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アトレティコ、今夏に大型補強も安定の3番手に甘んじ、お決まりのシメオネ政権終焉説が浮上…識者は「“チョリスモ”にそぐわない戦いを続けている」と指摘

下村正幸

2024.10.23

レガネス戦で逆転弾を決めたグリーズマン(右)と、アシストしたジュリアーノ(左)。(C)Getty Images

 近年、低調な成績が続くと、アトレティコ・マドリーの周辺で決まって浮上するものがある。ディエゴ・シメオネ政権の終焉説だ。フリアン・アルバレスを筆頭に大型補強を敢行しながら、アウェーで取りこぼしが続いている今シーズン序盤も、やはり同様の声が持ち上がっている。

 もちろん、まだ開幕して2か月ほどだ。シメオネ監督がよく口にするように、最終的な評価を下すべきはシーズンが終わってからだ。その点に断りを入れつつ、YouTubeチャンネル『ピサリータス』でこのシメオネ政権の終焉説を巡り、『ラジオ・マルカ』の人気番組『ラ・ピサーラ・デ・キンターナ』の出演者3人が意見を交わしている。

 MCでもあるミゲル・キンターナ氏が兆候のひとつとして指摘するのが、12月で丸13年となる長期政権がもたらす歪みだ。「信念、エネルギー、要求レベルといった"チョリスモ"(シメオネ主義)にそぐわない戦いを続けている。何より問題なのは、チョロ(シメオネの愛称)自身が、その状態に陥っているように見えることだ。クラブはシメオネとの関係で、シメオネは選手たちとの関係で、それぞれ馴れ合いのようなものが生まれている。本来はファンが真っ先に退任を要求しなければならない対象であるシメオネが、神格化されてしまっていることも状況を難しくしている」

 少し前『EPSN』のインタビューでシメオネは、「レアル・マドリーとバルセロナの2強に次ぐ3位が現実的な目標」と語っている。出演者の1人アドリアン・ブランコ氏がこうした発言に失望していると述べる一方で、キンターナ氏は、「だからこそ2強と対等に戦うには、プラスアルファが不可欠だ。"シメオネ・アトレティコ"らしい相手の嫌がるプレーだ。しかし最近、それが見られない」と強調する。

 その要因としてキンターナ氏が挙げるのが、上は2強と、下はその他のクラブと離れたポジションに甘んじてしまっているアトレティコのラ・リーガにおける3番手としての立ち位置だ。「ここから前進するのも、後退するのも難しい。普通に戦えば、3位が定位置だ。上と下のどちらにも行くのも困難な状況が、目標設定を難しくしている」
 
 ブランコ氏も、もう1人の出演者のナウエル・ミランダ氏も、シメオネ政権終焉の時は確実に近づいていると認め、アトレティコのチームカラーに合った次期監督候補には、セルジオ・コンセイソン(現在はフリー)、マルセリーノ・ガルシア・トラル(現ビジャレアル監督)、ウナイ・エメリ(現アストン・ビラ監督)の名前を挙げた。

 この動画がアップされたのは、インターナショナルブレイクを経てラ・リーガが再開した18日。再開初戦のホームのレガネス戦は前半に先制を許す厳しい展開となった。しかしその流れを変えたのが、後半途中から出場したシメオネの息子ジュリアーノだった。とりわけタッチラインを割りそうなボールをスライディングで拾う姿勢や、鋭いグラウンダーのクロスを入れニアに詰めたアントワーヌ・グリーズマンの決勝点(アトレティコが3-1で勝利)をアシストしたプレーは、クラブOBで、現在コメンテーターとして活躍するキコ氏も「チョリスモを注入したアクション!」と絶賛した。

 ブランコ氏は、「選手たちにメッセージが届かなくなれば、あるいは自分自身のエネルギーが枯渇すれば、シメオネは自ら去ることになるだろう」と予想する。3人がそのバロメーターとして位置づけているのがチョリスモを取り戻せるかどうかという点だ。

文●下村正幸

【動画】先制されながらもアトレティコが逆転勝利! 10節レガネス戦ハイライト
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