バルセロナのキャプテンは、伝統的に年功序列制で選出されてきた。今シーズンは8月23日にクラブ公式サイトを通じて、第1キャプテンから順にマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン、ロナルド・アラウホ、フレンキー・デ・ヨング、ラフィーニャ、ペドリが務めると発表された。しかしそこには選手間投票を経てという件があり、また例年は、第4キャプテンまでのところを、今シーズンは第5キャプテンまで任命している。
ポイントとなっているのは、ラフィーニャの存在だ。年功序列制であれば、慣例に従って昨シーズン、第1キャプテンを務めたセルジ・ロベルトの退団に伴い、テア・シュテーゲン、アラウホ、デ・ヨングを第2、第3、第4キャプテンからそれぞれ1つずつ繰り上げし、残る選手の中で最も在籍年数が長いペドリを第4キャプテンに選べば事足りる。しかしラフィーニャは、デ・ヨングとペドリの間に割り込む形でその大役に就いた。逆にペドリは、第5キャプテンという本来なら存在しないポジションに収まった。
スペイン紙『AS』のバルサ番記者のフアン・ヒメネス氏によると、真相はこうだ。選手間投票で最も票を集めたのはラフィーニャだった。しかし昨シーズンの第2から第4までのキャプテンたちに配慮し、先述のような形で発表され、第4キャプテンに最多得票のラフィーニャが収まったという。
そのカラクリにまでは踏み込んでいないが、スペイン紙『スポルト』がラフィーニャが選ばれた背景を報じている。曰く、最大の根拠となったのが、昨年8月にバルサのSD(スポーツディレクター)に転身したデコとの関係だという。ラフィーニャはデコの代理人時代の顧客のひとり。チーム内の意見をまとめてフロントに掛け合うのもキャプテンの重要な仕事の1つだが、長年の信頼関係を基にした太いパイプを持ったラフィーニャであれば、何か問題が発生した際に大きな力になるという判断だ。
もちろん、キャプテンとしてリーダーシップが発揮できなければ意味をなさない。ラフィーニャは港町ポルト・アレグレの外れにあるスラム街で育った苦労人だ。19歳で欧州に渡った後も、クラブを転々としながら、ステップアップを果たしてきた。『スポルト』の別の記事には、「若手の間では何かあった時に率先して手を差し伸べてくれる頼りがいのあるところが評価され、ハンジ・フリック監督も、チームの団結力を高める上で必要不可欠な人材と認識している」とある。
ラ・リーガは今シーズンから、キャプテンのみが審判員とコミュニケーションを取ることができるというルールが適用されている。バルサでは第1キャプテンのテア・シュテーゲンがGKで、アラウホとデ・ヨングが怪我で出遅れたため、開幕以来、ラフィーニャがその役割を担ってきた。さらにテア・シュテーゲンが怪我で戦線を離脱した後は、キャプテンマークを巻いてプレーしており、本人は「キャプテンマークは、僕にとって大きな意味がある。とても興奮している。バルサのキャプテンとしてプレーすることは、とても特別なことなんだ」と感慨深げに語っている。
こうした自信に満ちた振る舞いが、開幕以来のハイパフォーマンスを支えているのは間違いない。フリック監督が志向する縦に速いサッカーが、推進力、フリーランニング、裏に抜ける動きといったラフィーニャの持ち味にマッチし、1980年代にウイングとして名を馳せたバルサOBのフランシスコ・ホセ・カラスコ氏の『ムンド・デポルティボ』紙のコラムでの言葉を借りれば、「ピッチ上を飛ぶようにプレー」している。
バルサは今、過度期の真っ只中にある。数年後は、前述のアラウホとペドリに加え、ガビ、パウ・クバルシといったリーダーになる資質を持っていると評価されている選手がキャプテンを務めていることが予想される。そんな中、慣例を覆してキャプテンに抜擢された叩き上げの苦労人が、ピッチ内外で若いバルサを引っ張っている。
文●下村正幸
【動画】ラフィーニャ、キャリア初のハットトリック達成!
ポイントとなっているのは、ラフィーニャの存在だ。年功序列制であれば、慣例に従って昨シーズン、第1キャプテンを務めたセルジ・ロベルトの退団に伴い、テア・シュテーゲン、アラウホ、デ・ヨングを第2、第3、第4キャプテンからそれぞれ1つずつ繰り上げし、残る選手の中で最も在籍年数が長いペドリを第4キャプテンに選べば事足りる。しかしラフィーニャは、デ・ヨングとペドリの間に割り込む形でその大役に就いた。逆にペドリは、第5キャプテンという本来なら存在しないポジションに収まった。
スペイン紙『AS』のバルサ番記者のフアン・ヒメネス氏によると、真相はこうだ。選手間投票で最も票を集めたのはラフィーニャだった。しかし昨シーズンの第2から第4までのキャプテンたちに配慮し、先述のような形で発表され、第4キャプテンに最多得票のラフィーニャが収まったという。
そのカラクリにまでは踏み込んでいないが、スペイン紙『スポルト』がラフィーニャが選ばれた背景を報じている。曰く、最大の根拠となったのが、昨年8月にバルサのSD(スポーツディレクター)に転身したデコとの関係だという。ラフィーニャはデコの代理人時代の顧客のひとり。チーム内の意見をまとめてフロントに掛け合うのもキャプテンの重要な仕事の1つだが、長年の信頼関係を基にした太いパイプを持ったラフィーニャであれば、何か問題が発生した際に大きな力になるという判断だ。
もちろん、キャプテンとしてリーダーシップが発揮できなければ意味をなさない。ラフィーニャは港町ポルト・アレグレの外れにあるスラム街で育った苦労人だ。19歳で欧州に渡った後も、クラブを転々としながら、ステップアップを果たしてきた。『スポルト』の別の記事には、「若手の間では何かあった時に率先して手を差し伸べてくれる頼りがいのあるところが評価され、ハンジ・フリック監督も、チームの団結力を高める上で必要不可欠な人材と認識している」とある。
ラ・リーガは今シーズンから、キャプテンのみが審判員とコミュニケーションを取ることができるというルールが適用されている。バルサでは第1キャプテンのテア・シュテーゲンがGKで、アラウホとデ・ヨングが怪我で出遅れたため、開幕以来、ラフィーニャがその役割を担ってきた。さらにテア・シュテーゲンが怪我で戦線を離脱した後は、キャプテンマークを巻いてプレーしており、本人は「キャプテンマークは、僕にとって大きな意味がある。とても興奮している。バルサのキャプテンとしてプレーすることは、とても特別なことなんだ」と感慨深げに語っている。
こうした自信に満ちた振る舞いが、開幕以来のハイパフォーマンスを支えているのは間違いない。フリック監督が志向する縦に速いサッカーが、推進力、フリーランニング、裏に抜ける動きといったラフィーニャの持ち味にマッチし、1980年代にウイングとして名を馳せたバルサOBのフランシスコ・ホセ・カラスコ氏の『ムンド・デポルティボ』紙のコラムでの言葉を借りれば、「ピッチ上を飛ぶようにプレー」している。
バルサは今、過度期の真っ只中にある。数年後は、前述のアラウホとペドリに加え、ガビ、パウ・クバルシといったリーダーになる資質を持っていると評価されている選手がキャプテンを務めていることが予想される。そんな中、慣例を覆してキャプテンに抜擢された叩き上げの苦労人が、ピッチ内外で若いバルサを引っ張っている。
文●下村正幸
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