伝統の「オールドファーム」でのファイナルとなった一戦、41分にDFライン間でのパスをカットされるミスで失点を喫したセルティックだったが、56分にグレッグ・テイラーがこぼれ球を叩いて同点とし、その4分後には前田大然がバックパスを奪ってから落ち着いたシュートで勝ち越し。75分に同点とされるも、87分にニコラス・キューンが速攻からアルネ・エンゲルスのリターンクロスを合わせてリードを奪い、これで勝利確定かと思われたが、1分後に再度宿敵に同点弾を許す。
延長戦では互いにゴールネットを揺らすことなく突入したPK戦では、全員成功で迎えた4人目でレンジャーズのゴールをGKカスパー・シュマイケルが素晴らしいセーブで阻み、後攻のセルティックは旗手怜央がゴール左隅に決めてリードを奪うと、最終キッカーの前田は落ち着いて相手GKの逆を突いて成功し、チームの今季初タイトルを獲得した。
セルティックはクラブ公式サイトで「ダイゼンがハンプデンで完璧な活躍」と題した記事で、得点場面について「このリードは、前田による見事な個人技から生まれたものだ。レンジャーズの守備の隙を見逃さず、(相手DFの)レオン・バロガンを浮き球でかわした後、左足で見事なフィニッシュを決めてGKジャック・バトランドを破った」と綴り、ブレンダン・ロジャース体制下での10個目のトロフィー獲得に大貢献したことを伝えている。
現地メディアの報道を見ると、スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』は「前田の見事なシュート」「センセーショナルなフィニッシュ」と称賛し、英国公共放送『BBC』は「相手の弱みを感じ取ったセルティックは、(レンジャーズの)ニコラス・ラスキンが不用意にレオン・バロガンに向けてヘディングしたところを見逃さず、前田が冷酷に仕留めてセルティックを再びリードに導いた」と報じた。
また後者は、「大一番で結果を出すのはビッグプレーヤーであり、セルティックにはそんな選手が豊富に揃っている。前田は過去にもレンジャーズを苦しめてきたが、この試合では彼の影響力は控えめだった――その大きな瞬間が訪れるまでは」と、今回も重要な仕事を果たしたことを強調している。
この試合では、前田、旗手、古橋亨梧の日本人選手3人がスタメンに名を連ねたが、スコットランドの日刊紙『THE SCOTSMAN』は、旗手には「貢献が十分でなかった」、古橋には「ほとんど沈黙していた」とネガティブな評価を下したのに対し、前田には「レンジャーズの不意を突くようなプレーを仕掛け、エネルギッシュなプレーで走り続けて、レンジャーズの守備陣にとって終始脅威となった。当然の結果としてのゴールだった」と賛辞が贈られた。
『THE SCOTTISH Sun』紙は、10点満点の採点で最高タイの「8」を前田に与え、「ジェームズ・タバニアとの対戦ではかなり手強く感じたものの、意外なことにボールに触れる機会はほとんどなかった。後半では活発な動きを見せ、チャンスを活かして見事なゴール。巧みなコントロールとフィニッシュを披露した。しかし延長戦に入ると、次第に影を潜めた。それでも、PK戦で決定的な勝利の一撃を力強く決めた」と寸評を綴っている。
一方の『Daily Record』紙も左サイドでの対決に注目し、「最近のダービーではタバニアを圧倒してきたが、前半の戦いでは劣勢に立たされた。しかし後半にペースを上げ、見事なフィニッシュでチームの2点目をゲット。さらに、勝利を決定づけるPKも冷静に決めている」と彼のプレーを振り返り、採点は及第点の「6」とした。
最後に、セルティックの地元グラスゴーの総合サイト『Glasgow World』はキューンと並んで最高採点の「8」を付与し、「持ち前のスピードを活かして試合開始直後から効果的な動きを見せ、チャンスがあれば守備陣を圧倒した。タバニアとの対戦ではやや静かだったが、ゴールの場面では素晴らしい働きを披露。レンジャーズが抑え込もうとしていた選手だった。そして勝利を決めるPKを決めたのは、まさに彼に相応しい結末だった」とポジティブに評している。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】セルティックの優勝に大貢献!前田大然ダイジェスト
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