とくにビルドアップと仕掛け・フィニッシュにも絡んで八面六臂の活躍を見せたバレッラ(故障から復帰したばかりで、それでもまだ抑え気味にプレーしていた)、右サイドの突破で敵DFを翻弄したキエーザ(この試合のMVPを受賞)が期待通りの活躍を見せたことは、大きな収穫と言える。
とはいえ、その一方ではいくつかの課題が浮かび上がったことも確か。開始直後の失点を招いたディマルコの不用意なスローインや、終了直前にマナイに先手を取られてシュートを許したカラフィオーリのデュエルと、重要な時間帯に致命傷につながりかねない「軽いプレー」が見られたのは明らかな反省点だ。
また、前半を通して攻勢に立ち、少なくないチャンスを作り出したにもかかわらず、後半に入ると明らかにアクセルを緩め、3点目を挙げて試合を決めるよりもリスクを冒さず1点差を守り切る方に意識が向き過ぎたことは、この試合をめぐる最大の課題だった。
開幕から2日間の4試合ですべて3点以上決まっている事実が示すように、近年はこうしたビッグトーナメントでも、引き分けで満足するよりは負けるリスクを負ってでも積極的に勝ちを狙う攻撃的な振る舞いが、チームの強弱にかかわらず一般的な振る舞いになってきている。
相手にボールを委ねて受けに回ったり、リスクを冒さず無難なボール保持を続けて攻撃の圧力を下げる振る舞いは、相手を利する方向にしか働かない。その意味で、1点差しかないにもかかわらず消極的になった後半半ば以降の振る舞いは、次戦以降の大きな改善ポイントだ。90分のマナイのシュートが入っていれば、イタリアにとっては取り返しのつかない事態になっていた。
最後にもうひとつ課題を挙げるとすれば、次戦の相手スペインのように前線から強度の高いプレスをかけてくる相手に対しても、それを回避してスムーズに敵陣にボールを運んで主導権を握ることができるかどうかという点。アルバニアは最初からプレスを放棄してベタ引きの守備を選択したため、イタリアのビルドアップとポゼッションが厳しいプレッシャー下でどれだけ機能するのか、試す機会がほとんどなかった。
そもそも、ビルドアップとポゼッションの質、すなわちボール支配力でイタリアよりもさらに上をいくスペインとの戦いは、アルバニア戦とはまったく異なるタイプの試合になるはず。スペインのプレスをいなしてボール支配で互角に渡り合えるか、相手にボールを持たれて受けに回らざるをえない状況になった時に、守備の強度をどれだけ保てるか。勝点3同士で迎える次の試合でこそ、イタリアの真価が問われることになるだろう。
文●片野道郎
【関連記事】バッジョ、デル・ピエロ、トッティ、リベラ、アントニョーニ! 歴代10番がイタリア代表を激励「レジェンドが勢ぞろい」「彼らが現役なら…」とファン大熱狂【EURO2024】
とはいえ、その一方ではいくつかの課題が浮かび上がったことも確か。開始直後の失点を招いたディマルコの不用意なスローインや、終了直前にマナイに先手を取られてシュートを許したカラフィオーリのデュエルと、重要な時間帯に致命傷につながりかねない「軽いプレー」が見られたのは明らかな反省点だ。
また、前半を通して攻勢に立ち、少なくないチャンスを作り出したにもかかわらず、後半に入ると明らかにアクセルを緩め、3点目を挙げて試合を決めるよりもリスクを冒さず1点差を守り切る方に意識が向き過ぎたことは、この試合をめぐる最大の課題だった。
開幕から2日間の4試合ですべて3点以上決まっている事実が示すように、近年はこうしたビッグトーナメントでも、引き分けで満足するよりは負けるリスクを負ってでも積極的に勝ちを狙う攻撃的な振る舞いが、チームの強弱にかかわらず一般的な振る舞いになってきている。
相手にボールを委ねて受けに回ったり、リスクを冒さず無難なボール保持を続けて攻撃の圧力を下げる振る舞いは、相手を利する方向にしか働かない。その意味で、1点差しかないにもかかわらず消極的になった後半半ば以降の振る舞いは、次戦以降の大きな改善ポイントだ。90分のマナイのシュートが入っていれば、イタリアにとっては取り返しのつかない事態になっていた。
最後にもうひとつ課題を挙げるとすれば、次戦の相手スペインのように前線から強度の高いプレスをかけてくる相手に対しても、それを回避してスムーズに敵陣にボールを運んで主導権を握ることができるかどうかという点。アルバニアは最初からプレスを放棄してベタ引きの守備を選択したため、イタリアのビルドアップとポゼッションが厳しいプレッシャー下でどれだけ機能するのか、試す機会がほとんどなかった。
そもそも、ビルドアップとポゼッションの質、すなわちボール支配力でイタリアよりもさらに上をいくスペインとの戦いは、アルバニア戦とはまったく異なるタイプの試合になるはず。スペインのプレスをいなしてボール支配で互角に渡り合えるか、相手にボールを持たれて受けに回らざるをえない状況になった時に、守備の強度をどれだけ保てるか。勝点3同士で迎える次の試合でこそ、イタリアの真価が問われることになるだろう。
文●片野道郎
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