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海外サッカー

クラシコのスキャンダラスな敗北でマドリーを覆っていた問題点が浮き彫りに!「エムバペの個性を輝かせるために、ベリンガムの攻撃力を犠牲にするのは間違いだ」

下村正幸

2024.10.30

今夏マドリーに入団したエムバペ(左)と2年目のベリンガム(右)。(C)Getty Images

今夏マドリーに入団したエムバペ(左)と2年目のベリンガム(右)。(C)Getty Images

 クラシコは注目度が高い分、結果がもたらす影響も甚大だ。

 大物ジャーナリストのサンティアゴ・セグロラ氏は、土曜日に0-4の完敗を喫したレアル・マドリーについて「大差で敗れて、自分たちの欠点を説明する義務を負わされた。マドリーは開幕から暗雲のようにチームを覆っていた問題点が浮き彫りになり、スキャンダラスな敗北によって深刻な傷を負った」と指摘している。

 ではその問題点とは何か? マドリーOBで、現在はコメンテーターとして活躍するアルバロ・ベニート氏は、「問題点はいくつかあるが、その中でも私が強調したいのが守備の整備だ。ドルトムント戦とバルサ戦では重大なミスから失点を繰り返した。現状マドリーが求められる守備のレベルからはほど遠いところにある。そのミスには、DFラインの技術的なものと、組織的な問題に起因するものの2つがある。攻撃にできるだけ多くのエネルギーを注ぎ込んでもらいたいという考えから、プレスバック時のスプリントやリトリートを”セーブ”する選手がいる状況に、終止符を打つ必要があると思う」と解説する。

 ベニート氏の頭の中に、カルロ・アンチェロッティ監督が、「プレスに奔走するよりも、ゴールを決めてもらいたい」と言及するキリアン・エムバペがあるだろうことは想像に難くないが、「ラフィーニャは守備でハードワークしながら、まるでダメージを受けることなく、ゴール前で決定的な仕事をしている」とバルサのアタッカーを引き合いに出して、「緊急に改善しなければならない問題だ」と主張する。
 
 そのエムバペについては、大手ラジオ局『カデナ・セール』でマドリー戦の実況を務めるアントニオ・ロメロ氏も、「ベリンガムの攻撃力を犠牲にしてまでプレースタイルを見直しているのは、すべてはエムバペの違いを作り出す個性を輝かせたいからだ。しかし、今のところその試みはうまく行っていない。守備的な仕事を免除され、加入したその日からスタメンの座を保証され、毎試合90分間プレーするといった具合に様々な特権を得ているエムバペだが、ピッチ上では所在なさげだ。クラシコでは、バルサ守備陣の前に時に無力感を漂わせ、試合中に見せる素振りからは焦りや自信のなさが伝わってきた。観客はここがリーグ・アンでもパリ・サンジェルマンでもないことを知らしめる最初の警告であるかのように、何度かブーイングという罰を与えていた」とやり玉に挙げる。

 逆に、バルサ寄りの識者からすれば、エムバペは格好のターゲットであり、大手ラジオ局『オンダ・セロ』でバルサ戦の実況を担当するアルフレッド・マルティネス氏は、「エムバペを擁した金満のマドリーが21歳以下の選手が先発11人の半数以上(6人)を占めるラ・マシア色の強いバルサに葬り去られた」と、自前の選手が躍動するヤング・バルサと巨額の資金を投じてスター選手を買い漁ったマドリーという構図を描いて、溜飲を下げている。

 前出のベニート氏は、完敗の中にも希望を見出し、巻き返しに期待する。「今回の敗戦からポジティブな要素を取り出すなら、受けたビンタがあまりに強烈で、現実をしっかり直視しなければならなくなったことだ。まだまだ先は長い。もう言い訳は許されない」

文●下村正幸

【動画】バルサに大敗を喫したクラシコのハイライト
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