後半の立ち上がり、フィオレンティーナは、前半は見せなかったマンツーマンハイプレスを繰り返し行ない、ボール保持時も後方からのビルドアップを試みるなど、チームの重心を上げて反撃に転じる姿勢を見せた。逆に相手にロングボールを蹴らせてセカンドボールを回収し、そこから相手を押し込んで、ようやく敵陣でポゼッションを確立する場面を作り出す。マスタントゥオーノが(例によって)強引な突破を見せ、2回続けて好位置でFKを得るなど、フィオレンティーナが主導権を手元にたぐり寄せる流れになるかと思わせた。
しかしそれが続いたのも、ほんの5分あまりのことだった。52分、自陣ペナルティーエリア手前でボールを回収したローマが、エルモソからのロングパス1本で逆襲に転じ、敵陣半ばの右ハーフスペースでそれを収めたディバラが、中央左寄りをフリーで駆け上がるマレンにつなぐと、マレンはそのまま縦に抜け出して角度の少ないところから強引なシュートでニアハイを撃ち抜いたのだ。
あまりにも痛いこの2-0が決まった後もフィオレンティーナは重心を下げず、前線からのプレスを継続して、何とか形勢を変えようと試みた。だが、セカンドボールを拾って散発的に攻撃に転じても、アッタやマスタントゥオーノの強引な仕掛け以外に攻め手がない(そしてそれが決定機までには至らない)状況は変わらず。逆に60分、またもハイプレスの背後をロングパスで狙われ、そのセカンドボールを拾ったマレンが裏に抜け出したディバラにパス、その折り返しを押し込んで決定的な3点目をローマにもたらした。
実質的にはこの時点で試合は終わったと言っていいだろう。グロッソ監督はその直後に、マスタントゥオーノ、ファジョーリ、ブレシアニーニを下げて、FWモイゼ・ケーン、MFクリスト・イナオ・ウライ、DFアレックス・ヒメネスをピッチに送り出し、システムもペレグリーノとケーンを前線に並べた4-4-2に切り替えるなど、何とかして流れを変えようと試みた。
コモへの移籍が噂されているケーンは、遠目からの強引なシュートを枠内に収めるなど何度か見せ場を作ったが、決定的な違いを作り出すには至らず。20歳のコートジボワール代表ウライが、パスセンスとダイナミズムを合わせ持つという評判通りのクオリティーを披露したのは、この試合の数少ない収穫のひとつだった。
86分には途中出場のMFニッコロ・ピジッリがゴールを決め、4-0で勝ったローマにとっては、ハイプレスと高いインテンシティーでフィオレンティーナを窒息させ、ディバラとマレンのクオリティーが作り出す質的優位でラスト30メートルを圧倒。3-0になった後ラスト30分のゲームマネジメントも良好と、申し分のない勝利だった。指揮官が「特別なタレント」と賞賛したモラ、アカデミーから昇格した19歳の右WBルッリ(故障中の新戦力ナウエル・モリーナの代役)と、若い才能が期待通りの活躍を見せたのも朗報だ。
ショッキングな惨敗を喫したフィオレンティーナは、戦力的にも戦術的完成度においても上回るローマの前に、構築途上のチームゆえの脆さを露呈した格好。この試合に関しては、プレシーズンから取り組んできたゲームモデルの重要な部分(後方からのビルドアップ、ハイプレスなど)を棚上げし、「ローマ対策」として選択したロングボールによるダイレクトアタックが機能しなかったことが、結果的に傷口を拡げた側面もある。
とはいえ新監督を迎え、レギュラークラスの大半が入れ替わったチームが、形になるまである程度の時間がかかるのは当然のことであり、この敗戦をことさらネガティブに受け止めて悲観的になる必要はない。戦力的なポテンシャルは十分に高いだけに、当面はまず、目先の相手に対する対策や適応よりも、新指揮官が掲げるゲームモデルとそれに基づく原則をチームに浸透させ、明確なアイデンティティーを確立することに優先順位を置くべきなのかもしれない。まだシーズンは始まったばかりだ。
文●片野道郎
【現地発コラム】セリエAの注目は「ルネサンス」のフィオレンティーナ クラブ創設100周年の記念すべきシーズンに体制、陣容を刷新
しかしそれが続いたのも、ほんの5分あまりのことだった。52分、自陣ペナルティーエリア手前でボールを回収したローマが、エルモソからのロングパス1本で逆襲に転じ、敵陣半ばの右ハーフスペースでそれを収めたディバラが、中央左寄りをフリーで駆け上がるマレンにつなぐと、マレンはそのまま縦に抜け出して角度の少ないところから強引なシュートでニアハイを撃ち抜いたのだ。
あまりにも痛いこの2-0が決まった後もフィオレンティーナは重心を下げず、前線からのプレスを継続して、何とか形勢を変えようと試みた。だが、セカンドボールを拾って散発的に攻撃に転じても、アッタやマスタントゥオーノの強引な仕掛け以外に攻め手がない(そしてそれが決定機までには至らない)状況は変わらず。逆に60分、またもハイプレスの背後をロングパスで狙われ、そのセカンドボールを拾ったマレンが裏に抜け出したディバラにパス、その折り返しを押し込んで決定的な3点目をローマにもたらした。
実質的にはこの時点で試合は終わったと言っていいだろう。グロッソ監督はその直後に、マスタントゥオーノ、ファジョーリ、ブレシアニーニを下げて、FWモイゼ・ケーン、MFクリスト・イナオ・ウライ、DFアレックス・ヒメネスをピッチに送り出し、システムもペレグリーノとケーンを前線に並べた4-4-2に切り替えるなど、何とかして流れを変えようと試みた。
コモへの移籍が噂されているケーンは、遠目からの強引なシュートを枠内に収めるなど何度か見せ場を作ったが、決定的な違いを作り出すには至らず。20歳のコートジボワール代表ウライが、パスセンスとダイナミズムを合わせ持つという評判通りのクオリティーを披露したのは、この試合の数少ない収穫のひとつだった。
86分には途中出場のMFニッコロ・ピジッリがゴールを決め、4-0で勝ったローマにとっては、ハイプレスと高いインテンシティーでフィオレンティーナを窒息させ、ディバラとマレンのクオリティーが作り出す質的優位でラスト30メートルを圧倒。3-0になった後ラスト30分のゲームマネジメントも良好と、申し分のない勝利だった。指揮官が「特別なタレント」と賞賛したモラ、アカデミーから昇格した19歳の右WBルッリ(故障中の新戦力ナウエル・モリーナの代役)と、若い才能が期待通りの活躍を見せたのも朗報だ。
ショッキングな惨敗を喫したフィオレンティーナは、戦力的にも戦術的完成度においても上回るローマの前に、構築途上のチームゆえの脆さを露呈した格好。この試合に関しては、プレシーズンから取り組んできたゲームモデルの重要な部分(後方からのビルドアップ、ハイプレスなど)を棚上げし、「ローマ対策」として選択したロングボールによるダイレクトアタックが機能しなかったことが、結果的に傷口を拡げた側面もある。
とはいえ新監督を迎え、レギュラークラスの大半が入れ替わったチームが、形になるまである程度の時間がかかるのは当然のことであり、この敗戦をことさらネガティブに受け止めて悲観的になる必要はない。戦力的なポテンシャルは十分に高いだけに、当面はまず、目先の相手に対する対策や適応よりも、新指揮官が掲げるゲームモデルとそれに基づく原則をチームに浸透させ、明確なアイデンティティーを確立することに優先順位を置くべきなのかもしれない。まだシーズンは始まったばかりだ。
文●片野道郎
【現地発コラム】セリエAの注目は「ルネサンス」のフィオレンティーナ クラブ創設100周年の記念すべきシーズンに体制、陣容を刷新




