海外サッカー

マンCが有罪となりプレミアやCLから締め出されれば、主力の大量流出は避けられず…“漁夫の利”狙うマドリーは「判決の行方を注視している」

下村正幸

2024.09.25

マンCの有罪が確定すれば、マドリーはロドリやハーランドの獲得に動くはずだ。(C)Getty Images

 マンチェスター・シティが2009年から2018年にかけて財務規則違反を犯した疑いで調査対象になっている問題は、スペインでも話題になっている。

 そんななか、「世紀の裁判がシティのスターを不安に陥れる」というインパクトのあるタイトルとともに詳細を報じているのが、レアル・マドリー寄りのスポーツ紙で知られる『AS』だ。同紙は「シティの将来を左右する極めて重要な決定になる」として、「プレミアリーグやチャンピオンズリーグ(CL)からの締め出しを食らう判決となれば、主力の大量流出は避けられない」と伝えている。

 シティは過去3シーズン連続、CLでマドリーと激戦を繰り広げている。マドリーにとって現在欧州の覇権を争ううえでの最大のライバルと言ってもいい。マドリディスタにとっては、バルセロナの監督時代に散々辛酸を舐めさせられた"カタルーニャの象徴"、ジョゼップ・グアルディオラが指揮するチームでもある。
 
「人々は我々が有罪になることを期待している」

 そのグアルディオラ監督は一連の問題についてこう語るが、「人々」の中には、好むと好まざるとにかかわらず敵対関係にあるマドリディスタも含まれているだろうことは想像に難くない。『AS』紙の看板記者であるアリツ・ガビロンド氏は、同紙のコラムでこのグアルディオラ監督の言葉を受け、「人々が期待しているのは、他のすべてのクラブがそうであるように、シティがルールをしっかり遵守していることだ」と言い返し、白黒はっきりさせてほしいと願うマドリディスタ、さらにはスペイン人ファンの気持ちを代弁している。グアルディオラが監督を務めていることで、2025年初頭と言われる判決の確定時期が近づくにつれ、マドリードでは同情論が噴出するどころか、反発感情が高まることは十分に考えらえる。

 判決内容は、プレミアやCLからの締め出しに加えて、勝点の剥奪などが予想されているが、さらに危惧されるのが、この問題が既存戦力の契約延長や新戦力の獲得も含めたチーム作り、選手たちのモチベーションに与える影響だ。当のグアルディオラ監督も来年6月に現行の契約が満了する。ガビロンド記者は、シティが平静を装う中でも、「選手たちの間では不安が広がっている」と伝えている。

 シティには、マドリーが中盤の補強の獲得候補にリストアップしているとされるロドリや、過去に何度か獲得を狙っていると報じられたアーリング・ハーランドらが所属する。『AS』紙は、「マドリーは判決の行方を注視している」と伝えており、隙あらば、漁夫の利を得る腹積もりだろう。

 ガビロンド記者は、「2025年にすべての決着がつく。法廷が救いの手を差し伸べなければ、いま我々が知っているシティはどこかに行ってしまうだろう」と警告する。様々な思惑が絡み合いながら、スペイン・サッカー界も判決を待っている。

文●下村正幸

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