実際、監督であるだけでなく少数株主としてもクラブに出資しているセスクは、昨夏の昇格時にこう語っていた。「クラブの基盤はきわめて堅固で、オーナーを筆頭に我々の野心は大きい。セリエAに定着することはもちろん、できれば4~5年の間にセリエAのトップと肩を並べるところまで成長したい」。
その野心からすれば、降格ラインすれすれで残留争いを続けている現在の状況は、物足りなく映るかもしれない。ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・C監督)やシャビ・アロンソ(レバークーゼン監督)の影響を強く受けたポゼッション志向の攻撃サッカーを展開し、ミランやナポリよりも高いリーグ7位のボール支配率、リーグ5位の枠内シュート数を記録しているにもかかわらず、不用意な失点で勝点を取りこぼし。下位に低迷している現状を指摘されたセスクは、しかし力強くこう反論している。
「順位? 降格? 引いて守れと言われるが、パルマは2ー1からベタ引きしてミランに2点を喰らって負けた。誰も何も保証してくれない。もし我々が強い意志、勇気、アイデアを持ってプレーし、積み重ねてきたことを発揮し続ければ、遅かれ早かれ結果はついてくる」
「順位を心配して今までの積み重ねを全て放り出す? そんなことはありえない。悪いけれど我々はこのまま進んでいく。もしセリエBに落ちるとしてもこのやり方を貫く。なぜなら我々は今チームの土台を築き、成長し続けているからだ」
「浮き沈みがあるのは当然だ。しかしこの現実を受け入れられないと考えるのは、それがサポーターであっても、ディレクターであっても、私自身であったとしても、明らかに間違っている。ここで誰かがこの姿勢を崩し、別の方向に行きたいと考えるとしたら、それこそがチームが下降線を辿る第一歩となるだろう。そう確信しているからこそ、私は決して信念を曲げない」
スワルソ会長も、指揮官のこうした姿勢を全面的にバックアップしている。
「たとえ降格してもプロジェクトに変化はない。我々の目的は、観客が楽しめるチームを作ることだ。すべてが正しく機能すれば、新たなファンの60%は、偶然にもコモを訪れ、クラブの存在を知った観光客になるはずだ。もし彼らが初めて試合を観戦したとき、我々が守備的で退屈なサッカーをしていたら、誰もコモに興味を持たない。最終目標は、世界で最も魅力的な“サッカー観光”の目的地になることだ。プレミアムな観光地として認識されるには、サッカー自体も魅力的でなければならない」
ユベントスのオーナーであるアニェッリ家はもちろん、マンチェスター・Cを持つシェイク・マンスールをも上回る個人資産を持つ億万長者をオーナーに持ち、サッカークラブの枠を大きく超えたビジネスを展開しているコモは、欧州サッカー界において唯一無二の存在と言える。
同じ億万長者でも、シティやパリSGとはまったく異なる「ホームタウンのディズニーランド化」という前人未到の道を歩もうとしているプロジェクトの動向に、今後も注目していきたい。
文●片野道郎
【記事】CLリーグフェーズのイタリア勢を総括「チームとしての成熟度や経験値の差が、パフォーマンスと結果に表われた」【現地発コラム】
その野心からすれば、降格ラインすれすれで残留争いを続けている現在の状況は、物足りなく映るかもしれない。ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・C監督)やシャビ・アロンソ(レバークーゼン監督)の影響を強く受けたポゼッション志向の攻撃サッカーを展開し、ミランやナポリよりも高いリーグ7位のボール支配率、リーグ5位の枠内シュート数を記録しているにもかかわらず、不用意な失点で勝点を取りこぼし。下位に低迷している現状を指摘されたセスクは、しかし力強くこう反論している。
「順位? 降格? 引いて守れと言われるが、パルマは2ー1からベタ引きしてミランに2点を喰らって負けた。誰も何も保証してくれない。もし我々が強い意志、勇気、アイデアを持ってプレーし、積み重ねてきたことを発揮し続ければ、遅かれ早かれ結果はついてくる」
「順位を心配して今までの積み重ねを全て放り出す? そんなことはありえない。悪いけれど我々はこのまま進んでいく。もしセリエBに落ちるとしてもこのやり方を貫く。なぜなら我々は今チームの土台を築き、成長し続けているからだ」
「浮き沈みがあるのは当然だ。しかしこの現実を受け入れられないと考えるのは、それがサポーターであっても、ディレクターであっても、私自身であったとしても、明らかに間違っている。ここで誰かがこの姿勢を崩し、別の方向に行きたいと考えるとしたら、それこそがチームが下降線を辿る第一歩となるだろう。そう確信しているからこそ、私は決して信念を曲げない」
スワルソ会長も、指揮官のこうした姿勢を全面的にバックアップしている。
「たとえ降格してもプロジェクトに変化はない。我々の目的は、観客が楽しめるチームを作ることだ。すべてが正しく機能すれば、新たなファンの60%は、偶然にもコモを訪れ、クラブの存在を知った観光客になるはずだ。もし彼らが初めて試合を観戦したとき、我々が守備的で退屈なサッカーをしていたら、誰もコモに興味を持たない。最終目標は、世界で最も魅力的な“サッカー観光”の目的地になることだ。プレミアムな観光地として認識されるには、サッカー自体も魅力的でなければならない」
ユベントスのオーナーであるアニェッリ家はもちろん、マンチェスター・Cを持つシェイク・マンスールをも上回る個人資産を持つ億万長者をオーナーに持ち、サッカークラブの枠を大きく超えたビジネスを展開しているコモは、欧州サッカー界において唯一無二の存在と言える。
同じ億万長者でも、シティやパリSGとはまったく異なる「ホームタウンのディズニーランド化」という前人未到の道を歩もうとしているプロジェクトの動向に、今後も注目していきたい。
文●片野道郎
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