バルセロナは負ければ勝点1差に詰め寄られる2位レアル・マドリーとの直接対決で、開始14分までに2点のリードを許した。熱狂的なマドリディスタとして名高いトマス・ロンセロ記者はスペイン紙『AS』のコラムで、「我々は皆、マドリーが歴史的な勝利によってバルサを絶望の底へと突き落とし、ラ・リーガ制覇が目前に迫るシナリオを夢見ていた」とその時の心境を振り返る。
【動画】アルダ・ギュレル、ショートコーナーからゴラッソ! 35節セルタ戦ハイライト
しかし、バルサは動じなかった。この1か月の間だけでも、セルタ戦(4-3)、チャンピオンズリーグ準決勝のインテルとの2試合(3-3と3-4)と、計3度にわたり2点のビハインドから少なくとも追いついていた。マドリーとの対戦でも、ラ・リーガ第1ラウンド(4-0/11節)を除いて、スーペルコパ・デ・エスパーニャ決勝(5-2)&コパ・デル・レイ決勝(3-2)での勝利はいずれも逆転でつかみ取っている。
そして今回も逆転劇は繰り返された。マドリーの緩慢な守備にも乗じて、ペドリとフレンキー・デヨングのゲームメイクを軸に猛攻を仕掛け、前半の残り30分の間に4点を奪い、いとも簡単に試合をひっくり返した。
ド派手な逆転劇が続くバルサを、スペイン紙『スポルト』の元編集長、エルネスト・フォルチ氏は、「我々は間違いなく、史上最も娯楽性の高いバルサを目の当たりにしている。最も安定しているわけでも、最も信頼できるわけでも、最も競争力があるわけでもないが、間違いなく我々が目撃した中で、スペクタクルな意味において最もクレージーなチームだ」と評する。
識者の間では、3-2とリードしていた後半アディショナルタイムに4点目を取りに行き、逆に同点弾を決められ、結果的に延長戦にもつれ込んで敗退したインテルとの第2レグをきっかけに、つねにリスクと隣り合わせのフリック・バルサのスタイルについて議論が再び過熱している。
クラシコでは逃げ切りに成功(4-3)したが、その試合運びについて、「貧弱なパフォーマンスに終始したマドリーだったが、3ゴールを挙げた以外にも、いくつもの得点機を創出した。私は依然として、フリック率いるバルサが必要のない場面でも過剰にリスクの高いプレーを選択していると感じている」といったマドリーOBのアルバロ・ベニート氏のような意見も存在する。
要はリスク管理の問題だが、しかしそうした賛否両論を巻き起こしていることも踏まえて、フリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏は、「フリック・バルサは、ただ一つのスタイルでしかプレーできない。ハイプレスが機能しなくなっても、リードを守らなければならない展開においても、炎に手を突っ込むようなプレーを続ける。ボールを保持して時間を稼ぐことも、守りを固めることもしない。彼らが持つ唯一の守備方法は、攻撃し続けることだ。なぜならそれが彼らのスタイルだからだ」と力説する。
バルサの歴代チームの中で攻撃サッカーの権化と言えば、ヨハン・クライフが監督時代に創り上げたドリームチームが有名だが、前出のフォルチ氏は「本家のクライフですら、これほどクライフ的ではなかった。ドリームチームも含めて、『相手が何点取ろうが、それより多くの点を取る』というクライフの信条を、これほど体系的に実践したチームはこれまでなかった」と付け加える。
エル・クラシコの翌日、『スポルト』の電子版に、今季バルサが完遂した9度の逆転劇を振り返った記事が配信されていた。逆転勝ちの多さはフリック・バルサの大胆さ、信念、美しさ、無邪気さを映し出す鏡でもあるのだ。
文●下村正幸
【動画】バルサ、大逆転でエル・クラシコに勝利!
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しかし、バルサは動じなかった。この1か月の間だけでも、セルタ戦(4-3)、チャンピオンズリーグ準決勝のインテルとの2試合(3-3と3-4)と、計3度にわたり2点のビハインドから少なくとも追いついていた。マドリーとの対戦でも、ラ・リーガ第1ラウンド(4-0/11節)を除いて、スーペルコパ・デ・エスパーニャ決勝(5-2)&コパ・デル・レイ決勝(3-2)での勝利はいずれも逆転でつかみ取っている。
そして今回も逆転劇は繰り返された。マドリーの緩慢な守備にも乗じて、ペドリとフレンキー・デヨングのゲームメイクを軸に猛攻を仕掛け、前半の残り30分の間に4点を奪い、いとも簡単に試合をひっくり返した。
ド派手な逆転劇が続くバルサを、スペイン紙『スポルト』の元編集長、エルネスト・フォルチ氏は、「我々は間違いなく、史上最も娯楽性の高いバルサを目の当たりにしている。最も安定しているわけでも、最も信頼できるわけでも、最も競争力があるわけでもないが、間違いなく我々が目撃した中で、スペクタクルな意味において最もクレージーなチームだ」と評する。
識者の間では、3-2とリードしていた後半アディショナルタイムに4点目を取りに行き、逆に同点弾を決められ、結果的に延長戦にもつれ込んで敗退したインテルとの第2レグをきっかけに、つねにリスクと隣り合わせのフリック・バルサのスタイルについて議論が再び過熱している。
クラシコでは逃げ切りに成功(4-3)したが、その試合運びについて、「貧弱なパフォーマンスに終始したマドリーだったが、3ゴールを挙げた以外にも、いくつもの得点機を創出した。私は依然として、フリック率いるバルサが必要のない場面でも過剰にリスクの高いプレーを選択していると感じている」といったマドリーOBのアルバロ・ベニート氏のような意見も存在する。
要はリスク管理の問題だが、しかしそうした賛否両論を巻き起こしていることも踏まえて、フリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏は、「フリック・バルサは、ただ一つのスタイルでしかプレーできない。ハイプレスが機能しなくなっても、リードを守らなければならない展開においても、炎に手を突っ込むようなプレーを続ける。ボールを保持して時間を稼ぐことも、守りを固めることもしない。彼らが持つ唯一の守備方法は、攻撃し続けることだ。なぜならそれが彼らのスタイルだからだ」と力説する。
バルサの歴代チームの中で攻撃サッカーの権化と言えば、ヨハン・クライフが監督時代に創り上げたドリームチームが有名だが、前出のフォルチ氏は「本家のクライフですら、これほどクライフ的ではなかった。ドリームチームも含めて、『相手が何点取ろうが、それより多くの点を取る』というクライフの信条を、これほど体系的に実践したチームはこれまでなかった」と付け加える。
エル・クラシコの翌日、『スポルト』の電子版に、今季バルサが完遂した9度の逆転劇を振り返った記事が配信されていた。逆転勝ちの多さはフリック・バルサの大胆さ、信念、美しさ、無邪気さを映し出す鏡でもあるのだ。
文●下村正幸
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