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海外サッカー

CLリーグフェーズのイタリア勢を総括「チームとしての成熟度や経験値の差が、パフォーマンスと結果に表われた」【現地発コラム】

片野道郎

2025.02.01

勝てばトップ8入りのミランだったが、敵地でD・ザグレブに敗戦。31分に続いて39分にイエローカードをもらったムサ(80番)の退場が響いた。(C)Getty Images

勝てばトップ8入りのミランだったが、敵地でD・ザグレブに敗戦。31分に続いて39分にイエローカードをもらったムサ(80番)の退場が響いた。(C)Getty Images

 ミランは、年末の電撃的な監督交代(パウロ・フォンセカ→セルジオ・コンセイソン)が象徴するように、今なおチームとしての明確なアイデンティティーを確立できずにいる現状が、そのままピッチ上に表われた格好だった。

 ほぼ敗退が決まっていたD・ザグレブに勝てばトップ8が確定したにもかかわらず、不甲斐ない戦いぶりで1ー2の黒星。失点につながったDFマッテオ・ガッビアの不用意なミス、前半に2枚のイエローカードをもらい味方を10人にしたMFユヌス・ムサの振る舞いは、こうした重要な試合を戦ううえで不可欠な自信と落ち着き(とその裏付けとなる戦術的な確信)の欠如がもたらしたものであるように見えた。

 リバプール、レバークーゼンになす術なく連敗した後、R・マドリー戦の金星を含む5連勝で6位にまで浮上した時には、少なくともCLでは躍進が続くかのように思えた。しかし、セリエAでの不安定な戦いぶりに表われてきた開幕以来の問題点、とりわけ監督との信頼・共犯関係の未成立、グループとしての結束の不足といったチームマネジメント上のそれに解決のメドがいまだ立っていない現状が、この敗戦を通して改めて露呈した格好だ。

 パフォーマンスのムラという点でミラン以上だったのがユベントス。こちらは、陣容刷新の幅がさらに大きかったうえ、守備の要だったCBブレーメルの長期離脱をはじめ故障者が相次いだこともあり、シーズン半ばの今もなおチアゴ・モッタ監督の試行錯誤が続いている印象だ。
 
 試合ごとにメンバーを入れ替え、DFアンドレア・カンビアーゾ、MFウェストン・マッケニー、FWケナン・ユルドゥズら複数の選手を異なるポジションで起用する指揮官の手法も、アイデンティティーの確立が遅れている理由のひとつだろう。

 加えて、リール、アストン・ビラ、クラブ・ブルージュとの引き分けが象徴するように、ボールを支配しながらもファイナルサードにかける人数が少なく、攻撃に厚みを欠くため得点力が足りない戦術的な問題も、今なお引きずっている。

 1月31日に行なわれたプレーオフの組み合わせ抽選の結果、9位アタランタは24位ブルージュ、13位ミランは19位フェイエノールト、20位ユベントスは14位PSVとの対戦が決まった。ミランとユベントスは直接対決の可能性もあっただけにほっと一息というところだが、どちらが勝ち上がっても次のラウンド・オブ16では4位インテルとぶつかる可能性が50パーセントある。

 そうでない場合の相手は3位アーセナルで、きつい組み合わせに変わりはない。それと比べるとアタランタは、もし勝ち上がればR16の相手はアストン・ビラかリールとなり、むしろこちらの方が期待できそうだ。

 いずれにしてもプレーオフは早くも2月第2週(11~12日)から2週連続開催、そしてそこから中1週置いた3月第1週にはもうR16がスタートする。CLはここからが本番だ。引き続きイタリア勢の健闘に期待したい。

文●片野道郎

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