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スペイン・サッカー連盟が3大陸6か国での共催となる2030年W杯の使用スタジアムを発表! 過半数の11会場確保で“メインの開催国”という立場は守られたが…ビーゴとバレンシアは落選

下村正幸

2024.07.23

2030年ワールドカップの決勝の会場と噂されるサンティアゴ・ベルナベウ。(C)Getty Images

2030年ワールドカップの決勝の会場と噂されるサンティアゴ・ベルナベウ。(C)Getty Images

 昨年10月、FIFA(国際サッカー連盟)の評議会が、2030年ワールドカップ(W杯)に向けてスペイン、ポルトガル、モロッコの3か国共催案を一本化することを決議した。共催とはいえ、スペインがメインの開催国となることはかねてから伝えられていたが、旧知のスペイン人記者は、「本来なら単独で開催できる能力があった中で、共催になったことが納得できない」という。

 しかもFIFAは、W杯誕生100周年を記念して、1930年に第1回大会が開催されたウルグアイをはじめ、アルゼンチン、パラグアイの南米3か国で開幕戦の3試合を1試合ずつ実施することを決議していた。つまり史上最多の3大陸6か国での開催となるわけだ。

 それから約10か月が経過した今月19日、スペイン・サッカー連盟(RFEF)はW杯で使用する11の試合会場を発表した。他の共催2か国の内訳は、モロッコが6会場、ポルトガルが3会場だ。会場の多さからも、「スペインがメイン」という立場は守られたが、本来RFEFは13会場での開催を目指していて、政府も介入して交渉を続けていた。しかし、「会場数は最大20まで」というルールを盾にポルトガルとモロッコの反対に遭い、最終的に交渉は決裂。ガリシア地方のビーゴ(セルタの本拠地)とスペイン第3の都市バレンシアがその犠牲となった。

 バレンシアのスポーツ紙『スーペル・デポルテ』は、今回の落選に対し「失敗、失望、そして何より(RFEFは)言動に根拠がなくでたらめだ」と一刀両断する一方で、変則的な共催案についても苦言を呈する。

「当初はスペインとポルトガルの2か国による共催を目指していたはずだ。それが何の説明もないまま、土壇場でモロッコが加わり、オマージュという名目で南米でも数試合が行なわれることになった。複数の大陸での開催など、理解不能だ」
 
 また、昨年の女子W杯の表彰式で起きた前会長の“キス騒動”から続くRFEFの混乱に乗じて、決勝の会場をモロッコに持っていかれるのではないかという報道もスペインにはある。しかし『AS』紙のフアン・ヒメネス氏は、「モロッコはカサブランカに建設予定の巨大スタジアム(世界最大級の11万5000人収容と発表)での開催を目指して(決勝の)招致活動を進めているが、よほどのことがない限り、決勝はサンティアゴ・ベルナベウで行なわれるはずだ」とあくまで楽観的だった。

 ちなみに2030年、ラミネ・ヤマルは23歳になっている。前回スペインが単独で開催した1982年大会では、スペインは2次リーグで敗退した。大会の盛り上がりにはホスト国の躍進が欠かせないが、そのヤマルを筆頭に楽しみな若手が多いスペインには、明るい未来が広がっている。

 また、今回発表された11会場はあくまでRFEFの決定事項であり、最終的にはFIFAの承認が必要となる。バレンシアはまだ招致を断念しておらず、政府の協力も得て会場数の増加を目指すが、その可能性についてフアン・ヒメネス記者は「ルールを覆すのは困難」とこちらは悲観的だった。

2030年W杯で使用予定のスペイン11会場(カッコ内は所有クラブ)
●アノエタ(レアル・ソシエダ)
●カンプ・ノウ(バルセロナ)
●グラン・カナリア(ラス・パルマス)
●ラ・カルトゥハ(アンダルシア州政府など)
●ラ・ロサレダ(マラガ)
●メトロポリターノ(アトレティコ・マドリー)
●ラ・ロマレダ(サラゴサ)
●RCDE(エスパニョール)
●リアソール(デポルティボ)
●サン・マメス(アスレティック・ビルバオ)
●サンティアゴ・ベルナベウ(レアル・マドリー)

文●下村正幸

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