2026年のバロンドール受賞者が現地10月26日にロンドンで発表され、バイエルンに所属するイングランド代表FWのハリー・ケインが、33歳にして最高の個人タイトルを手にした。
昨季、公式戦51試合で61ゴールを記録し、バイエルンの国内2冠に大きく貢献。さらに今夏の北中米ワールドカップでは6ゴールを挙げ、キャプテンとして母国を3位に導いた。個人、チームの両面で充実したシーズンを送ったストライカーが見事に、キリアン・エムバペ、ラミン・ヤマルら有力候補を抑えてみせたのだった。
この快挙に、各国メディアも大きく反応。母国英国では公共放送『BBC』が「ケインがイングランドの25年間にわたるバロンドールの空白に終止符を打った」と報じ、「個人のパフォーマンスという点で、昨季のケインは他の追随を許さなかった」と絶賛。『Daily Mail』紙は「征服者ケイン」と称え、『The Sun』紙も「ケインは初めてボールを蹴った時から、この瞬間を夢見ていたに違いない」と伝えている。
また、フランスのスポーツ紙『L'Équipe』は「キング・ハリー!」と賛辞を贈り、日刊紙『Le Parisien』は「長く過小評価され、魅力のない純粋なストライカーと見なされてきたが、33歳となりバイエルンで自らを進化させた末に、サッカー界の頂点に到達した」と、その成長を評価した。
続いてイタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』も、「素晴らしい得点力と組み立てへの貢献に加え、ピッチ外での飾らない人柄も際立っている。才能だけでなく巨大なエゴを持つスーパースターたちの世界で、彼は常に普通であり続ける。ケインがバロンドールを獲得するのに相応しい時があるとすれば、それは今だった」と称賛している。
スペインでは、マドリードのスポーツ紙『AS』が「ヤマルでもエムバペでもない。ケインだ! かつては、決してタイトルを獲得できないとまで言われていた。しかし、ついに成し遂げた。もはや呪われてはいない」と報じ、『MARCA』紙は「史上最大のスリルを伴って、バロンドールを獲得した」と綴った。
一方、スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、今回の受賞がイングランドにとって歴史的な意味を持つことに注目。「プレミアリーグは英国が世界に送り出した最も成功した輸出品のひとつだが、イングランド人選手の受賞は過去にわずか5度(1956年のスタンリー・マシューズ、66年のボビー・チャールトン、78~79年のケビン・キーガン、2001年のマイケル・オーウェン)しかなく、この25年間、誰も栄冠を手にしていなかった」と、同国と個人タイトルの最高峰が歴史的にいかに縁遠いものだったかを強調している。
そして同メディアは、「ケインはトッテナムで個人的な成功を収めながらも、チームとしてのタイトルに恵まれない10年間を過ごし、栄冠を求めてイングランドを離れた。その結果、バイエルンでタイトルを手にし、選手として最高の個人賞まで獲得した」と、その決断が実を結んだと結論付けた。
ケインの現在の主戦場であるドイツのスポーツ紙『Kicker』は、「ブンデスリーガ所属選手としては、1996年のマティアス・ザマー以来、実に30年ぶりの受賞となった」と紹介。「ケインはゴールだけでなく、そのプレースタイルでも受賞に相応しい理由を示した。時には自陣深くまで下がって組み立てに積極的に参加する。ストライカーとしては、これまで比較的珍しかった役割を担っている」と、その万能性を称えている。
前出の『The Guardian』紙は、ケインの歩みにも焦点を当て、「若い頃のケインは、特別な存在ではなかった。際立った技術や体格、数字を持っていたわけでもない。しかし彼は、ひたすら努力を続けた。諦めず、シュートの精度や長短のパスといった技術を磨き上げた」と振り返り、「才能とは、一瞬のプレーや身体能力だけではない。努力、集中力、技術、そして他者をより良くする能力も才能なのだ。これは努力と知性によって成し遂げられた、心を打つ成功物語だ」と称賛した。
しかし、この結果に誰もが賛同しているわけではないようだ。フランスの日刊紙『Le Figaro』は、受賞者発表の瞬間の候補者の表情に注目。「ヤマルは不満そうに口を尖らせ、エムバペは引きつった笑みを隠せないまま、今夜の勝者に拍手を贈った。一方、前回受賞者のウスマン・デンベレは冷静さを失わず、バイエルンでケインとともにプレーするマイケル・オリーセは笑みを浮かべて喜びを示した」と会場の様子を伝えている。
とりわけ厳しい論調だったのが、スペイン・バルセロナのスポーツ紙『Mundo Deportivo』だ。ディレクターのサンティ・ノラ氏が「今季の世界最高選手にケインを選んだことは、現実と一致していない。ロンドンでイングランド人選手を表彰するための出来レースのように感じられる。ヤマルを選ぶ勇気がなく、またしても若手選手賞だけを与えた。こうした決定によって賞の権威が失われる」と痛烈に批判した。
続けて「スペイン代表のワールドカップ優勝に貢献したヤマルこそ受賞に相応しかった」と改めて主張。「ケインは優れた選手であり、素晴らしい得点者だ。しかし、魔法を持っているのはヤマルだ。予測不能で、華麗で、他とは違うものは、必ずしもゴールという数字には表われない」と訴えている。
また、2位に終わったエムバペについて、フランスの『RMC Sport』は投票が極めて僅差だったことを報道。FIFAとともに同賞を主催する『France Football』誌のヴァンサン・ガルシア編集長が「ケインとエムバペの差は、本当にわずかだった。2024年のロドリとヴィニシウス・ジュニオールの41ポイント差よりも小さい」と明かしたことを伝え、さらに、3位のヤマルについては「W杯を制したスペイン代表では、ロドリとヤマルの間で票が分散した」と説明し、「スペインの集団としての強さが、個人賞の投票では不利に働いた」との見解を示した。
フランスのサッカー専門誌『SO FOOT』は、「エムバペにとっては新たな失望だが、最終的には本人にとっても、サッカー界全体にとっても良いニュースかもしれない」と指摘。このストライカーが、個人としては圧倒的な得点記録を残しながら、所属クラブと代表チームにタイトルをもたらせなかったことに言及し、「もし受賞していれば、それは個人主義、あるいは利己主義を称える賞になっていただろう」と論じた。
そのうえで、「27歳となった今、エムバペは自らの姿勢を変え、他者を勝利に導くことも学ぶべき時だ」と提言。「いつの日か、バロンドールが彼にとってそれほど重要ではなくなった時にこそ、ついにその栄冠を手にするのかもしれない。そしてその時には、我々も彼を祝福できるだろう」と綴って記事を締め括っている。
構成●THE DIGEST編集部
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昨季、公式戦51試合で61ゴールを記録し、バイエルンの国内2冠に大きく貢献。さらに今夏の北中米ワールドカップでは6ゴールを挙げ、キャプテンとして母国を3位に導いた。個人、チームの両面で充実したシーズンを送ったストライカーが見事に、キリアン・エムバペ、ラミン・ヤマルら有力候補を抑えてみせたのだった。
この快挙に、各国メディアも大きく反応。母国英国では公共放送『BBC』が「ケインがイングランドの25年間にわたるバロンドールの空白に終止符を打った」と報じ、「個人のパフォーマンスという点で、昨季のケインは他の追随を許さなかった」と絶賛。『Daily Mail』紙は「征服者ケイン」と称え、『The Sun』紙も「ケインは初めてボールを蹴った時から、この瞬間を夢見ていたに違いない」と伝えている。
また、フランスのスポーツ紙『L'Équipe』は「キング・ハリー!」と賛辞を贈り、日刊紙『Le Parisien』は「長く過小評価され、魅力のない純粋なストライカーと見なされてきたが、33歳となりバイエルンで自らを進化させた末に、サッカー界の頂点に到達した」と、その成長を評価した。
続いてイタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』も、「素晴らしい得点力と組み立てへの貢献に加え、ピッチ外での飾らない人柄も際立っている。才能だけでなく巨大なエゴを持つスーパースターたちの世界で、彼は常に普通であり続ける。ケインがバロンドールを獲得するのに相応しい時があるとすれば、それは今だった」と称賛している。
スペインでは、マドリードのスポーツ紙『AS』が「ヤマルでもエムバペでもない。ケインだ! かつては、決してタイトルを獲得できないとまで言われていた。しかし、ついに成し遂げた。もはや呪われてはいない」と報じ、『MARCA』紙は「史上最大のスリルを伴って、バロンドールを獲得した」と綴った。
一方、スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、今回の受賞がイングランドにとって歴史的な意味を持つことに注目。「プレミアリーグは英国が世界に送り出した最も成功した輸出品のひとつだが、イングランド人選手の受賞は過去にわずか5度(1956年のスタンリー・マシューズ、66年のボビー・チャールトン、78~79年のケビン・キーガン、2001年のマイケル・オーウェン)しかなく、この25年間、誰も栄冠を手にしていなかった」と、同国と個人タイトルの最高峰が歴史的にいかに縁遠いものだったかを強調している。
そして同メディアは、「ケインはトッテナムで個人的な成功を収めながらも、チームとしてのタイトルに恵まれない10年間を過ごし、栄冠を求めてイングランドを離れた。その結果、バイエルンでタイトルを手にし、選手として最高の個人賞まで獲得した」と、その決断が実を結んだと結論付けた。
ケインの現在の主戦場であるドイツのスポーツ紙『Kicker』は、「ブンデスリーガ所属選手としては、1996年のマティアス・ザマー以来、実に30年ぶりの受賞となった」と紹介。「ケインはゴールだけでなく、そのプレースタイルでも受賞に相応しい理由を示した。時には自陣深くまで下がって組み立てに積極的に参加する。ストライカーとしては、これまで比較的珍しかった役割を担っている」と、その万能性を称えている。
前出の『The Guardian』紙は、ケインの歩みにも焦点を当て、「若い頃のケインは、特別な存在ではなかった。際立った技術や体格、数字を持っていたわけでもない。しかし彼は、ひたすら努力を続けた。諦めず、シュートの精度や長短のパスといった技術を磨き上げた」と振り返り、「才能とは、一瞬のプレーや身体能力だけではない。努力、集中力、技術、そして他者をより良くする能力も才能なのだ。これは努力と知性によって成し遂げられた、心を打つ成功物語だ」と称賛した。
しかし、この結果に誰もが賛同しているわけではないようだ。フランスの日刊紙『Le Figaro』は、受賞者発表の瞬間の候補者の表情に注目。「ヤマルは不満そうに口を尖らせ、エムバペは引きつった笑みを隠せないまま、今夜の勝者に拍手を贈った。一方、前回受賞者のウスマン・デンベレは冷静さを失わず、バイエルンでケインとともにプレーするマイケル・オリーセは笑みを浮かべて喜びを示した」と会場の様子を伝えている。
とりわけ厳しい論調だったのが、スペイン・バルセロナのスポーツ紙『Mundo Deportivo』だ。ディレクターのサンティ・ノラ氏が「今季の世界最高選手にケインを選んだことは、現実と一致していない。ロンドンでイングランド人選手を表彰するための出来レースのように感じられる。ヤマルを選ぶ勇気がなく、またしても若手選手賞だけを与えた。こうした決定によって賞の権威が失われる」と痛烈に批判した。
続けて「スペイン代表のワールドカップ優勝に貢献したヤマルこそ受賞に相応しかった」と改めて主張。「ケインは優れた選手であり、素晴らしい得点者だ。しかし、魔法を持っているのはヤマルだ。予測不能で、華麗で、他とは違うものは、必ずしもゴールという数字には表われない」と訴えている。
また、2位に終わったエムバペについて、フランスの『RMC Sport』は投票が極めて僅差だったことを報道。FIFAとともに同賞を主催する『France Football』誌のヴァンサン・ガルシア編集長が「ケインとエムバペの差は、本当にわずかだった。2024年のロドリとヴィニシウス・ジュニオールの41ポイント差よりも小さい」と明かしたことを伝え、さらに、3位のヤマルについては「W杯を制したスペイン代表では、ロドリとヤマルの間で票が分散した」と説明し、「スペインの集団としての強さが、個人賞の投票では不利に働いた」との見解を示した。
フランスのサッカー専門誌『SO FOOT』は、「エムバペにとっては新たな失望だが、最終的には本人にとっても、サッカー界全体にとっても良いニュースかもしれない」と指摘。このストライカーが、個人としては圧倒的な得点記録を残しながら、所属クラブと代表チームにタイトルをもたらせなかったことに言及し、「もし受賞していれば、それは個人主義、あるいは利己主義を称える賞になっていただろう」と論じた。
そのうえで、「27歳となった今、エムバペは自らの姿勢を変え、他者を勝利に導くことも学ぶべき時だ」と提言。「いつの日か、バロンドールが彼にとってそれほど重要ではなくなった時にこそ、ついにその栄冠を手にするのかもしれない。そしてその時には、我々も彼を祝福できるだろう」と綴って記事を締め括っている。
構成●THE DIGEST編集部
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