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海外サッカー

「司令塔クロースOUT・点取り屋エムバペIN」でマドリーのサッカーはどう変わる? ヴィニシウス&ロドリゴの2トップ採用は、エムバペ加入を見越したリハーサルだった!?

下村正幸

2024.06.06

 もっともそれはあくまでスタート地点でのポジション。実際、カルロ・アンチェロッティ監督率いるマドリーには、システムという概念はあってないようなものと言っていいほど、ポジションの流動性を特徴にしている。ヴィニシウスとロドリゴの関係性においても、2人が左サイドでパスを交換するシーンは頻繁に見られた。同様にエムバペとヴィニシウスが、ポジションがかぶらないようにイメージを共有しながら、お互いの良さを引き出すことができれば、1+1の関係は3にも4にもなることが可能なはずだ。

 もちろんクロースの不在は懸念材料だが、引いて守ってくる相手に対しても、狭いスペースでも打開してしまう2人なら、ボールを預けるだけで、自らゴールをこじ開ける働きを十分に期待できる。さらにその背後からジュード・ベリンガムが絡んでくるわけだ。4-3-3の採用を想定するなら、3トップの一角には、前述のロドリゴや技巧派のブラヒム・ディアス、残留が濃厚な9番タイプのホセル、パッサータイプでトップ下やインサイドハーフに適性がありながら、1年目から非凡なフィニッシュワークを見せたアルダ・ギュレル、そして新進気鋭の17歳FWエンドリッキと、多士済々のタレントが揃っている。

 あるいは偽ウイングとして機能するフェデリコ・バルベルデをサイドハーフに配置すれば、4-4-2を維持しながら攻守のバランスを保つこともできる。戦術に人を当てはめるのではなく、選手の個性を活かしたフットボールを展開するアンチェロッティ監督の采配を加味すれば、バリエーションはそれこそいくらでも作れそうだ。
 
 クロースの後釜を誰が担うかは不明だ。クラブは中盤の新戦力の獲得を見送る方針だが、そもそも同じタイプの選手は存在しない。ポジショニング、パス捌き、ボール奪取のいずれもがハイレベルで、攻守に気の利いたプレーを見せるバルベルデの存在感はさらに増すはずで、その中で、超万能型のベリンガムが新境地を開拓して組み立ての局面で司令塔役を担うか、あるいは粗削りではあるが、プレーメーカーとしても特大のポテンシャルを秘めるカマビンガが覚醒を遂げるか。もちろん現地で報道されている通り、モドリッチが契約を延長し残留すれば、大きな力になるだろう。

 どうなるかは新シーズンの開幕を待つ必要があるが、ひとつ確かなのは、今後のマドリーの命運はエムバペとヴィニシウスの融合の成否に託されたということだ。

文●下村正幸

【動画】PSGからR.マドリーに移籍決定!仏代表FWエムバペのスーパープレー集
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