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海外サッカー

「彼こそがラ・リーガ序盤戦の“時の人”であり主人公だ」若手の積極起用でフリック・バルサが4連勝! 「外様であることがプラスに働いている」との指摘も

下村正幸

2024.09.03

 そして逆説的に、「外様であることがプラスに働いている」と指摘するのがスペイン紙『スポルト』の元編集長、ジョゼップ・マリア・カサノバス氏だ。

「ジョゼップ・グアルディオラ、ルイス・エンリケ、シャビといったバルサ一派が持つバックグラウンドがないことを、フリックはまったく気にしていない。一見、それはハンディキャップのように思われるかもしれないが、むしろ逆で、過去に縛られることなく、スムーズに別の道に踏み出せる自由を得ることに繋がっている。フリックはクライフィスタ(ヨハン・クライフ主義者)ではないし、バルサのDNAの継承者でもない。ティキタカのことを説明しても、おそらく理解不能な外国語のようにしか聞こえないだろう。フリックは、いわゆるバルサイズムの継承者と言われてきた指揮官たちとは、違うカードでプレーし、異なる戦略を持ち、違うところからインプットする。強靭なフィジカル、献身性、ダイレクトプレーが彼のサッカーのイロハだ」

 また、カサノバス氏はフリックの人柄についても、「ごく普通の人間だ。自分を過大評価している人間が少なくない最近のサッカー監督の中では、なかなかいないタイプだ。虚栄心は彼のドイツ人としての性格とは相反するのだろう。まっすぐな眼差しで、周りに安心感を与える」と賛辞を惜しまない。
 
 そしてそれらが融合した結果、“フリック流の攻撃サッカー”の実現に繋がっていると説明するのは、スペイン紙『AS』の前編集長、アルフレッド・レラーニョ氏だ。

「ここまでハイパーアクティブなバルサを目にすることは、なかなかない。伝統的にバルサはスタイリッシュさを重視し、人ではなくボールを走らせることを意識する。ただそれは一度歯車が狂うと、単に怠惰で、エネルギッシュさに欠けるチームに成り下がる傾向があった。しかしフリックのバルサは、気品と熱意を持ってプレーし、即時奪回から一気にゴールに向かう」

 ラ・リーガはこれからインターナショナルブレイクで2週間ほどの中断期間に入る。4節を終えた時点での主役は誰かという点において、アルフレッド・マルティネス氏の考えは明確だ。

「キリアン・エムバペ(マドリー)でもフリアン・アルバレス(アトレティコ・マドリー)でも他の誰でもない。ハンジ・フリック、彼こそがラ・リーガ序盤戦の“時の人”であり主人公だ」

文●下村正幸

【動画】バルサが7発大勝! 4節バジャドリー戦ハイライト
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