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Jリーグ・国内

“包囲網”にも屈しない川崎の俊英。三笘薫はさらに上のステージへ

小室功

2021.02.25

昨季、新人記録タイとなる通算13ゴールを決めた、プロ2年目の三笘薫。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

昨季、新人記録タイとなる通算13ゴールを決めた、プロ2年目の三笘薫。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 そのスコアを目にしたとき、軽い衝撃を受けた。

 14-3。

 Jリーグ連覇を狙う川崎が沖縄キャンプ最終日の2月13日、札幌を相手に行った練習試合でのことだ。45分×4本の設定とはいえ、これほどまでに点差が開くケースは珍しいのではないか。現地で取材していたわけではないので、結果から受ける印象にすぎないが、まずは驚嘆し、「容赦しないな」と感じ入り、川崎の攻撃の破壊力に改めて唸ってしまった。

 チームのバンディエラである中村憲剛が引退し、主軸ボランチの守田英正が海外クラブに移籍。代わって、展開力のあるジョアン・シミッチ(前・名古屋)、テクニカルな小塚和季(前・大分)、プレー強度の高さが持ち味の塚川孝輝(前・松本)ら、中盤の即戦力を次々に獲得。限りある時間のなかで、個々の見極めとともに組み合わせを試すなど、シーズン開幕に向けて準備を進めている様子が伝わってきた。

 そこからちょうど1週間後の20日、『FUJI XEROX SUPER CUP 2021』では昨季リーグ2位であり、天皇杯準優勝でもあるG大阪と激突。最終的に3-2で川崎が勝利したこのゲームは、チームの仕上がりを最終チェックするうえで、貴重な機会だった。

 新戦力のジョアン・シミッチをアンカーに置く4-3-3システムの川崎が立ち上がりからボールを支配し、相手ゴールに迫った。3トップの左に入るプロ2年目の三笘薫が29分、32分と立て続けに得点し、あっという間にリードを広げる。前半のシュート数は川崎が9本で、G大阪が2本。この事実ひとつで、ゲームの趨勢がすぐに浮かんでくるだろう。
 
 昨季のJリーグで新人記録タイとなる通算13ゴールを決め、なおかつベストイレブンに選ばれた三笘がやはりキーパーソンのひとりだ。ボールを持つたびにスタンドから歓声が上がり、その一挙手一投足に視線が集まった。

 理詰めの宮本恒靖監督が率いるG大阪である。スピードに乗らせたら危険極まりないアタッカーを野放しにするわけがない。「前を向かせない守備」を徹底し、良さを消しにかかった。

 ところが、三笘自身は「そんなに対策されているような感じはしなかった」と意に介さず。あのくらい後ろからバチバチこられても当然――と思っているふしがあり、頼もしい。とはいえ、「得点以外のところでは何もできなかった。味方とうまく連携して、もっとゴールに迫っていきたい」と、反省と改善を口にしている。

 今季、“三笘包囲網”はさらに厳しさを増すだろう。そこで、どれだけの結果を起こすことができるか。見るものを魅了してやまない俊英にとって一大テーマとなる。
 

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