ラ・リーガの優勝争いが風雲急を告げている。
開幕から派手なスタートを切ったバルセロナがその後派手にこけたことがその要因だろう。ホームでそのバルサに大敗(0-4)を喫したクラシコの後、諦めムードが漂っていたレアル・マドリーと、引き分け続きの序盤戦を過ごしたアトレティコ・マドリーが、急激な巻き返しを見せはじめ、タイトルレースはいまや三つ巴戦の様相を呈している。現時点では、バルサがまだ首位をキープしているとはいえ、マドリーが勝点2差、アトレティコが勝点3差に迫っているうえ、バルサは消化試合が1つ多いため、もはやリードはあってないようなものだ。
この状況にはバルサ界隈の識者も戸惑いを隠せないようだ。
「バルサは驚くほど最高と最悪のギャップが激しいシーズンを過ごしている。その姿はまるでロープの上を綱渡りしているようだ。ラ・リーガ直近5試合で1勝2分け2敗の勝点5と急失速。結局、言われていたほど強いチームではなかったということだろう」(バルサ寄りスポーツ紙『スポルト』の元編集長、ジョゼップ・マリア・カサノバス氏)。
「我々は幸先の良いスタートを切ったことで、余りにも早くはしゃぎすぎたのかもしれない」(大手ラジオ局『オンダ・セロ』でバルサ戦の実況を担当するアルフレッド・マルティネス氏)。
一方、俄然盛り上がってきたのが首都マドリードで、マドリディスタを公言するスポーツ紙『AS』の名物記者、トマス・ロンセオ氏は当然ながら鼻息は荒い。「私が敬愛するマドリーに忠誠を誓っている人たちを含む多くのサッカーファンが、クラシコが終わった頃、フリックのバルサがラ・リーガをぶっちぎりで優勝し、カルロ・アンチェロッティのAVE(スペイン版新幹線)は完全に脱線すると確信していたのが嘘のようだ。わずか1か月の間に、マドリーはこともなげにバルサとの勝点差を縮めた。力強さを見せているわけでも、すごい勝ち方をするわけでもなくだ。銀河系バージョンのキリアン・エムバペを見つける必要もなかった。他のチームであればプロジェクトの根幹が揺らいでしまうような欠場者が相次いでも関係なかった。マドリーでなければ、白旗をあげ、今シーズンは自分たちの番ではないと考えるしかない状況から盛り返したのだ」
そのロンセオ記者が、「最大のライバルは、フリックの”子供たち”ではなく、チョロ(ディエゴ・シメオネ監督の愛称)の”戦士たち”になると私は見ている」と警戒するアトレティコは、目下公式戦10連勝中。とりわけ終盤に2点差をひっくり返す大逆転劇を演じたセビージャ戦(4-3)は、「このような勝利を収めることが優勝を掴むには重要」と、『AS』のアトレティコ番記者のフランシスコ・ハビエル・ディアス氏が評価する激勝だった。同紙のバルサ番記者のフアン・ヒメネス氏も、「バルサとマドリーの陰に隠れて何も見えないような霧の中からアトレティコが現われた」と、そのダークホースぶりがかえって不気味さを増していると指摘する。
まだシーズンは折り返し地点も迎えていない。現在の優勝争いを追いつつヒメネス氏は「3日ごとに機嫌が変わる」と表現するが、はたして今後どこかが抜け出すのか、最後までもつれ込むのか、三者三様の戦いから目が離せない。
文●下村正幸
【動画】バルサが点の取り合いを制す! CLドルトムント戦ハイライト
開幕から派手なスタートを切ったバルセロナがその後派手にこけたことがその要因だろう。ホームでそのバルサに大敗(0-4)を喫したクラシコの後、諦めムードが漂っていたレアル・マドリーと、引き分け続きの序盤戦を過ごしたアトレティコ・マドリーが、急激な巻き返しを見せはじめ、タイトルレースはいまや三つ巴戦の様相を呈している。現時点では、バルサがまだ首位をキープしているとはいえ、マドリーが勝点2差、アトレティコが勝点3差に迫っているうえ、バルサは消化試合が1つ多いため、もはやリードはあってないようなものだ。
この状況にはバルサ界隈の識者も戸惑いを隠せないようだ。
「バルサは驚くほど最高と最悪のギャップが激しいシーズンを過ごしている。その姿はまるでロープの上を綱渡りしているようだ。ラ・リーガ直近5試合で1勝2分け2敗の勝点5と急失速。結局、言われていたほど強いチームではなかったということだろう」(バルサ寄りスポーツ紙『スポルト』の元編集長、ジョゼップ・マリア・カサノバス氏)。
「我々は幸先の良いスタートを切ったことで、余りにも早くはしゃぎすぎたのかもしれない」(大手ラジオ局『オンダ・セロ』でバルサ戦の実況を担当するアルフレッド・マルティネス氏)。
一方、俄然盛り上がってきたのが首都マドリードで、マドリディスタを公言するスポーツ紙『AS』の名物記者、トマス・ロンセオ氏は当然ながら鼻息は荒い。「私が敬愛するマドリーに忠誠を誓っている人たちを含む多くのサッカーファンが、クラシコが終わった頃、フリックのバルサがラ・リーガをぶっちぎりで優勝し、カルロ・アンチェロッティのAVE(スペイン版新幹線)は完全に脱線すると確信していたのが嘘のようだ。わずか1か月の間に、マドリーはこともなげにバルサとの勝点差を縮めた。力強さを見せているわけでも、すごい勝ち方をするわけでもなくだ。銀河系バージョンのキリアン・エムバペを見つける必要もなかった。他のチームであればプロジェクトの根幹が揺らいでしまうような欠場者が相次いでも関係なかった。マドリーでなければ、白旗をあげ、今シーズンは自分たちの番ではないと考えるしかない状況から盛り返したのだ」
そのロンセオ記者が、「最大のライバルは、フリックの”子供たち”ではなく、チョロ(ディエゴ・シメオネ監督の愛称)の”戦士たち”になると私は見ている」と警戒するアトレティコは、目下公式戦10連勝中。とりわけ終盤に2点差をひっくり返す大逆転劇を演じたセビージャ戦(4-3)は、「このような勝利を収めることが優勝を掴むには重要」と、『AS』のアトレティコ番記者のフランシスコ・ハビエル・ディアス氏が評価する激勝だった。同紙のバルサ番記者のフアン・ヒメネス氏も、「バルサとマドリーの陰に隠れて何も見えないような霧の中からアトレティコが現われた」と、そのダークホースぶりがかえって不気味さを増していると指摘する。
まだシーズンは折り返し地点も迎えていない。現在の優勝争いを追いつつヒメネス氏は「3日ごとに機嫌が変わる」と表現するが、はたして今後どこかが抜け出すのか、最後までもつれ込むのか、三者三様の戦いから目が離せない。
文●下村正幸
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