スタメンを勝ち取った19歳のディエゴ・マスカルディと、イタリア人の有望な若手が目白押し。外国人選手も含めて陣容の大半をU-23世代が占めるなど、若手の抜擢と価値向上を軸として興味深いプロジェクトに取り組んでいる。これがセリエAデビューとなる39歳と若いアバーテ監督も含め、今後も注目に値するチームだ。
10試合に先発した220人中、21歳以下は34人(15.5%)にも上っている。1チーム平均1.7人。スタメンに21歳以下が1人もいなかったのは、マッシミリアーノ・アッレーグリ監督率いるナポリ(平均年齢29.6歳でリーグ最年長)、アタランタ、ラツィオの3チームだけだ。
3月のワールドカップ欧州予選プレーオフでボスニア・ヘルツェゴビナに敗れ、3大会連続で出場を逃す事態に直面して以降、イタリア国内では代表を強化するためには若手を積極的にピッチに送り出してプレー時間と成長の機会を与えるべき、という議論が繰り返しなされてきた。多くのクラブが財政的な制約から補強予算が限られており、即戦力の外国人選手に資金を投じるよりも、自前で育てた若手を登用し価値を高めて売却するサイクルを確立する必要に迫られているという事情もある。
それに加えて、積極的に若手を獲得し登用してきた数少ないクラブであるコモ、パルマが昨シーズンに明確な成功を収めた事実に背中を押されて、今夏は多くのクラブがその方向に舵を切った格好だ。もちろんまだ開幕節が終わっただけであり、W杯に出場した主力選手の調整が遅れているチームも少なくないなど、若手の積極登用がセリエAのトレンドとして定着した、と言い切るにはまだまだ早い。
しかしそれでも、U-21世代の若手にこれまで以上に出場機会が与えられ、彼らの多くがポジティブな評価に値するパフォーマンスを見せたことは、大いに喜ぶべきだろう。そこで今回は、この開幕節で活躍した「U-21世代のイタリア人」を5人選んで取り上げてみたい。
セリエAには、19歳のフランコ・マスタントゥオーノ(フィオレンティーナ/アルゼンチン代表FW)、19歳のロドリゴ・モラ(ローマ/ポルトガル代表MF)といった今シーズンの新戦力から、21歳のケナン・ユルドゥズ(ユベントス/トルコ代表FW)、21歳のニコ・パス(コモ/アルゼンチン代表MF)といった実績十分な選手まで、傑出したU-21世代の外国人タレントも目白押しだが、それはまた別の機会に取り上げたい。
以下が、開幕節で活躍した「U-21世代のイタリア人」5選手だ。
●アルファジョ・シセ(ミラン/イタリアU-21代表MF/19歳)
ミランのルベン・アモリム監督が、2-1で勝利したトリノとの開幕戦で3-4-2-1の左シャドーに抜擢。その期待に応えて64分に先制ゴールを決め、大きな注目を集めた右利きの攻撃的MFだ。単独での突破力よりも、スペースを持ち上がる縦の推進力、ゴール前や裏のスペースへの飛び出し、正確なファーストタッチからのワンツーなど、周囲との連携によってファイナルサード攻略に絡んでいくプレーが持ち味。トリノ戦でも先制ゴールはもちろん、前半から左ハーフスペースでボールを引き出し前を向いて4度のファウルを受け、効果的なスペースアタックで再三ゴール前に入り込んで攻撃に厚みをもたらした。
ギニア人の両親の下ヴェネト州で生まれた移民二世で、ヴェローナのアカデミーで育ち、23-24シーズンにはプリマベーラ(U-19)で16得点を挙げて頭角を現わすと、同シーズン末には17歳でセリエAデビュー。続く昨シーズンはセリエBのカタンザーロにレンタル移籍し、主にトップ下でレギュラーに定着すると、1月までの20試合で6得点・1アシストの活躍。それに目をつけたミランが冬のメルカートで800万ユーロ(約15億円)を投じて保有権を買い上げた。イタリア代表でもU-16から各年代代表の常連で、19歳ですでにU-21代表に選ばれている。
今夏はミランから改めてレンタルに出される可能性もあったが、プレシーズンキャンプでアモリム監督に評価されてスカッドに定着。同じポジションのラファエウ・レオンが移籍志願で戦力外、クリスチャン・プリシックが故障とあってスタメンに抜擢され、一気に評価を高めた。そのプリシックと比べると、攻撃の絶対的なクオリティーでは及ばないものの、プレッシングや守備を含めたプレー強度では明らかに上回るだけに、重要な戦力として指揮官に重宝される可能性は高い。
●アレッシオ・カッチャマーニ(トリノ/イタリア代表MF/19歳)
ミラン戦でイニャツィオ・アバーテ新監督率いるトリノの左WBとしてスタメン出場し、80分間左サイドを上下動して存在感を発揮。シセと同じく19歳でイタリアU-21代表に選出され、若手主体で臨んだ6月のギリシャ戦でイタリア代表に招集された。元々ウイングとして育ち、WBとしては明らかに攻撃型。右利きながら左足も十分に使いこなし、逆足側の左サイドを主戦場とするモダンなプレースタイルが持ち味だ。
持ち前のスピードと持久力を活かして大外レーンを縦に上下動するだけでなく、一列中に入って中盤でビルドアップに絡み、ファイナルサードでも縦への抜け出しとゴールに向かって斜めに仕掛ける動きの双方を自在にこなす。ミラン戦では得意の攻撃で存在感を示した反面、守備ではマッチアップしたサミュエル・チュクウェゼへの対応に手こずるなど、やや課題を残した。
生まれ故郷に近いファーノ、アンコーナ(いずれも当時セリエC)のアカデミーで育ち、16歳でトリノに引き抜かれるとすぐに頭角を現わし、翌24-25シーズンには17歳でセリエAデビュー。昨シーズンはセリエBのユーベ・スタビアにレンタルされて、36試合2601分出場と、大きな実戦経験を積む。そこで指導を受けたアバーテが今夏トリノの監督となり、レンタル先から復帰したカッチャマーニもその信頼を受ける形で開幕戦にスタメン出場を果たした。
今シーズンのトリノはカッチャマーニに加えて、同じ右利きのWB/SBながらより守備的な20歳のDFニッコロ・フォルティーニ、同じく今夏フィオレンティーナから移籍した21歳のCBピエトロ・コムッツォ、昨季の正GKアルベルト・パレアーリをベンチに追いやって開幕戦スタメンを勝ち取った19歳のディエゴ・マスカルディと、イタリア人の有望な若手が目白押し。外国人選手も含めて陣容の大半をU-23世代が占めるなど、若手の抜擢と価値向上を軸として興味深いプロジェクトに取り組んでいる。これがセリエAデビューとなる39歳と若いアバーテ監督も含め、今後も注目に値するチームだ。
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