2024-2025シーズンのラ・リーガが開幕してからまもなく3か月が経過するが、まさかの事態が起きている。レアル・マドリーとバルセロナのビッグ2の力関係が、完全に逆転したのだ。
最後のピースとしてキリアン・エムバペを迎えたマドリーが他を寄せ付けず、若手に頼らざるを得ないバルサは苦戦必至というのが戦前の予想だった。ところが、新任のドイツ人監督、ハンジ・フリックに率いられたバルサが快進撃を披露し、マドリーはエムバペの加入がここまではむしろブレーキとなり、ジュード・ベリンガムからはゴールが失われ、ティボー・クルトワとダニエル・カルバハルが負傷し、ヴィニシウス・ジュニオールだけが頼みの状況となっている。そして、この事態にご満悦なのがいうまでもなくバルサ寄りのメディアだ。
そのひとつ『ムンド・デポルティボ』の副編集長、エクトル・コカ氏も「一夜にして我々は、ラ・リーガで首位を独走し、あらゆる記録を塗り替えている強いバルサを発見した。特筆に値するのは、若い選手たちが違いを作り出していることだ」と胸を張る。
両者の現在の状況が顕著に現われたのが、パリで行なわれたバロンドールの授賞式で、先述のエクトル・コカ氏もしっかりこれに言及。女子バロンドールでバルサの選手がトップ3を独占し、ラミン・ヤマルが21歳以下の年間最優秀選手賞を受賞したことを受けて、「今回の授賞式は、大半の場面でブラウグラナ(バルサのクラブカラー。青とエンジの意)一色だった。バルサはセンセーショナルなイメージを与えた」と絶賛する一方で、「ふたつの賞(カルロ・アンチェロッティの最優秀監督賞と男子の最優秀クラブ賞)を受賞したにもかかわらず、欧州中のサッカー関係者が視線を送る中、グロテスクな集団ボイコットを決行し、最悪のイメージを与えたマドリーとは対照的だった」とライバルクラブを皮肉った。
今を時めくヤング・バルサの象徴は、言うまでもなくヤマルだ。ジャーナリストのシャビエル・ボッシュ氏は、バロンドールの授賞式で、ディディエ・ドログバとルート・フリットからそのヤマルがリオネル・メッシと比較されたことを引き合いに出し、「フロレンティーノ・ペレスの悪夢」と題したコラムを『ムンド・デポルティボ』に掲載。「ペレスはメッシがバルサを去るのを15年以上も待ち続けた挙句、ジョアン・ラポルタ会長の理解不能な決断のおかげでようやく一息つけるかと思ったら、バルサのカンテラからまた1人、天賦の才に恵まれた若者が台頭するのを目の当たりにしている。エムバペ、ヴィニシウス、ロドリゴ、ベリンガムを擁し、今後10年間天下を取れると意気揚々としていたのに、"新時代の旗手"はライバルクラブに現われた。マドリーの上層部にとってはまさに悪夢。彼らはある種の不眠症に陥っている」と持論を展開した。
バルサファンの大きな誇りになっているのが、そのヤマルを筆頭にラ・マシア育ちの若者が主軸を担うチームが新銀河系軍団を凌駕している点で、作家でバルサファンであることを公言しているウーゴ・スコッシア氏は、「マドリーからすれば、バルサ愛を貫くラ・マシア出身の少年たちで構成されたチームに負けるのは、さぞかし悔しいだろう。近年、多くのタイトルを手にしてきたにもかかわらず、マドリーが決して手にすることができないのは、数年前にメッシ、シャビ、アンドレス・イニエスタ、カルレス・プジョール、ジェラール・ピケ、セルヒオ・ブスケッツ、ビクトル・バルデスらが成し遂げ、そして今、ヤマル、ガビ、フェルミン・ロペス、ダニ・オルモ、パウ・クバルシ、マルク・カサド、イニャキ・ペーニャらが体現していること、つまり自前のカンテラで育てた若者たちによって世界最高のサッカーを披露することだ」と強調する。
サッカーは絶えず状況が変化するとはよく言われることだが、バルサファンにとっての痛快なストーリーが今、偉大なる若者たちが主役となって展開されている。
文●下村正幸
【動画】思わぬ大差がついたクラシコ…マドリー対バルサのハイライト
最後のピースとしてキリアン・エムバペを迎えたマドリーが他を寄せ付けず、若手に頼らざるを得ないバルサは苦戦必至というのが戦前の予想だった。ところが、新任のドイツ人監督、ハンジ・フリックに率いられたバルサが快進撃を披露し、マドリーはエムバペの加入がここまではむしろブレーキとなり、ジュード・ベリンガムからはゴールが失われ、ティボー・クルトワとダニエル・カルバハルが負傷し、ヴィニシウス・ジュニオールだけが頼みの状況となっている。そして、この事態にご満悦なのがいうまでもなくバルサ寄りのメディアだ。
そのひとつ『ムンド・デポルティボ』の副編集長、エクトル・コカ氏も「一夜にして我々は、ラ・リーガで首位を独走し、あらゆる記録を塗り替えている強いバルサを発見した。特筆に値するのは、若い選手たちが違いを作り出していることだ」と胸を張る。
両者の現在の状況が顕著に現われたのが、パリで行なわれたバロンドールの授賞式で、先述のエクトル・コカ氏もしっかりこれに言及。女子バロンドールでバルサの選手がトップ3を独占し、ラミン・ヤマルが21歳以下の年間最優秀選手賞を受賞したことを受けて、「今回の授賞式は、大半の場面でブラウグラナ(バルサのクラブカラー。青とエンジの意)一色だった。バルサはセンセーショナルなイメージを与えた」と絶賛する一方で、「ふたつの賞(カルロ・アンチェロッティの最優秀監督賞と男子の最優秀クラブ賞)を受賞したにもかかわらず、欧州中のサッカー関係者が視線を送る中、グロテスクな集団ボイコットを決行し、最悪のイメージを与えたマドリーとは対照的だった」とライバルクラブを皮肉った。
今を時めくヤング・バルサの象徴は、言うまでもなくヤマルだ。ジャーナリストのシャビエル・ボッシュ氏は、バロンドールの授賞式で、ディディエ・ドログバとルート・フリットからそのヤマルがリオネル・メッシと比較されたことを引き合いに出し、「フロレンティーノ・ペレスの悪夢」と題したコラムを『ムンド・デポルティボ』に掲載。「ペレスはメッシがバルサを去るのを15年以上も待ち続けた挙句、ジョアン・ラポルタ会長の理解不能な決断のおかげでようやく一息つけるかと思ったら、バルサのカンテラからまた1人、天賦の才に恵まれた若者が台頭するのを目の当たりにしている。エムバペ、ヴィニシウス、ロドリゴ、ベリンガムを擁し、今後10年間天下を取れると意気揚々としていたのに、"新時代の旗手"はライバルクラブに現われた。マドリーの上層部にとってはまさに悪夢。彼らはある種の不眠症に陥っている」と持論を展開した。
バルサファンの大きな誇りになっているのが、そのヤマルを筆頭にラ・マシア育ちの若者が主軸を担うチームが新銀河系軍団を凌駕している点で、作家でバルサファンであることを公言しているウーゴ・スコッシア氏は、「マドリーからすれば、バルサ愛を貫くラ・マシア出身の少年たちで構成されたチームに負けるのは、さぞかし悔しいだろう。近年、多くのタイトルを手にしてきたにもかかわらず、マドリーが決して手にすることができないのは、数年前にメッシ、シャビ、アンドレス・イニエスタ、カルレス・プジョール、ジェラール・ピケ、セルヒオ・ブスケッツ、ビクトル・バルデスらが成し遂げ、そして今、ヤマル、ガビ、フェルミン・ロペス、ダニ・オルモ、パウ・クバルシ、マルク・カサド、イニャキ・ペーニャらが体現していること、つまり自前のカンテラで育てた若者たちによって世界最高のサッカーを披露することだ」と強調する。
サッカーは絶えず状況が変化するとはよく言われることだが、バルサファンにとっての痛快なストーリーが今、偉大なる若者たちが主役となって展開されている。
文●下村正幸
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